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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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H記者の「ダービーの再現だっ!!」予想

 極選は声も出ない惨敗。しかも5Rの緊急追加で泣きっ面に蜂のHです。憲吾どの、うりちゃん、最後の最後まですまん! 悔しいのでシリーズ優勝戦も穴・極選に指名します!!

10R 賞金王シリーズ優勝戦
 ①田中信一郎(大阪)S'↓
★②笠原 亮(静岡) S→
◎③中島孝平(福井) SS→
★④山口 剛(広島) A→
 ⑤池田浩二(愛知) A'→
 ⑥倉谷和信(大阪) A’→

 進入16/2/345

 悲願のSGタイトルを狙う倉谷が容赦なく進入から攻めて、内水域が深くなります(池田も動いて回りなおすかも)。となれば3カドにも近い笠原は握る一手。これが信一郎に届くか。今日の足合わせでの信一郎の動きは一息に見えました(相手は松井だったり吉川だったりしましたが)。ギリギリ届くか、ゴッツンコか。絶好の展開になるのはシリーズ一のパワーを誇る中島です。豪快に割り差してGI完全V~SG制覇というサクセスストーリーが生まれるでしょう。笠原とのウラオモと、今節オトコを上げた山口君へ。
3連単★3=2-全、3-4-全

 そして、さあ行こう、決定戦!!

12R 賞金王決定戦
★①井口佳典(三重) SS→
 ②松井 繁(大阪) A?
△③湯川浩司(大阪) A↑
 ④濱野谷憲吾(東京)A↑
★⑤瓜生正義(福岡) S→
 ⑥吉川元浩(兵庫) S↑

進入123/456

●パワー…今日、特訓で気配がよかったのは湯川、憲吾、吉川のちょっとトップには足りなかった面々。すでに完璧に仕上がっている井口と瓜生は磐石。問題は松井で、伸びだけなら吉川に半分ほどやられていた(記者席から回り足は見えず)。おそらく2号艇仕様で出足型にシフトしているのだろうが、この軌道修正が間に合うのか? ちょっと厳しいかも。
●進入…吉川が色気を出さない限り、90%の確率で枠なり3対3。
●スタート…今年は例年よりスタートがばらけ、やや波乱含み。Fは切れない大一番でボーダーはコンマ12前後。誰がタッチの際まで行けるか……度胸満点の井口か、「Fを切るくらいのつもりで来た」と豪語した憲吾あたりか?
●1マーク~バック…井口はひたすら逃げるのみ。松井は「差しきります!!」と宣言した通りの決め差し。松井がハンドルを入れた瞬間に湯川は握り、憲吾はそれに連動しながら得意の割り差し狙い。瓜生と吉川はSを決めて展開を突く。
●結論…松井に流れなく、湯川と憲吾は正味のパワーがまだ足りない。怪物級の井口と隠れ怪物級の瓜生がバックで抜け出し、あのダービーのような銀河VS瓜生の一騎打ちを期待します! 最後に大穴も買っておきたいので湯川がまくって瓜生がまくり差したときの5-3も少々。黄金瓜ちゃん、頑張れ! 憲吾どの、斬り捨て御免!!

3連単★1=5-全、大穴5-3-全


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賞金王決定戦スペシャルプレゼント!

賞金王決定戦が終了して早や3日。まだ余韻の残る方も少なくないでしょうが……ここで、追加プレゼントです!

SANY0680 賞金王決定戦覇者、辻栄蔵サイン入り住之江競艇スタッフジャンパーです! 賞金王になりたてホヤホヤの辻選手に、共同記者会見後に直撃してもらったサイン! まさに感動がタップリ詰まったサイン入りジャンパーです! 写真は、それを私、K記者が感激のあまり着てしまったものですが……私が着たものでもかまわん!という方はぜひともご応募ください。

応募要項は、近日中にアップされると思われますので、要チェック。ご応募お待ちしております!

プレゼント追加しました!是非ともこちらより応募ください!


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賞金王決定戦 私的回顧

辻栄蔵、Vモンキーで艇界ナンバー1に!

20051223_12r_031

「オオタ~~!」
「エグチ~~~!」
「ケンゴォォォォ!」
 凄まじい声。どこからこれだけの人が集まるのか。一般戦では閑散としている住之江のスタンドが、通路も階段も老若男女で埋め尽くされた。
 賞金王決定戦なのだ。
 ダッシュ勢3艇から起こしはじめる。そして、スロー勢。
「エ~ゾオォォォ!」
「行け、オオタッ!」
 選手たちの名前が、さらに激しくスタンドを交錯する。進入は123/456。江口晃生はスタート展示同様、4カドを選んだ。その江口が伸びる。というより内の太田和美と仲口博崇が少し凹んでいる。インからしっかり突っ込んでいる辻栄蔵だが、防波堤がないため寒そうだ。
20051223_12r_069  江口か!?
 スリットから半艇身ほど江口が抜け出した。絞りまくりも可能な態勢だ。その外からは濱野谷憲吾がぴったりとマークしている。歓声は頂点に達して、オギャ~~という赤子の鳴き声に聞こえる。江口のまくりを願う声と、それを阻もうとする声と。
 生来のまくり屋ではない江口は、絞らなかった。まくるよりも、内を見て差し場を探しているようだった。
 ゴッツン。
 もちろん歓声で音は聞こえないのだが、憲吾がそんな勢いで江口に艇をぶつけ、まくりを促した。
「江口さん、行ってよ! それがカドの役目でしょ!!」
 憲吾の心の叫びが聞こえる接触。これで江口が動いた。が、一気に絞らなかった分だけ仕掛けが遅れ、辻までは届かない。江口は2コース仲口を越えたところでまくり差しに構え、憲吾は仲口と3コース太田の間に艇を突っ込んだ。
20051223_12r_051  この瞬間に、第20代の賞金王が決まった。辻栄蔵。1マークを外すことなく豪快なインモンキーを決めた辻は、もうバック直線を疾走している。2番手の憲吾が差し抜けたときには、すでに5艇身差……。先にまくり差しを打った江口は、流れた仲口に接触し、さらに大外を全速でぶん回した笠原亮にも接触して後退した。辻のひとり旅。
 賞金王になるには、相応の実力プラス人並みはずれた強運が必要だ。2日目まで、その運を独占しているのは連勝発進した太田だと思っていた。が、実は辻の方が上回っていたのだ。その2日目の11レース、5コースから何もできずに1マークを回った辻は、半周後の2マークで先頭に立っていた。植木の原因不明の転覆。その煽りで失速した2番手の笠原。さらに瓜生が落水……。おそらく、何のアクシデントもなければ、辻は3、4、5着争いで汗水を流していたはずだ。とにかく、あまりに地味な恵まれ勝ちだったため、カドから連勝した地元の太田ばかりが目立っていた。
20051223_12r_047  レース後、辻はその勢いのまま「地味な運」を真の強運に変える。抽選で翌日の1号艇ゲット。そのレースでは、誰も仕掛ける者がいない楽勝の逃げ。一方の太田は、早々に決定戦の切符を手にしていたためか、精彩を欠くレースで6着……総合ポイントで辻と仲口がトップに並んだものの、「1着」の数で辻がポールポジションを手にした。風向きが完全に変わった。
 ブッチギリのゴールイン。辻は何度も何度も強く握った拳を曇天の空に突き上げた。強運を味方に付けた優勝だったが、その運を引き寄せたのは辻自身だ。艇界最高峰のシリーズでの1号艇。今までトライアルと決定戦で、圧倒的な人気を背負った1号艇がどれほどS遅れやハンドルミスなどで自滅したことか。辻は2度の1号艇を、スタートから1マークまで全くいつもと変わらないスタイルで駆け抜けた。目の前に現れたチャンスの神に対して、臆することなくその前髪を鷲づかみにしたのだ。
20051223_12r_088  おめでとう、辻栄蔵。同期の守田俊介をこよなく愛する俺としては「随分と先を越されちまったな~」という悔しさも感じるのだが、今の俊介にはまだ足りないものを辻は持っている。4節連続でエースモーターを引くほどの強運もそうだが、それ以外にも……。いつの間にやら、辻は黄金のヘルメットを被るに相応しい選手に成長していた。
(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO、TEXT/畠山)


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号泣

SANY0626  優勝戦のピットでは、漂うように静かさに身を委ねるのが、すっかり快感になってしまった。6人以外は仕事をすべて終えているから、ピットからは音が消える。その空気は神聖であり、また澄んでいる。そこに身を置くことの喜び。その後に展開される烈しい戦いは、きっとこんな神々しい場所からしか生まれない。そんなふうにも思えて、僕は恍惚となる。
 優勝戦が2つもある賞金王。10R(シリーズ優勝戦)から早々と、ザッツ・優勝戦とも言うべきムードに包まれたいたわけだが、ウットリしながらも僕は、あることに気づいていた。決定戦ベスト6のボートが、一艇も着水されていない。ふと揚降機のほうに目をやると、今年最後の聖戦を戦う6艘のボートは、まるで自分こそがこの舞台の主役だとばかりに、装着場に置かれていた。何らかの理由があったのかどうか、わからない。たまたま、かもしれない。だが、僕はこれが賞金王決定戦に必要な儀式だと思い込むことにした。特別なレース。特別な舞台。だとするなら、6艇は最後に水面に姿を現わすのが好ましい。そんな申し合わせなどないのだとしても、見えざる手がベスト6の相棒たちに働いた。そうに決まってる! これが、賞金王決定戦、ファイナルバトルなのだ!
SANY0636  賞金王シリーズ優勝戦が終わり、最初に着水したのは、笠原亮。以後、辻栄蔵、仲口博崇、濱野谷憲吾、太田和美の順に着水し、最後にゆっくりと江口晃生がボートを水面に降ろした。向かう先は展示ピット。江口が最後に接岸された瞬間、ピット内にゴングが鳴り響いたような気がした。ということは、ピット内に、ではなく、僕の脳内に、じゃないか。でも、あのとき、可聴領域を超えたところで、ゴングはきっと鳴ったのだ! 江口は、いや、順々に接岸したすべての男たちが、心の中でたしかにファイティングポーズを取っていた。

