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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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THEピット――柔らかな勝負駆け

2012_1222_0437  装着場のボートリフト方面から、笑い声が響いてくる。ぶっとい柱があって、誰の声かがわからないので、すすすっと場所を移動。目に飛び込んできたのは、大笑いする王者の姿だった。
Uu5w7110  松井繁と馬袋義則が、爆笑しながら話し込んでいる。試運転の手応えについて……ではなさそうだな。とにかく楽しそうだ。やがて二人は並んで控室へと歩き出しているのだが、爆笑は止まらない。松井は途中、ヘルメットを一時的に置いておくスチール製の棚を、バンと叩いてもいた。控室の前で立ち止まった二人は、さらに談笑を続ける。空気は冷たいけれど、とても穏やかな空気が二人をほかほかと包んでいた。
 優出確定の余裕? それはどうだろう。かたや馬袋は結果を出せずにいて、その後は試運転へと走っていく姿も見かけている。馬袋にはむしろ余裕がないだろう。それでも、2連勝と2連続シンガリの二人は、おかしそうに笑う。王者がそうして馬袋を和ましている、というのは考えすぎだろうか。
 
Uu5w6085  馬袋が試運転へ向かう際、併走するように走っていたのは平尾崇典だ。よく見れば、平尾のボートは係留所にあり、朝特訓後もボートを陸に上げず、速攻でペラ調整に走った模様。一日を目一杯使って、勝負駆けを戦おうとしているわけだ。表情は昨日までと変わらないが、淡々としつつも勝負モードに早くも切り替わっていると言っていいだろう。
Uu5w7187  朝特訓の後にボートを上げなかったのは、今垣光太郎も同様だ。こちらは平尾とは違って、必死な様子が伝わってくるたたずまいである。もし昨日の1号艇を活かしていたら、少しは違った雰囲気になっていただろうか。来期B2の今垣は、基本的には記念戦線からしばらく遠ざかる。ただ、SGに出場する手段はある。この賞金王で優勝戦に進むことだ。来年のSG優先出場権(チャレカ、賞金王は除く)を手にできる優出チケット。もし2戦目を逃げ切っていれば当確だったものが、今日は勝負駆けを強いられることになったのだ。視線に力がこもるのは、当然と言えるだろう。
Uu5w6858  もう一人、白井英治も思いが伝わる表情を見せていた。目つきがあまりにも鋭いのだ。険しいでも厳しいでもいい。とにかく、目に力がこもっている。いや、こもりすぎと言ってもいいほど、メラメラした視線なのだ。白井も今日は勝負駆けに挑む。メンバーはなかなか厄介だ。この時間帯からほとばしる気合が見えるのは、少々早すぎるような気もしないではないが、こうして自分を高めていくのが英治スタイルであるのなら、今からレースが楽しみである。

2012_1222_0632  そうしたなかで、穏やかなたたずまいを見せる太田和美には痺れますな。1号艇とはいえ、決して簡単な勝負駆けではあるまい。だが、おそらく胸に秘めるものはありながらも、涼やかな表情で、柔らかな空気を醸し出している太田の人間力には恐れ入るばかり。朝のピットを後にして考えてみれば、もっとも印象に残ったのは地元勢の柔らかさなのだった。
(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)


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