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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――特別な空気

2012_0802_0816  10Rのスタート展示が終了した頃にピットに入ったら、チャーリー池上カメラマンに「整備室を見に行け」と命令された。はい、おっしゃる通りにさせていただきます。そそくさと整備室を覗くと、日高逸子が本体整備中。ん? 日高は8Rに出走したんじゃなかったっけ。前半のピットでも本体整備をしていたと記したが、レース直後にもまた整備? しかも日高は12Rに出走を控えているのである。チャーリーによると、8R後すぐさま整備に取り掛かり、2012_0802_0591 その様子を見た角ひとみに「早っ!」と驚かれていたとか。もともと機敏に仕事を進める日高ではあるが、その素早さにはたしかに驚くしかない。
 8Rは、2番手を走りながら3周1マークでまさかのターンミスをしてしまい3着。それもあっての、速攻整備だろう。僕が覗き込んだときには、ちょうどピストンリングを選んでいて、実際に12Rはピストン1、リング1の交換で出走している。短時間で整備をこなし、しかも12Rは2番手を走る宇野弥生を猛追しているのだから、グレートマザーは凄いとひたすら思う。
2012_0802_0124 ふむふむと感心していると、チャーリーが「整備室の隅のテーブルをちゃんと見ろ」と命令してくる。ははっ、意のままに。チャーリーが指さす方向を見ると、黄色いTシャツを着た選手がゲージ調整をしていた。一瞬、誰なのかわからなかったが、よく見ると香川素子。チャーリーによると、6Rあたりにその場所に陣取っているとか。つまり香川は、もちろん間にエンジン吊りなどを挟みながら、2時間以上もゲージ調整に専念しているのだった。
 大急ぎの整備をしている日高の横で、本体もペラも触らずにゲージ調整。これが何を意味するかは、もうおわかりだろう。結果的に香川は3日目終了時点で予選3位。そういうこと、なのである。その後、エンジン吊りなどで香川の表情も確認しているが、やはり余裕が感じられるように思えた。明日の艇旗艇番を準備する足取りも、ゆったりしていて堂々たるものだ。正直言って、ここまでややノーマークの存在だったのだが、しっかりと注意を配らねばならないだろう。
 で、そうこうしていたら、チャーリーがさっさと帰ろうとするので、てめこのやろなにかえるじゅんびしてんだこら、と引き留めた結果、10Rでは守屋美穂の水神祭である。ここでヤツを帰していたら、水神祭の記事はなかったのであった。
2012_0802_0018  若松のピットでのレース観戦は、水面際から対岸のビジョンを見るというスタイルなのだが、選手たちはたいがい控室やペラ室、整備室にあるモニターで見ていて、ここでずらりと並んでいるのは報道陣ばかりだったのだが、10R時には田口節子、金田幸子、落合直子、鎌倉涼が陣取っている。しかも、田口はフェンスをまたぐようにして腰かけており、あとで真似してみようと思ったら、水面に落ちそうでめちゃくちゃ怖かった。BOATBoyの女子バン・森喜春とともに、選手たちのバランスの良さに感心したものだった。
 それはともかくとして、このメンバーが“アリーナ”で見守るなかで、守屋美穂はGⅠ初勝利をあげたのである。守屋のツケマイが藤崎小百合を超えていく瞬間、仲間たちは小さく唸って、静かにテンションを上げた。鮮やかな一撃に、そこにいる誰もが感動したのだ。
2012_0802_0984  守屋がピットに戻ってくると、本人以上に出迎えた仲間たちが笑っていた。堀之内紀代子も実に嬉しそうに祝福。後輩である樋口由加里も顔をほころばせていた。
2012_0802_0473  気づけば、報道陣も含めて多数の人々が守屋を注視している。GⅠ初1着のヒロインに大きな大きな注目が集まったのである。このときピットには依然として強い風が吹き込んでいたが、ちょっとした非日常の空気が立ち上ったことで、それは涼風のように感じられた。言ってしまえば、予選道中の1つの勝ち星に過ぎないのだが、守屋の笑顔はそれを特別なものに変えてしまったのだ。
2012_0802_0731  で、その後に行なわれた水神祭。ボートリフトの端っこで大笑いしながら見ていると、隣で見ていたのが浜田亜理沙であった。浜田もまた楽しそうに、そして嬉しそうにニコニコ。金田幸子のドザエモン・パフォーマンスに笑ってもいた。浜田選手、次はあなたの番ですよ! 明日の2R、特別な勝利を見せてくれ!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)

2012_0802_0001 どこがどう、と説明するのがちょいと難しいのですが、宇野弥生にこれまでになかった風格を感じます。それはおそらく「男子強豪を破ってGⅡ制覇」というこちらの先入観とは関係ないと思う。その快挙を経て、本人のなかで何かが変わったとしか思えないのですが……。


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