SANY0642  11Rがピットアウトすると、ベスト6戦士に展示乗艇の合図がかかる。モーターの始動確認をして、いったん停止。それからは、順位決定戦を眺めることとなる。住之江のピットの場合、展示ピットのすぐ後ろにモニターがあるため、どのレースでも展示を待つ選手たちはいったんボートを降り、モニターの前に集まっている。ベスト6の男たちも、当然、ボートを降り始めたのだが……黒と黄色のカポックは、動かなかった。仲口と濱野谷は、ボートに乗ったまま、水面を眺めている。言うまでもなく、そこからはレースは非常に見にくい。というより、展開はほとんどわからないと言っていい。それでも、仲口と濱野谷は、ボートの上から11Rを見た。いや……もしかしたら、彼らの目にはレースなど映っていなかったのかもしれない。二人が見ていたものは、数十分後に同じ水面を駆け巡っている自分たちの姿だった……そんな妄想をして、僕は彼らの魂に慄えた。

SANY0660  12R前の静寂が、他のSGと比べて特異だったとは思わない。誰もが息を呑んではいたが、それはいつものSG優勝戦と同じだ。ただ、少しだけ異変があったとすれば、そこに選手の姿が多かったことだ。彼らは、水面にもっとも近い場所まで出て、ピットアウトを待っている。始動のブザー。モーター音が鳴り響いて、発走。よく見れば、11R後はどうしているんだろうと気になっていた山崎智也が、秋山直之、村田修次と並んでピットを飛び出した6選手を見つめていた。そうか、江口さんがいるんだ。智也は、自分の思いを江口の青いボートに託し、心の中で声援を送っていたことだろう。SANY0656 ふと気づくと、選手たちが続々と姿を現わした。このスーパーバトルを、選手も間近で見たがっている。来年は、自分がこの時間帯にあの水面上にありたい。そう決意を新たにしながら、頂上決戦を注視している。進入が3対3に固まった頃には、たしかに賞金王決定戦のピットになっていたのだった。

20051223_12r_022  1マーク、辻が先マイして抜け出したとき、智也から溜め息が漏れた。あぁ……。江口の放ったマクリが不発に終わって、あとはかすかな希望を握り締めながら、流れていく景色を見守るしかない。
 市川哲也、吉岡政浩がやや早足で姿を現わす。辻が勝つぞっ! 二人とも心なしか目を見開いて、水面に目をやりながら揚降機付近までやって来た。ボートの引き上げ作業があるから、控室にいた面々も次々と駆け足でやって来る。胸に去来する思いはそれぞれだろうが、ひとまずは今年のナンバーワンが決まったことへの祝福と安堵を抱いて、走っているようであった。
 レースが進む。辻が先頭を突っ走る。ゴール。賞金王が終わった。すべての人が、賞金王を終わらせた。対岸のビジョンに、手を突き上げる辻が映っていた。

SANY0669  敗れた選手たちに、賞金王の余韻に浸っている時間はない。モーター返納のため、ダッシュで整備室に向かうのだ。僕も、慌てて後を追う。そこでもっとも悔しさを露わにしていたのは、江口だった。顔が歪む。眉間にシワが寄る。ふーっとひとつ息を吐いて、やっと笑みが漏れた。カポックを脱ぎ、足早に整備室へ。秋山のヘルプを得て、返納作業。それを、少し離れたところで智也が見守っていた。腕を組んで、穏やかな視線を江口に送っている。会話はない。智也はただただ見守り、江口は黙々と返納にかかる。そこにあったのは、尊敬すべき先輩と愛らしい後輩の魂の交歓だけだった。
20051223_12r_018  もっともサバサバしていたのは、濱野谷憲吾だ。トライアルを通じて、余裕という名の素晴らしいオーラを発していた憲吾は、レース後もまた、余裕をたたえていた。だが、勘違いしてはいけない。憲吾は、決して勝負に淡白だったわけではない。前検の体重が53kg。そして今日は50・6kg。憲吾は、明らかに賞金王に懸けていた。極限の減量は、レースでのアドバンテージを得るのと同時に、メンタルを限りなくクリアにしていたのだ。やることはやった。後悔することは何もない。その自信が、余裕を感じさせた。レース後もふさぎ込む必要など、どこにもなかった。濱野谷憲吾は、いずれ賞金王を獲る。そう確信させる、威風堂々たるたたずまいであった。

SANY0597  太田和美は、実は家族をピットに呼んでいた。賞金王シリーズの特選B戦が始まった頃、家族と対面した太田は、とびきりの充実感を手にしたようだった。しかし、勝負の行方は思うままにはならない。トライアル1、2戦の流れは、ついに太田のもとには戻ってこなかった。レース後の太田は、とりたてて感情を表に出すようなことはなかった。それでも、家族に晴れ姿を見せられなかったことは、確実に心に引っかかりを残していたはずだ。もはや、太田がなすべきことはひとつだ。来年もまたこの舞台に帰ってきて、2年越しの思いをかなえることである。
20051223_1_032  笠原亮は、なんだか複雑な心境でいるように見えた。今、自分がここにいることを、彼は2005年を迎えた頃には想像もしていなかったはずだ。夢舞台での戦いは、まさしくチャレンジ。池田浩二がシリーズ優勝後の会見で、「前回のSG制覇(2003年グラチャン)は、今回の亮と同じで、チャレンジャー精神でしたから」と言っていたが、だから笠原は気後れも萎縮もせずに、このスーパーバトルに臨めたのだろう。しかし、ベスト6に残った段階で、彼にも黄金のヘルメットを手にするチャンスは与えられていたのだ。敗れて戻ってきたピットで、笠原はそれに気づいたのではなかったか。チャレンジャーとしては、精一杯の戦いをした充実感もある。無事戦いを終えられたことへの安堵もあっただろう。だが、やっぱり悔しかった! それらが混ざって攪拌されたかのような表情。笠原よ、君は再びこの舞台に立たねばならぬ。今日の戦いを味わった以上、このままで終わるわけにはいかないのだ。

SANY0665  仲口博崇は、レース後、さすがに言葉少なであった。うつむき加減で整備室の前まで歩くと、やっと思い直したように明るくレースを振り返ったが、心にかかった霧が拭われるわけがない。自分は、勝利の女神と結ばれることはないのか……。モーターを返納し、整備室を出ると、仲口の視線はさらに下を向いた。それを見て、長嶺豊さんが声をかけた。仲口の口元には笑みが戻ったが、どうしても目が笑ってくれない。「また来年や!」。沈鬱な空気をひっくり返そうと、長嶺さんが声を張り上げると、仲口は軽く肯いて踵を返した。今度は、そこにJLCでおなじみの荻野アナが近寄る。荻野さんは、仲口の右手からヘルメットを剥ぎ取って、その右手を力強く握った。そして、無言のまま、長く長く握り続けた。周りの湿度が、一気に上昇した。
20051223_2_004  帰り支度を終えて帰途に着こうとしていた仲口に、僕はたまらず声をかけた。お疲れ様でした。ああ、お疲れ様でした。何事もない挨拶も、なんだかいたたまれない。僕は、つい「来年こそはSGを獲ってください。お願いします」と口にしてしまったのだった。お願いします、って……。しかし、今日の仲口に対して、僕は一取材者ではいられなかった。もはや、いるつもりもなかった。正直言って、泣きそうでした。仲口が、心の底から笑い、すべてのオリを洗い流すほど泣ける日はいつなのだろうか。仲口の沈痛を思うと、僕はただただ応援の言葉を発することしかできなかった。本当に、来年こそ……。

20051223_12r_115  さて、賞金王は、実はまだ終わっていなかった。もちろん、辻栄蔵である。ウィニングランを終えて、地上波放送のインタビューを受けると、大急ぎで着替えて、表彰式へダッシュ! 市川や吉岡とひとまず喜び合ったけれども、感動を分かち合うヒマはない。辻はひたすら笑顔を振り撒き、周囲の拍手とおめでとうの声の中、本当に嬉しそうに次のスケジュールへと向かっていた。
 長い表彰式が終わって、あたりが闇に包まれ始めた頃、辻は救助艇でピットに戻ってきた。そこには、市川の姿があった。辻は、すぐに市川に気づいたようだった。そして救助艇を降りると、周りには目もくれずに、市川のもとに駆け出した。そして、やっとこの瞬間が訪れた、とばかりに、市川の胸に飛び込んで、ガッシリと抱き合った。
SANY0677  そのときである。辻は、声をあげて号泣したのだ。表彰式でも泣いていた。だが、彼にとって、それは全開の涙ではなかったのだろう。市川の姿を認めたとき、辻の心の奥の奥で飽和状態になっていた涙が、いっぺんに溢れ出た。やった、やった……そう言って泣き続ける辻を、市川は優しく「よくやったな。おめでとう」と言って包み込んだ。辻の涙は、さらに溢れた。市川は、共同会見があるだろ、とばかりに、そっと辻を離して、背中を押した。ようやく我に返った辻は、涙をぬぐって、会見場に歩を進めた。その後姿に、市川は「(俺たちのことは気にしないでいいから)ゆっくりしてこいよ」と、また優しく言った。あぁ、僕もまたもや泣きそうだった……。

