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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――この道の先にSGが

_u5w7529  池永太に聞きたいことがあった。
 昨日の優出記者会見で、茅原悠紀はハッキリと「SG」のことを口にした。まあ、茅原なら早晩SGにやって来ることになるだろうが、それでもこの新鋭王座の先にはSGがあることを意識する発言をしていたのだ。茅原の場合、チャレンジカップが地元で開催されることも大きい。それに出場するためには、その前にSGに参戦しておきたい。新鋭王座優勝がその第一歩となることを、茅原はたしかに意識しているのである。
 ならば、池永太はどうだ。同期の西山貴浩がSGを経験し、まだ選考締切は半年も先のことであるが、ダービー勝率もボーダーより上にいる。そろそろ自分もSGへ、そういう意識はないのか。
「それがわかっていたから、とにかく最低でも優勝戦には乗らなきゃいけないと思ってここに来ました。乗れてよかったですね」
 期待していた言葉が返ってきて嬉しくなった。それは明らかに、池永が一段階上のステージに突入したことを意味するからだ。そして、これなら大本命の茅原とも互角に戦えるはず。機力やコースではなく、精神的に真っ向勝負ができるはずなのだ。それが結果にどう反映するかはともかく。
 もちろん、池永はもはや優勝しか考えていない。ダービーについては一戦一戦を大事に戦うことしか今は考えられないというが、今日の優勝戦はただひたすらに勝利だけを見据えている。
「これを獲って、総理杯、行きます!」
 行きます、のところだけボルテージをぐんとあげて宣言した池永。優勝戦にその思いがどう表現されるのか、注目しよう。

_u5w8172  大池佑来は、「緊張はぜんぜんしてません」と童顔をほころばせる。「人気もないでしょうし(笑)」と付け加えながら。たしかに優出メンバーでもっともキャリアの浅い大池だから、その通りかもしれない。それを重圧なく戦える材料として、大池は平常心を保てているようだ。
 新鋭王座は昨年、一昨年と関東勢が制しており、大池もそれは意識しているという。しかし、気負うつもりはまったくない。精一杯戦って、そういう結果が出ればそれでいい。初のGⅠ優出ということで、仮に緊張していたり気負っていたりしても、きっと同じような言葉が聞かれたりするのだろうと思うわけだが、実際に話してみた雰囲気からは大池の言葉を額面通りとらえていいのではないかという気がする。そうであるなら、ちょっと怖いな。なにしろモーターはお墨付きの良機なのだから、無欲の一発も充分ありうる。

_u5w7740  朝のピットで直接話ができたのはその2人だけ。あとは動きを見ての僕の感覚ということになるわけだが、少なくとも朝から緊張に襲われ、表情や動きがカタい選手はいない。あえて昨日までと少し違うと思えたとすると、土屋智則の歩くスピードが遅いということだけで、それもにこやかな土屋の顔を見ていると、たいしたことではないように思えてくる。
_u5w7687  松尾昂明は、早くから自艇の装着作業を始めていたが、同時に新兵の仕事もせっせとこなしていた。本来、松尾はもう新兵ではない。今年は104~106期も一人ずつ参戦し、100期の松尾にとっては後輩がどーんと増えた新鋭王座である。しかし松尾はそこにいる人間が動けばいいんだとばかりに、積極的に働いていた。控室から整備室までゆうに100m以上もある芦屋ピットでは、最終日には“カポックコンテナ”が登場する。モーター返納作業に素早く取り掛かれるように、選手はリフト付近でカポックを脱いで整備室に向かい、それをコンテナに積んで若手が控室(カポック脱ぎ場)に運んでいくという次第。そのコンテナを、1R前に松尾が準備してリフトのほうへと運んでいた。松尾がやる必要はないのに。だから、それを目ざとく見つけた上野真之介が大慌てで駆け寄って、松尾からコンテナを奪おうとしていた。松尾も上野も気持ちのいい若者である。
_u5w7789  奈須啓太は、自分の作業はもちろん、その合間に今日も班長の仕事がある。今節は本当にいろいろあって、そのなかで優出を果たしたのだから、拍手! そうして忙しい時間を過ごしているからということもあるのか、奈須にも緊張は感じられない。ただ、実に凛々しい表情ではあったぞ。
_u5w7545  そして大本命の茅原悠紀。坂元浩仁とかなり長いこと話し込んでいる姿があったが、笑顔も見え、表情もごく自然で、今のところは1号艇のプレッシャーも襲ってはきていないと見える。さすがに人気を背負う男なだけに、報道関係者が次々と言葉をかけている時間帯もあったが、それも自然にこなしている。なんだかますます死角がないぞ。ちなみに、動き始めは優出メンバーのなかでは松尾と並んで早いほう。完璧な調整で、その松尾の強烈伸びにも対応できるよう、万全を期す心づもりだろう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)


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