20051223_12r_075  会見を終えた辻は、今度は長嶺さんやJLCのスタッフに拍手で迎えられた。会見を見学していた市川も(「もう辻には教えられることはあっても、教えることなんてないっすよー」と笑っていた)吉岡とともに出迎えた。長嶺さんが、ジョークを飛ばす。「水神祭やるか? 辻がやりたいっていうなら、やるしかないな」。辻は、勘弁してくださいよぉ、とばかりに大笑いした。そう、辻にやっと笑顔が戻ったのはこのときだった。祝祭空間が、完璧な形で浮かび上がった。そして、このとき本当に、賞金王が終わった。
 辻の笑顔と涙。濱野谷の充実。笠原の悔恨。太田の家族への愛。もちろん、仲口や江口の辛い思いも……。すでに真っ暗になっていた住之江の水面に、すべてが映っているように思えた。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO+黒須田 TEXT/黒須田守)


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穏やかに時は流れ――賞金王決定戦、ファイナル前半のピット

 シリーズ優勝戦の項で書いたとおり、年間最高の舞台を控えた朝だからといって、とりたてて変わったところはない。ベスト6の戦士たちは思い思いに剣を磨き、鎧を整える。ヒリヒリとした空気も今のところはなく、ただただ穏やかに時は流れていく。

20051223_1_030  ペラ調整室を覗いてみたら、辻栄蔵がゲージを当ててペラのチェックをしていた。窓のほうに背中を向けていたので、表情を確認できたわけではなかったが、ちらりと見えた横顔は、普段着の辻栄蔵。あくまで現時点では、と断わっておくが、体が硬直するようなプレッシャーは辻にはない。今は、少しでも磐石という言葉に近づけるよう、自慢の剣に魂を込める。
 その頃、すでに太田和美は水面にボートを降ろしていた。決定戦組で陸の上にボートがないのは、この太田のみ。絶好の流れを寸断してしまった昨日の6着、再び潮流を手元に引き戻すため、いち早く水面で感触を確認する。トライアルの2つの勝ち星は、展開が向いていたことも事実、太田としては自力で艇群を切り裂くだけの手応えがほしいところだろう。この早い動き出しは好材料と見たが。

20051223_1_028  整備室に笠原亮の姿があった。同地区の先輩・赤岩善生が1Rで落水しており、モーターの点検をしていたので、後輩としてヘルプしようとしているのか、と思いきや……装着場の笠原のボートにはモーターが乗っていなかった。ということは、自分のモーターのチェックであろう。朝特訓で気になる点でもあったのだろうか。レース後のボート引き上げ以外はずっと整備室にいて、かなり入念なチェックのようである。表情には、まったく緊張している様子はないのだが……。佐々木康幸のモーターを片付けている際、先輩の徳増秀樹が声をかけた。「本当にサンタが来たな」。笠原、ニコーッ。でも、本当のプレゼントは1億円と黄金のヘルメットだぞ。
SANY0583  トライアルを勝ち抜くことができなかった菊地孝平の姿を装着場で見かけた。順位決定戦で一矢報いようと、最後の調整か……と思いきや、近づいてみると、江口晃生が一緒だった。テレビカメラとスタッフが二人を取り囲んでいるが、まったく気にせず、しかし小声で、かなり長い時間、話し込んでいる。江口は目を細めているが、菊地は時に笑い声をあげるものの、真剣な表情。いったい何の話をしているのかはわからないが、菊地の顔つきから類推するに、やはりファイナルに関する何かであろう。その後、一人ピット内を歩く江口を見かけたが、泰然自若はまったくいつも通りでも、やはり心のカップになみなみと注がれた気合を感じずにはいられない。やはり、この男がキーマンか。

20051223_1_039  仲口博崇の大一番前のリラックスした表情は、初めて見るような気がする。顔見知りの記者とスポーツ紙を笑顔で読み込んでいるのだが、その様子は一言で言えば、談笑。仲口の大一番モードといえば、ググッと厳しい顔つきに、やや視線を下に向けてキッと睨みつけるかのような目つき。しかし、午前中の仲口は、まるで別人である。思えば、今日は仲口が経験してきたこれまでのどのレースよりも、最大の大一番。だからこそ、大一番モードを突き抜けた領域に突入したのか、それとも積み重ねた経験が仲口を変えたのか。もちろん、何しろまだ午前中だ。午後になって、大一番モードが顔を出すかもしれない。だが、僕は午前中の仲口は、最高の時間を過ごしていると思う。この調子で決定戦ファイナルを迎えられますように。
 濱野谷憲吾は、とにかく余裕。何度も決定戦ファイナルを経験しているのだから、ハートの仕上げ方はすでに知っている。もはや何の不安も、憲吾は感じていないだろう。午前中のピットを見て、いちばん怖い男。それは濱野谷憲吾で間違いない。

20051223_1_037  ファイナルを逃してしまった選手たちも少し。上瀧和則は、すでに切り替えが済んだのだろう、サバサバした表情である。さすがに、燃えるような気迫はあまり感じないが、だからといって気楽に近寄ることができるほど緩んでもいない。11Rで意地の一発があると見たぞ。山本浩次は、順位決定戦に向けて、すでに水面で手応えを確かめていた。このままでは終われない、という気合がこもっているのだろうが、表情はいつも通り、淡々、であった。
 で、ファイナルの出走表にその名前を何度も探しそうになるほど気になる山崎智也。江口晃生と並んで歩いている姿を見かけたが、やはり非常にリラックスしている。最後にいいレースを見せてください!(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO TEXT/黒須田守)


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「年齢順に1コースならいいのにねえ」by江口~決定戦優勝戦インタビュー~

20051223__046  シリーズ戦優出者インタビューに引き続いて行われたのは、今日のメイン・賞金王決定戦の優出者インタビュー。ファンのボルテージも決定戦6選手の登場にやっぱり一段上がった。う~ん、やっぱり主役を張るのはこのメンバーだ!

1・辻栄蔵、2・仲口博崇、3・太田和美、4・江口晃生、5・濱野谷憲吾、6・笠原亮

 まず登場したポールポジション・辻栄蔵。おやっ、手と足が一緒に出ております。しかも「ほとんど寝ていない」って……緊張しているの!? 「すみません、ボケました(笑)」(辻)。いやいや、それなら一安心です。

 2号艇の仲口は「エンジンは強めですよ。コースは……うーん、昨日くらいピット離れがよければ行けますけども、(辻と)あまり競って共倒れしてもしょうがないですし……どうしましょうねえ?」と思案顔。でも声援をくれたファンに「ぶちかまします!」という力強い宣言に気合いが滲み出ておりました。

20051223__086 続くは地元の3号艇・太田。「3コースで自分でレースを作れる方がいいですね。優勝できるように頑張ります。もっと応援してください」に地元ファンにさらなる声援を依頼。地元を味方に走ります。

 4号艇は江口晃生。進入が注目される最ベテランは「1コースから年齢順ならいいのにねえ」と笑ったあと、「気合い入ってます」と静かな気合いをアピール。今日も穏やかな笑顔でした。頑張れ、ベテラン!

「5コースです。昨日、一昨日はいいレースできなかったので、頑張ります」。どこか余裕を感じさせるのは5号艇の濱野谷憲吾。自信、ありそうですよ。

 最後に登場は6号艇の笠原亮。「はい。6コースから頑張ります」などの、短いセンテンスは緊張しているように見えますが、これが笠原スタイル。今日も普段通りに一発、か。

 ファンのみなさん、「全員勝ちそうだな!」という思いを抱えたところで、インタビューは終了。ピットへ続く場内通路で、さらなる声援を浴びて6選手は戦いの場に戻りました。
 賞金王決定戦は場内16時25分締め切り! 見逃すな!(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO TEXT/M記者)

20051223__048


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賞金王トライアル第3弾・私的回顧

11R/大乱戦を尻目に仲口が超絶パワーV!

20051222_11r_007  もう、目がくらくら回るほどの大乱戦だった。進入は1423/56。抜群のピット離れから仲口が楽々2コースを奪い、笠原までがスロー。智也と光太郎が艇を引く。伸び型の智也としては、この5カドは狙い通りのポジションだろう。スリットでわすがに覗いた智也は、迷うことなく絞りはじめた。これも作戦どおりか。が、笠原に接触してやや失速し、1マークまで届かない。
 その間に、インの上瀧が豪快にモンキーを繰り出した。すかさず2コースの仲口も差し回るが1艇身半ほど届かない。智也の面倒をみてから差した笠原がさらに遅れて追随し、1-4-3の隊形が出来上がりつつあった。が、バックの中間で異変は起きた。1艇身半ほど遅れていた仲口がスパーンと上瀧に追いつき、あ、追いついた、と思った瞬間には半艇身抜き去っていたのだ。じわりじわり、などというスピードではない。スパーンだ。いや、スパーーーンか。
20051222_11r_011  そのまま2マークで先マイした仲口が、またスパーーーンと上瀧を突き放す。伸びだけじゃなく、回り足までスパーーーンっすか? もう、ただ唖然とするしかない。これで隊列は1-4-3から4-1-3へ。同時に俺の的中舟券(仲口の2着流し)も紙屑になってしまったのだが、あんな鬼足を見せられては悔しがる余地もない。
 ま、1-4-3で決まっても配当は安かったし。
 などと心の中で呟いていたわけだが、まさか、ここから6万近い配当にまでレースが激変するとは想像すらできなかった。誰ひとり思わなかったはずだ。
 とにかく、ここまでは仲口博崇ショー。そして、この先から真の賞金王トライアルに変貌したわけだ。特にこの11Rは今垣以外はすべて勝負駆け。ひとつの着順差でベスト6が入れ替わるサバイバル戦なのである。
 仲口が上瀧を突き放した1周2マーク、智也の鬼気迫る突進などもあって、レースが乱れはじめた。伸びない上瀧に笠原もにじり寄る。仲口以外の艇間が縮まってゆく。
 そして2周2マーク。笠原が先マイ気味に仕掛けたのを見て、上瀧が冷静に差しに回ろうとした。そこに、ほぼ真横から、またまた智也が突進した。行き行きて神軍、というか、もう誰にも止められない突進モードに突入している。智也が視野に入った上瀧が「わわっ」とばかりに失速する。さらには流れた智也が笠原に軽く接触して、笠原も失速。もちろん智也本人もバランスを崩している。
20051222_11r_043  そして、そんな停滞した空間を、今垣が「あ、すいません、通らせてもらいます」という風情で差し抜けてしまったからさあ大変。
「なんじゃありゃ、今垣やんけ~~!!」
 スタンドに裏返った声が響いた。2番手だった大本命の上瀧がいきなり沈み、代わってその座に収まったのが超人気薄の今垣……この差は凄い。寿司を注文したら麻婆豆腐が来たような、いや、自転車のチューブがテーブルに乗ったような差だ。
 智也の突進モードは、最終2マークまで続いた。突進して菊地に接触し、その反動で遅れてきた上瀧と接触したりもした。結局、突進また突進の智也は5着、その煽りを何度も喰った上瀧も6着で、両者ともに決定戦に残ることはできなかった。禍根の残るレースになったことだろうが、こうした大乱戦こそが賞金王の魅力でもある。
20051222_11r_044  4-6-3で59、580円。
 仲口のスパーーーンにはじまり、智也の突進モードで終わったこのサバイバル戦の凄まじさを、この配当が的確に代弁している。

独断のパワー評価>
 仲口が上位級だとは踏んでいたが、これほど凄まじいとは思わなかった。ただ、上瀧の伸び足がこのメンツでは明らかに劣勢だったのも確か。辻や濱野谷にも同じように通用するかどうかはまだ断定できない。試運転よりも実戦でのパワー、つまりレース足が抜群なのは疑う余地はないけれど。
 笠原は常に伸び負けしながらも、しぶとく先団に取り入る妙なパワーがある。本人に言わせると「乗りやすい」ということになるのだろうが、その自在性はやはり大混戦になるかもしれない優勝戦でも大きな武器になるだろう。

12レース/嵐の後の……辻が楽勝のインモンキー!

20051222_12r_002 大乱戦だった11レースとは、少し趣が違った。太田はすでに優勝戦当確、辻と濱野谷も大崩れがなければ当確で、逆に節間2点の瓜生は絶望的な状況だった。もちろん、さらなるポイントアップも重要なのだが、それ以上に不慮のアクシデントが怖い。直前のレースの凄まじさもあって、そんな思いが働いたのかもしれない。
 進入は15243/6。スローが5艇、インの辻にとっては美味しい進入になった。脅威は単騎がましの憲吾だが、そのスタートはコンマ25。憲吾が遅れたわけではない。太田はコンマ29、瓜生はコンマ28……コンマ10台はひとりもいなかった。スタートの時点から、すべてコンマ10台だった11レースとは、違う空気が流れていたような気がする。
20051222_12r_044  そして、コンマ20のトップSを切ったのはインの辻だった。単騎アウトの憲吾は一瞬だけまくる素振りを見せたが、届かないと判断したのだろう、大きく旋廻して差し場を探した。こうなれば辻の先マイを阻める者はいない。余裕のモンキーで先マイした辻が、バックで抜け出す。追撃するのは2コースから差した江口と、3コースから付け回った山本。回り足が強力な江口があっさりと山本を振りきり、1周2マークで123コース決着が出来上がった。
 トライアルとしては、あまりにも淡白なレース。スタンドの観衆も2周を回りきったあたりで続々と踵を返し、帰途に就きはじめた。ほとんどの人が無言でもあった。もちろん、不愉快そうな顔ではない。11レースのような競艇もあれば、こんな競艇もある。なんとなく、穏やかにそう納得しているような顔に思えた。実は、こんな競艇にホッと安堵した人が多いのかも、なんて思った。
「辻が1号艇や~、辻が1号艇やで~、辻が1号艇や~」
 レースが終わった後、白髪の痩せた老人が、何度も何度も同じセリフを繰り返す。それがスタンドに響くほど、静かだった。11レースのターンマークごとの喧騒が嘘のようだ。
 あれも競艇、これも競艇。俺もそう思う。そして、はじめてスリット写真をモニターで見ながら、この淡白なレースを振り返る。
 なぜ、山本はスタートを控えたのかな。
 当確や落選などが比較的はっきりしていたメンバーの中で、山本だけは1着が絶対必要条件だった。彼のS勘とクソ度胸をもってすれば、1艇身ほど突き抜けて一気にまくりきることだってできたのに。なぜ、それができなかったのか。
20051222_12r_053  考えながら、幻のレースを思い描いていた。3コースから山本がまくって辻が流れ、アウトから憲吾がまくり差す。5分前とは、まったく違う住之江になっていたことだろう。選手だけでなく、水面だけでなく、このスタンドの観衆も……。
 だが、そんな世界が生まれてもおかしくない状況だったのに、それは起こらなかった。
 あれも競艇、これも競艇。そして、一瞬にしてあれとこれが入れ替わるのも競艇。
 そんな意味のないことを考えてから、俺は明日の優勝メンバーを探しはじめた。確かに、辻栄蔵が1号艇だった。

<独断のパワー診断>
 ずっと言い続けているが、辻は噴いている。おそらく瓜生か辻が節イチだと思う。あの11Rの仲口の怪物級のパワーを目の当たりにしても、この確信は変わらない。具体的に説明できないのだが、足合わせの時にオーラのようなものを感じるのだ。その辻が明日の1号艇。もちろん、今日勝った瞬間に「賞金王にいちばん近い男」になったな。
 江口は出足が抜群で、展示タイム以上に実戦での伸びもある。
 太田は、実は優勝戦のメンバーでは劣勢だと思っている。伸びは辻や憲吾に負けるし、回り足では江口や仲口に及ばない。ただ、地元水面&ファンの声援がエンジン以上のパワーになるのだが。
 いちばん不気味なのは憲吾で、今日もSこそ遅れたがスリットからの伸びは出色だった。あの伸びがあれば、アウトからでも十八番の決め撃ちまくり差し「憲吾スペシャル」が炸裂する可能性は高い。明日も要注意だぞ!(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO、TEXT/畠山)


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やっぱり賞金王はすげぇよ!――賞金王決定戦、ラストトライアルのピット

20051222_11r_052 「怒り」が白いカポックを着て歩いている。
 顔を真っ赤に上気させ、目の奥に巨大な悔恨を宿し、肩をいからせ早足で、上瀧和則は控室に向かった。
 選手たちを撮影しようと待ち構えるカメラの放列が、上瀧の進路の先には広がっている。住之江のピットは、ボート揚降機の周辺はレース後に限って立ち入り禁止となり、そこから数十m離れた場所でカメラマンはシャッターチャンスを狙う。ラストバトルを明日に控えた今日は、とりわけ取材陣の数も多く、僕も含めて選手の行く手を塞いでしまうことになる。とはいうものの、もちろん選手が近づけば、道を開けるだけの礼儀は誰もがわきまえている。上瀧が近づいてきたときにも、カメラマンたちが上瀧の進路をきちんと確保しようとしていた。
 ところが、早足の上瀧はあっという間に取材陣の壁に追いつく。そして……。
「邪魔、邪魔」
 小さく唸るような声で、吐き捨てるように上瀧は言った。口調は厳しいが、決して怒鳴ったわけではない。しかし、声を荒げる以上の迫力が、そこにはあった。
 上瀧の怒りの原因は、もちろんレースにある。インから逃げて、バックは先頭。しかし、仲口博崇と競り合う格好となり、2マークで先んじられてしまう。そこからは、乱れに乱れる展開のなか、上瀧の順位はターンマークごとにおちていき、最後はついにシンガリまで下がってしまった。先述したとおり、引き上げてくる場所が離れているし、レース後はまったく他人を寄せ付けようとしない雰囲気だったので、実際のところ、怒りのスイッチを入れた最大の原因が何だったのかは、わからなかった。だが、もともと気合の人である上瀧が魂に込めた究極の気迫が空振りに終わってしまったことが、彼にとって何よりも許しがたいことであったのは間違いない。その瞬間、世界は怒りだけしか存在しない。それほどまでに、上瀧には憤怒度100%の純粋さがあった。
20051222_11r_033  ハッキリ言っておく。こういう姿を、真のカッコ良さ、というのだ。マスコミに対して邪険な態度を取った? それがどうした。レースを終えた直後の勝負師が、しかも世の中のすべてが腹立たしく思えるほどの悔しさを受け止めているときに、その思いを抑えられるほうがおかしい。それでも平静を装うこともまた、強さではあるが、怒りをまったく隠さないピュアな魂もまた、レーサーの本質だと僕は確信している。
 上瀧よ、結果は確かに残念だった。だが、あなたは最高の競艇選手だ。負けたレースに関することでこんなことを言われるのは、かえって屈辱かもしれないが、それでも僕は表明せずにはいられない。グレイテストなソウルを、上瀧に見せてもらった。痺れるほどの感動を、上瀧にもらった。やはり、上瀧はスペシャル・レーサーだ。スーパー上瀧は、極上の男だ。
 賞金王決定戦、やはり凄すぎる舞台である。

20051222_11r_107  上瀧とはあまりにも対照的だったのが、仲口博崇だ。とにかく、笑顔。ひたすら、笑顔。田中信一郎が近づいて、頭をナデナデ。ん? 2着に敗れた昨日もやってたな。しかし今日は、「よくやった! おめでとう!」のナデナデ。弾ける笑顔を一言で言うなら、今日の仲口、がふさわしい。
 テレビのインタビューを受けた仲口は、スタッフたちの嬌声に乗って、水面に飛び込む素振りを見せた。水際まで走って、ジャーンプ……はもちろんしないで、な~んちゃって、と笑った仲口。ご機嫌を一言で言うなら、このときの仲口、がふさわしい。
 会見で仲口は、「やり残した整備はありますか?」と問われ、「やり残したことは、優勝です」と言った。そして、自信は五分五分、もし一度でもSGを優勝していれば違うでしょうが、と続けた。結果的に、SG未制覇は仲口のみのファイナルバトル。これがビハインドとなるのか、それとも誰よりも強い思い入れという最終兵器となるのか。おそらく、今日の1着で「勝利の女神」の肩くらいは抱けたはずだ。モノにするには、何が必要なのか……すべては明日の過ごし方にかかっていると僕は思う。

20051222_11r_076  菊地孝平は、「終わった……」という表情。やれることはやったはず。全力もぶつけた。だが、及ばなかった……。瞳が少し潤んでいるように見えたのは、気のせいだろうか。きっと、菊地はこの舞台で何かを得たはずだ、と思う。彼から溢れ出る爽快感は、ほんの一粒かもしれないが、充実感もトッピングされていたと信じるからだ。
 笠原亮は、どう振舞っていいのか戸惑っているように思えた。芦屋で「賞金王に出るのに、今の自分の技量では恥ずかしい」と言っていた男が、トライアルを勝ち抜いて、たった6つのピットの一角を手に入れたのだ。夢でも見ているような気分になってもおかしくないし、敗れ去った先輩たちへの遠慮があっても当然だと思う。やはり、笠原には応援したくなるだけの健気さがある。
 それでも、会見に現われたときには、しっかりと意気込みを語ってみせている。「ツイている」をさんざん繰り返していたが、ツキを活かせたのは間違いなく彼の努力だ。何も怖れるな、笠原。運気の流れは誰よりも、君に傾いているぞ。

20051222_11r_070  トライアル7位、次点でファイナル進出ならず……でも、やっぱり気になってしょうがないんだよぉ、山崎智也。一言、すっげえレースぶりだった。もしかしたら、あの走りには賛否両論があるかもしれないが、これもまたハッキリ言っておく。智也らしい、カッコいいレースであった。詳細は、別稿に任せる。ただ、智也の本質の部分にどっしりと根を張っている骨太の闘志が、200%発揮された走りであった。ラフプレイを肯定するわけではない。勝つためなら何をやってもいいなどとは微塵も思っていない。だが、時に一線を超えることも辞さない魂を持つこともまた、勝負師の証なのだ。ここ一番で見せる闘魂。智也、あなたもやっぱり最高のレーサーです。そして、やっぱり賞金王はすげえよ! を証明してくれたのが、あなたと上瀧なのだ。誰が何と言おうと、智也と上瀧を僕は支持する。徹底的に支持する。

20051222_12r_100  結局、ベスト6進出者を多く出したのは、12Rだった。辻栄蔵は、エース機のパワーをついに引き出して、ファイナルのポールポジションを強奪した。そりゃあ、笑顔にならなきゃウソでしょう。ひたすら明るく、ひたすら上機嫌な辻栄蔵。我々にもおすそ分けしようとしているのではないかと思えるくらい、全身からシャワーのように痛快さが放出されていた。ほんとに、こちらまで幸せな気分になれたのだった。
 濱野谷憲吾は、とりあえずホッと一息、といったところだろうか。6号艇を2度引いてしまう不利がありながらのファイナル進出。明日も5号艇と決して好ましい枠順ではないが、金色のヘルメットに手をかける権利を掴んだことは、厳しかった予選道中を思えば、ひとまずは最高の結果であろう。中尾氏の向けたレンズに向かって、ペロリと舌を出すお茶目さまで飛び出して、むしろプレッシャーのかからない環境にあるのが脅威にすら感じる。濱野谷が穴をあける可能性、超絶にアリ、と思ってしまったのだが……。

20051222_12r_077  江口晃生を見ていたら、なんだか、たまらなくなった。何と言えばいいのか……泰然としたなかに、あまりにも強い思いを感じて仕方ないのだ。その正体が何かを確実に掴むことは、まるでできそうにない。ただ、彼から伝わってくる、せつないまでの気持ち、心が確かにある。そう言うしかないのだ。気合が欲しいと言った江口の、その「気合」とはきっと、文字通りの気合ではなく、心を強靭にするために注入する何か、ではないのか。江口が明日のレースに持って臨むものは、超抜のエンジンでもエースペラでもなく、極限まで磨かれた心。なにやら抽象的な物言いしかできないが、江口に感じるのは圧倒的に巨大で圧倒的に力強い、抽象的な何か、なのだ。
 太田和美は、6着を取ってしまった今日も、少しだけ溜め息が聞こえたような気がするけれども、心を乱したりするようなことはない。逆に、今日の頓挫は反省という名のエネルギーになるのではないか、とまで思えた。今日だけで見限るのは危険すぎるぞ。
 ベスト6への望みが絶たれたなかでの全力投球を見せた瓜生正義には拍手を送ろう。そして、やっぱり淡々、の山本浩次にも賛辞を送りたい。その揺るぎない心で大舞台に臨めることは、100%尊敬できることである。

SANY0560 12Rが終わり、ベスト6に残った選手たちは、テレビのインタビューやら共同記者会見やらに奔走していた。地上波放送のインタビューに出演していた辻、仲口、笠原はテレビカメラの前でにこやかであり続け、仲口は笠原のコメント時にマイク係を買って出て、周囲を笑わせていた。そこは、完全に祝祭空間となっていた。
 一方、ベスト6を逃した選手たちは、彼らをただただ待つ立場となっていた。宿舎に帰るバスは、報道陣に延々と捕まっている決定戦進出者が解放されてから出発する。だから、他の6人は、最後まで残ったシリーズ組ともども、ベスト6が戻ってくるのを待つしかない。控室を覗いてみたら、そこには手持ち無沙汰な智也がいた。20051222_12r_076 うつむいて、退屈な時が過ぎるのをこらえている、といった風情だ。ポッカリ空いた時間は、人にネガティブな思考を強いる。今日のレースのことを考えてしまい、暗い気分になっているのではないか……そんな心配もしてしまった。
 しかし、だ。この明暗がまた、賞金王決定戦という舞台をピカピカに輝かせるのだ。残酷なまでの落差は、ファイナルのピットに入る者にも、それを見るしかない者にも、きっと何物かを降り注がせる。
 12月23日、住之江競艇場、第12R。究極のスーパーバトル、もう待ったなし! 心のアンテナを最大限に広げて、その時を迎えるのだ!(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO+黒須田<仲口&笠原TV出演> TEXT/黒須田守)


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賞金王決定戦、ベスト6決定!

いや~、すごいレースでした。トライアル最終戦。やはり、12名全員が熱くなる賞金王決定戦。激しすぎるバトルを勝ち抜き、頂上決戦に臨むのは以下の6人!

SANY0524 ①号艇・辻栄蔵
②号艇・仲口博崇
③号艇・太田和美
④号艇・江口晃生
⑤号艇・濱野谷憲吾
⑥号艇・笠原亮

好脚の選手がズラリ揃ったファイナルバトル。勝利の女神は、いったい誰とクリスマスを過ごすのか!? いよいよ最終決戦!


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雪を溶かす熱気!――賞金王決定戦トライアル3戦、午前中のピット

SANY0488  トライアル最終戦。太田和美以外は、まったく予断を許さない1日。ボーダーを21点とするなら、2位・辻栄蔵以下、誰も6等は取れない。4等でも5等でも、ライバルが上位着順を確保すれば、一気に奈落の底に突き落とされる。チャンスはたった1走。取りこぼせば、1億円と最高の栄誉はその刹那に手の届かないところへ行ってしまうのだ。太田とて、イン圧倒的有利の今節においては1号艇をゲットすれば文字通りの「栄光への最短距離」となるのだから、緩めるわけにはいかない。むしろ、他の選手がメイチで挑んでくる分、足元をすくわれかねない危険と背中合わせと言ってもよい。ともかく、今年最後にして最大の勝負駆け、その熱気は雪さえも溶かしそうだ。3R前に雪が止んだのは、ベスト12の神通力か?

SANY0458  1億円バトルには関係のない立場だが、さすがだなあと唸らされたのは、今垣光太郎だ。朝から、整備の鬼と化している。昨日の夕方、急にこの場に組み込まれ、新しいモーターを手渡された今垣。整備の時間は今日しかなく、だから朝イチから調整に取り組んでいるということだろう。ただ、彼にはありえないことだが、勝ち上がることはないのだから、機力なんてどうでもいい、と考えたとしても、誰にも責められない立場ではある。「遠慮しない」と、松本に宣言したという今垣。彼はいつでもどこでも全力投球、なのだ。
 優出はほぼ望めなくなった瓜生正義も、調整に励んでいた一人。厳しい寒さに、さすがにスマイルは見せなかったが、気持ちのよい姿であったのは間違いない。今日、彼が暴れれば暴れるほど、ベスト6を争う戦いの行方は混沌としてくる。面白くなる! 優しき天才、しかし今日は鬼気迫る天才を見たい。

20051222_1_056  いちばんリラックスしているのは、濱野谷憲吾ではないか。そう思えるほど、肩の力が抜けている、憲吾である。笑顔のどこにも引きつったところはなく、心からの笑いに見える。リビングでくつろぐような弛緩はもちろんないが、真剣で斬り合うかのような息詰まる舞台で戦う入れ込みもまた、ないように見える。濱野谷は、もしかしたらとんでもない武器を手にしているのかもしれない。それは、このキリキリとした空気の中でも平然としていられる、強靭な精神力だ。
「特注選手」の項で、「ほしいもの=気合」と答えた江口晃生。大丈夫、あなたの泰然としたたたずまいからは、間違いなく気合の塊が感じられます。それがちっとも煮詰まりすぎた緊張感に見えないのは、さすがとしか言いようがない。江口は、そもそもが研ぎ澄まされたハートを持つ男。それがさらに磨き上げられて、キラキラと輝いている。今の江口は、とにかく素敵だ。
 そして、ミスター不動心、山本浩次。今日の朝も、淡々。すごいっす。

20051222_1_025  今日になって、さらにいい表情になっているのが菊地孝平。逆転ベスト6も十分ありそうな雰囲気である。もう1着しかない、そう決め打ったときに達する境地。それを菊地は得たのではないか、と思う。こちらも舟券勝負、菊地に決め打ってみようかなあ……。
 笠原亮は、昨日よりちょっと表情が硬くなっていた。ただ、これがプレッシャーから来るものかどうかは、わからない。あまりにも寒い午前中のピット、キンキンに冷えた風をまともに顔に浴びていたから、単に凍えていただけかもしれない。いやあ、ほんとに寒かったっすから! で、そうであってほしい、そう思った私でした。
SANY0480  仲口博崇は、今日も大一番モード。ギュギュギューっと闘志を凝縮させた表情で、一点を見つめて歩いている。で、特に今回については、これは精神統一をはかるための、意図的な表情ではないか、と見えた。正直言えば、「緊張してる?」と見えたこともこれまでにはあったのだ。しかし、今日はまったくそうは見えない。シャープに削り上げられたダイヤモンドのようなきらめきしか見えないのだ。だとするなら、仲口はまた一化けした、ということだ。勝利の女神の後ろ髪は、きっと彼の視界に入っている。
 で、上瀧和則選手、本日も見当たりません! 以上っす!

 さて、これまでとちょっと違って見えて、だからこそ気になりまくりの山崎智也。ペラ調整室の奥のほうの隅っこで、ペラを叩いていた。川北浩貴と談笑していたほかは、今日も一人、黙々と。うむ、今日の智也は骨太のレースで魅せてくれると見たぞ。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO+黒須田 TEXT/黒須田守)


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賞金王決定戦はやっぱり怪物である――トライアル第2戦のピット

2005_12_21_11r_120  いったい、何が起きたというのか……。ピットの片隅で、呆然としてしまった。
 11R。植木通彦、まさかの転覆。笠原亮とバック併走、2マーク勝負は昨日と同じ。笠原が外を回ったのも、変わらない。ただ、今日は艇王が先頭を走り、そして水面の藻屑と化してしまった……。やはり、賞金王決定戦は、怪物である。植木ほどの上手の手から、水を漏れさせるのだ。この世の出来事ではないとしか思えないことも、起こりえてしまう。それが賞金王決定戦の脅威なのか。既報のとおり、植木は右前胸部打撲により管理解除となり、帰郷した。その後の情報によれば、レントゲン検査の結果、骨には異常ナシとのこと。軽症で済んだことに、ひとまず安堵の思いだ。
2005_12_21_11r_111 そのすぐ左側で、瓜生正義も水面に投げ出された。こちらは落水。怪物は、瓜生をも道連れにしてしまった……。12R後に声をかけると、右腕を打ってしまい、やや痛みは残ると瓜生は言った。枠番抽選の際にも、他の選手から体を労わられながら、同様の説明をしていた。だが、幸いなことに、いたって元気! 抽選の帰り際に「頑張ってください!」と激励の言葉を向けると、「ハイッ!」という小気味いい返答だった。優勝戦進出の望みは絶たれてしまったが、だからこそ開き直りのリベンジを。このままじゃ今年は終われない、そうでしょう? 瓜生選手!

2005_12_21_11r_124  植木の事故に巻き込まれそうになった笠原亮は、間一髪、難を逃れた。昨日と同様、植木の好旋回を外から攻め、結果、2着。このとき、笠原はツケマイしか考えていなかったそうである。「消波装置まで行ってしまうことも覚悟してました」。その思い切りが、幸運を呼んだのではなかったか。艇王相手に小細工など微塵も考えず、真っ向からの激突を挑んだスピリッツ。これを称賛せずして、何を称えればいいのか。笠原は、自力で運を掴んだのだ。出足や伸びはともかく、乗り心地はあの総理大臣杯と同じくらいまで仕上がった、という。そして、その乗り心地こそ、笠原が求めていた足でもある。明日も果敢なレースで住之江の怪物に立ち向かうことは必至。嵐が起こるとすれば、その発生源は笠原に間違いない。
2005_12_21_11r_113  菊地孝平は完全に開き直った、と見る。スリットから伸びて、瓜生を呑み込もうとした1周1マーク。強烈なガードを受けて、そこで勝負は終わってしまったが、昨日の不甲斐ないレースを思えば、明らかに上昇がうかがえる。失格2艇があったため4着となり、ポイントは10点。21点をボーダーと想定すれば、明日は勝って相手待ちという状況である。ただし、4着-1着の辻栄蔵が2位につけていることを考えると、優出バトルは混戦であるということもできる。実際、顔見知りの記者にそれを指摘され、ちょっとだけホッとしたところを見せた菊地だった。しかし、次の瞬間、菊地は思い直したように言った。「そんなことは考えずに、明日は勝つことだけ考えまーすっ!」。冗談っぽい言い方ではあった。目が笑っているようにも見えた。だからこそ僕は、その言葉を決意表明ではなく、開き直りにより澄み切った心境の表れだと受け取ったのだ。大逆転のベスト6入り、大いにありうるぞ。

2005_12_21_11r_167  勝った辻栄蔵には、さらなる上昇の余地がある。何しろ、今日はペラ調整に失敗し、回転を合わせられなかったというのだ。勝利はいわば恵まれてのものであり、バックまでのレースぶりは調整ミスがそのまま反映してしまったような形であったが、それでも勝利を掴んだのだから、流れは辻に向いている。明日、エース機が完調に仕上がれば、ベスト6のピットはたやすく辻に転がり込むであろう。
 濱野谷憲吾は、とにかくリラックスしているように見える。着順は高いレベルでまとまり、もはや機力にも何の不安もない。あとは、普段着の自分でレースに臨むだけ。その悠々たる姿は、優しい笑みをたたえる仏様のようですらある。そう、神々しいのだ。明日は再び6号艇に入り、勝ち切るまでは厳しいかもしれないが、気づけば緑のカポックがそこにいる、というシーンは容易に目に浮かぶ。彼から注意をそらしてはなるまい。

2005_12_21_1112r_094  12Rはこの男に尽きる。上瀧和則だ。まったく見かけなかった午前中、しかしどうやら、僕がピットを後にした直後には、作業に励む上瀧の姿があったそうだ。午後のピット、まずはペラ調整室で発見すると、その後はまるで無風の静水面を思わせる穏やかな表情でピット内を移動していた。ただし、目には不動明王のごときパワーが宿っており、目など合わそうものなら失神してしまいそうな圧力がある。明鏡止水にして闘魂充満。まさしく、スーパー上瀧がそこにいた。
 4カドからマクろうとした1周1マーク、内に押し返されて万事休すとなってしまったが、上瀧らしいレースだったと言っていいだろう。レース後、控室前のモニターでスリット写真を確認すると、「かーっ! これで捕まるか、ホンマぁ」と嘆いてみせた上瀧。絶好のスタートを活かせなかったことが、悔しくて仕方がないといった感じだった。だが、上瀧の心に暗雲などひとかけらもかかっていない。スーパー上瀧は、ちっともへこたれている様子もなく、明日の勝負駆けに気持ちを切り換えているようだった。
2005_12_21_1112r_123  その上瀧が内を一気に絞っていったとき、まるでその後の展開を脳裏のビデオデッキで再生しながら走っているかのように、懐を開けて、ズバリとまくり差しを決めた太田和美。機力は万全、テクも完璧、展開も最高。もはや、この男を止める術はないのだろうか。ピットでの落ち着き払った太田を見ていると、こんな言い方はまるでふさわしくないのは重々承知だ。それでも、太田を見ていると「手負いの虎」を想像せざるをえない。ほぼ完治しているという左手の負傷だが、ほんの数週間前に負ってしまったビハインドが、逆に地元の砦たる太田の魂に火をつけ、さらに勝利の女神を強引にナンパして我が物にしてしまったのではないか、と思えてならないのだ。トライアル3連勝も、決して現実離れした話ではないぞ。

2005_12_21_1112r_127  いつでもどこでも変わらないたたずまいの二人、山本浩次と江口晃生。はい、今日もやっぱり淡々&泰然自若であります。山本は、やや苦しい状況に置かれてしまったが、それでも淡々。これもまた、すごいことである。江口は、3着2本と粘り強いレースぶり。明日もこの走りができれば、ボーダー超えを果たすが……。泰然としながらも、いまひとつ納得していないように見えるのは気のせいだろうか。
 一方、仲口博崇は、絶好のイン戦をモノにできなかったことで、少しヘコんでしまったようだった。もちろん、2着だから悪い結果ではなく、多少冗談めかしてうなだれて見せたのではあったのだが、しかし勝てなかった自分を許せなかったのは確かだろう。笑顔で近づいた田中信一郎が、ヘルメットの上から頭をナデナデ。ドンマイ、ドンマイ、明日頑張れ。え~ん、勝てなかったよぉ~……ま、本当に落ち込んでいたら、こうはならない。この余裕さえあれば、明日も好走必至!

2005_12_21_1112r_110  さて、もはや熱狂的に気になる山崎智也。12Rは6着……。自然体を保とうとしながらも、肩のあたりからミリミリと悔しさが立ち上っているように見えた。今節、智也はとにかく一人でいることが多く、同期の川北浩貴や関東地区の先輩・山崎義明らと話しているところは見かけても、いつものお茶目な智也はどこにもいない。気合という鎧を着ているようにも思えるのだ。だからこそ、敗れた悔しさもいつもより鮮明。智也、200%の本気で、金色のヘルメットを狙っているのではないだろうか。明日は、戦慄の智也が見られるかもしれない。

SANY0438  さてさて、今日も12R終了後に行なわれた、トライアルの枠番抽選。植木の帰郷、今垣光太郎の繰り上がりという緊急事態のため、決定戦メンバーは少々会場で待たされることとなった。航走検査中の今垣が組み込まれる2、4、6着グループ(11R)はひとまず後回し、1、3、5着グループ(12R)が先に抽選を行なうことになり、1着同士のジャンケンで勝った辻栄蔵からガラガラポンを回し始めた。
 その辻が引いたのは……白いタマ! 1号艇だ! なぁんだ、シラけるのぅ……その声の主は、おっと、上瀧!……って、上瀧さん、あなた11R組じゃないですか(笑)。ようするに、チャチャを入れて場を盛り上げているのだ。4号艇を引いた太田は、2連勝の余裕か、特に表情を変えず。江口もまた、5号艇でも泰然自若。続いて引いた濱野谷は……あぁ、また6号艇……。濱野谷、机に突っ伏してガックリだ。そこに再び上瀧さん!「去年だか一昨年だか、白ばっかり引いた年があったやろ? どこかで帳尻が合うようになってるんや(笑)」。からかわれた濱野谷、笑うしかありません。
 で、続いてその上瀧が出走する11R。今垣は自動的に6号艇と決定したため、緑のタマを除いて5人で行なわれた。最初に引いたのは、笠原。3号艇に満足そうであります。すると上瀧、「明日、死ぬ気で行くんなら、3号艇くらいがいいんやけどなあ」と、不満そう。笠原、そっと苦笑い。仲口は4号艇で、まあまあかな、といった風情。お次が、お待ちかね、上瀧さん! ガラポンに額を押し当てて、祈るように回すと、「出たーーーーっっっっ!」。うぉぉぉぉ、1号艇! 上瀧、超嬉しそう! 抽選に立ち会った選手代表の倉谷和信(同期ですね)とともに大騒ぎだ。やっぱり、3号艇より1号艇ですよね! 笑顔満開のスーパー上瀧でした。菊地は連続の2号艇に、グッと引き締まった顔つきに。明日は上瀧をマクるのか?
SANY0446  で、ここでも気になる山崎智也。会場のいちばん後ろの席に一人ポツンと座って、誰とも会話を交わしていなかった。うーむ、やっぱり今回は他者との間に一線を引いているように見えるのだが。5号艇にも、とりたてて顔色を変えることもなく、無言で会場を後にした。やっぱり、いつもの智也とちょっと違うぞ。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO+黒須田<枠番抽選> TEXT/黒須田守) 


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賞金王トライアル第2弾・私的回顧

11R/V候補・植木、謎の転覆に散る!

2005_12_21_1112r_029

 最初に波乱を演出したのは、菊地だった。昨日までまったく伸びのなかった菊地が、今日の特訓では人並みの伸びを見せていた。
「この伸びなら、なんとかいけるかも」
 そう思っていたであろう菊地は、スリット同体からインの瓜生を敢然とまくりにいったのだ。まくるか、差すか。二者択一なら、迷わずまくりを選ぶ。動物本能的な衝動が、菊地を突き動かす。が、伸び返した瓜生も抵抗する。舳先をわずかに菊地の艇尾に託して、不利を承知で強引に先マイを果たした。彼方に飛び去っていく2艇。両者ともに見事な散り際というしかない。
2005_12_21_11r_152    3コースの植木は、ただ普通に1マークを回るだけ。それで先頭に立ってしまった。さらに、笠原が得意のまくり差しで植木の外に貼り付く。3-4か4-3か。流れた瓜生と菊地など他艇ははるか後方へ。あとはどちらが勝つか、だ。俺は2艇を目で追いかけながら、昨日の12レースのバック直線を思い出していた。
 植木と笠原、昨日もやりあってたな。
 ただ、植木が圧倒的に不利な形勢だった昨日に比べると、今は逆に植木の方に分がある。昨日は2マークで突進気味に笠原を牽制した植木だったが、その必要はない。植木はしっかりとブイを捕えてターンした。差しもまくりもさせない完璧なモンキー。
 3-4ができた。
 そう思った瞬間、悲鳴のような声がスタンドにこだました。1マーク付近で見ている俺には何が起きたのか、まるでわからなかった。
「植木や~!!」
 誰かが叫ぶ。まさか。あれほど完璧に2マークを回ったのに。なぜ。わからない。もう1艇、2マークの横で無人の艇が揺れている。あれは何だ。何があった?
2005_12_21_11r_127  謎だらけのまま、残った艇たちが近づく。先頭は、後方を走っていたはずの辻栄蔵。その後ろには濱野谷と笠原……。2周1マーク、突っ込んだ濱野谷が流れ、笠原が冷静に2番手を取りきったところでこのレースは終わった。辻-笠原-濱野谷で300倍近い大穴。
 植木に何があった? 瓜生はどうした?
 俺はレースのVTRを待った。VTRには、何の接触のないままに横転した植木と、艇外に放り出された瓜生の姿が映っていた。瓜生は着をひとつでも上げようと、無理なターンをして振り込んだのだろう。それはわかる。が、植木の転覆はわからない。何がどうなれば、あのターンから艇が横転できるのか。風はそれほど強くはなかったのに。
2005_12_21_1112r_031 ただひとつ、考えられる理由は「このレースが賞金王トライアルだった」ということ。今日の植木は完璧に2マークを回った。しかし、それでもすぐ後ろの笠原が気になった。昨日は同じ場所でツケマイを打とうとした笠原だが、今日は差しもまくりもできずにただ植木の真後ろを追随した。植木は全速ターンで少し外に流れながら、笠原の進路をシャットアウトして勝利をより確実なものにしようとした。そのためにハンドルを内側に入れた。艇がぶれた。
 あくまで推論だが、そうでもなければ説明がつかないのだ。つまりは賞金王トライアル。1点の重みをもっとも熟知している植木だからこその勇み足だった、俺はそう勝手に考えている。
 怪我による即日帰郷。植木の賞金王が終わった。

<独断のパワー診断>
 実質、選手たちがまっとうに走ったのは半周ちょい。その短い道中で各選手がいろいろな不利を受けたから、このレースでのパワー評価は不可能だ。ただ、ガンガン追い上げが利く辻の足はトップ級だと思う。

12R/なんたる強運! 太田、決定戦へひとり旅

2005_12_21_1112r_100

 きっと太田和美は上瀧和則に感謝しているだろう。昨日は前付け3コースの上瀧が思いきり凹んで、楽なカドまくり。そして今日は、4カドに居座った上瀧がそれはそれは強引な絞りまくりを打って、上瀧本人もろとも内3艇を大掃除した。ぽっかりと開いた空間を、太田はただ駆け抜けるだけでよかった。
 玉突き事故のような絞りまくりを批判するファンもいるだろうが、あのスリットはまくって不思議のない隊形だった。やや凹んだ山崎智也と江口晃生。昨日、重い着をとった上瀧でなくとも、絞りまくりに出るべきスリットなのだ。が、悲しいかな、ダッシュ戦だというのに上瀧の艇は伸びない。すぐに内の2艇に伸び返され、ぴったり艇の呼吸が合ってしまった。
2005_12_21_1112r_119  4321の玉突き。すべて同体でぶつかった分だけ、横への衝撃は大きい。さらにインから仲口も押し戻そうとするから、サンドイッチになった群馬組はひとたまりもない。特に智也の艇は両サイドから凄まじい圧迫を受けて2度3度と水面から跳ね上がり、最後は仲口博崇と江口の艇に乗り上げてから左右にブレて、完全にバランスを失った。
 うわっ、智也も転覆だっ!!
 俺は確信にも近い思いで、この光景を見ていた。1mほども浮き上がってから着水する真っ黒いボート。その衝撃は大きく、ぐわんぐわんと左右に揺れる。横転しないように上体を上げて踏ん張る智也。もう、レースどころではない。
 ところがだ。まだボートが揺れているうちに智也は上体を沈め、スロットルを握った。着水してから1秒ほどだろうか。そして、わずか5mほど先の1マークで豪快なモンキーターンをぶっ放したのだ! VTRにも映っているはずなので、この信じられない光景を是非とも堪能してほしい。転覆してもおかしくない艇の上で、3、4秒後にはモンキーしちゃってる男。ありえない。ベスト・パフォーマンス賞をいくつ贈っても贈り足りないほどのスーパープレイだったぞ。
2005_12_21_1112r_109  このウルトラモンキーに見とれている間に、太田はまたしても一人旅を楽しんでいた。立て直した仲口と江口が縦長に続いて、レースは終わった。
 やんちゃな上瀧、華麗すぎる智也……それぞれの持ち味が十二分に発揮されたトライアルだったが、「強運すぎる太田」という印象も強く残った。これだけ実力が伯仲すれば、最後に運がモノを言う。その運を、太田は2日連続で独占したわけだ。これで、明日を待たずにベスト6に当確ランプも灯った。他の選手は整備だけでなく、勝利の女神と逢引きする努力が必要なのかもしれない。

<独断のパワー診断>
 またまた荒れた展開になったので、勝った太田のパワーが上位とは言いきれない。仲口、江口も道中で競り合いがなかったしな~。明らかに伸びで見劣りするのは上瀧。このままではダッシュ戦より十八番の前付けに出た方がいいと思うのだが。山本も現状では中堅以下だろう。智也はあのアクシデントでパワーダウンしたかも。明日の試運転でしっかり確認したい。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO、TEXT/畠山)


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植木、負傷帰郷……トライアル第3戦枠順決定

本日行なわれた賞金王決定戦トライアル第2戦。その11Rで、アクシデントが起こってしまった。1周2マークで植木通彦が転覆、さらに瓜生正義が落水で、ともに失格となってしまった。植木は、三国で負傷した箇所と同じところを打撲し(右前胸部)、負傷帰郷。賞金ランク1位、主役を担うはずだった植木が……。これにより、賞金ランク13位の今垣光太郎が繰り上がりで明日のトライアル第3戦より参戦することに。モーター40号(複勝率37・9%)、ボート93号での出走となる。12R終了後、薄暗くなった水面でたった一人の航走検査が行なわれ、展示タイムは6・75だった。なお、瓜生は右手を打ったものの、異常なし。明日はそのまま参戦する。

なお、トライアルの枠順は以下の通り。抽選の詳細レポートは後ほど。

SANY0411 トライアル第3戦
11R
①号艇・上瀧和則(5・4着=11点)
②号艇・菊地孝平(6・4着=10点)
③号艇・笠原亮(4・2着=15点)
④号艇・仲口博崇(3・2着=16点)
⑤号艇・山崎智也(1・6着=14点)
⑥号艇・今垣光太郎(-)
12R
①号艇・辻栄蔵(4・1着=16点)
②号艇・山本浩次(5・5着=10点)
③号艇・瓜生正義(6・落=1点)
④号艇・太田和美(1・1着=20点)
⑤号艇・江口晃生(3・3着=14点)
⑥号艇・濱野谷憲吾(2・3着=16点)


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H記者の「どグサレ賞金王予想」トライアル第2弾!

 まずは朝~7レースまでの特訓速報。
瓜生>山本(半艇身)
瓜生>信一郎
笠原>寺田
植木>向所
植木=信一郎
笠原=中村
植木=倉谷
辻>矢後
辻>信一郎(半艇身)
植木>信一郎
太田=岡本
太田=植木
瓜生>山本
山本=信一郎
坪井>太田
植木>太田
辻>植木
植木>信一郎
菊地=秋山
菊地=西村
菊地=坪井
瓜生>仲口
仲口=西村
憲吾≫笠原(1艇身近く)
笠原=中村

 智也と上瀧、江口は見かけなかった。上昇したのは菊地で、依然として劣勢ではあるもののギリギリ戦えるだけの伸びは付いたようだ。特注は1回だけ合わせた憲吾。笠原をボッコボコにしていたな。昨日のレースも参考にして3段階に分けると
上位級/辻、瓜生、植木、憲吾、智也?
中堅/太田、仲口、山本、江口?
下位/菊地、笠原、上瀧?
 一応、この診断を元にトライアルを予想する。

11R

 進入は123/456か。笠原が淡白に動くと12356/4の単騎がましもある。ここは①瓜生の勝負どころ。今日も試運転だけでなく個人のスタート練習を何度もやっていて、このレースに賭ける意気込みが感じられた。
 仕掛けるとしたら4、5コースからぐんぐん伸びる⑤辻だが、③植木の分厚い壁を突破できるか。植木はしっかりと外をブロックして同支部の瓜生を援護しつつ、差しかまくり差しに入るだろう。その間に菊地の差しが入るかも……。
 穴はもちろん⑥濱野谷で昼に笠原と合わせた時の伸びは化け物っぽかった。アタマまでは無理だろうが、2着までなら届く。結論としては瓜生の逃げきり。ヒモを工夫して穴を狙いたい。
3単1-6-235(勝負)、1-23-2356(押さえ)

12R

 ④上瀧はどうする。昨日はうっかりピット離れが良すぎて前付けしたとか。今日は内3艇のガードが堅そうで、枠なりから4カドを選択するかも。123/456。こうなると、⑤太田は昨日のようなまくり展開は見込めない。かといって上瀧のカドまくりも想像しにくいわけで、Sが揃えば内寄りに分がありそうだ。
 では、逃げる①仲口か差す②智也か。う~ん、どっちもありえる。ただ、仲口のイン戦は早めに全速で仕掛けるケースが多く、その分だけ取りこぼしも多い。ターンマークを少しでも外せば、あの智也が見逃すはずもない。パワーも互角か智也の方が上と診断した以上2-1を本線にする。
 でも、あの「前付けジョ~」が枠なりであっさり妥協するんかいな~?
3単2-1-345(勝負)、2-4-135、1-2-45(押さえ)


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ま、また上瀧がいない!――賞金王決定戦、トライアル2日目前半のピット

 賞金王決定戦トライアル2日目の朝。1走して、レース足を確かめたベスト12戦士たちは、朝から足りないところを補い、好脚をさらに伸ばすべく、多忙な時間を過ごしている。レースまでは時間があるとはいえ、最高のバトルを納得のいく闘いにするためには、トコトン手を尽くすしかない。そんなある種のプライドのようなものを感じずにはいられない、そんな朝である。

SANY0355  モーターをチェックしていた瓜生正義に、山本浩次が声をかけた。ピットで見る、初の賞金王戦士ツーショットである。淡々とした様子の山本に、瓜生は「行き足が来た」と報告。それを聞いた山本は、ニヤリ。ごく普通の会話なのか、それとも神経戦を展開しているのかは、さっぱりわからなかったが、少なくとも瓜生は足に手応えを得たことだけは理解できた。まあ、今日は剣を交えない二人だから、素直に「仲の良い二人」と受け取っておくことにしよう。

SANY0358  大舞台モードに、今日も早くも突入している仲口博崇。時間が経つほどに、目つきがギューッと締まっていくように見える。昨日は3着、そして今日は1号艇。決して追い込まれた状況ではないけれども、自ら精神状態を戦闘態勢に持っていっているのだろう。おそらく、足には不安を感じていない。あとは自分との戦い、ということではないだろうか。昨日も書いたが、こんなときの仲口は、文句なく男前である。
 悠然としている。こう書けば、続くのはもう、植木通彦、しかない。今日も昨日と変わらぬたたずまいで過ごしている。すれ違ったときに目が合ったので、昨日は植木のほうから会釈をされてしまった僕としては、今日はこちらからご挨拶。おはようございます、と言うと、「おぅっ!」。その声は、実に力強く、また頼もしく響いたのだった。やはり現時点での主役はこの人か。

SANY0383  表情にキレがでてきたように見えるのは、菊地孝平。昨日の様子については記事を参照していただきたいが、簡単に言えば気持ちの揺らぎを感じた昨日に比べて、ずいぶんとスッキリしたように感じるのだ。表情の真剣さからは強い気持ちが伝わってくる。それが、どっしりと地に足のついたもののように思える。とにかく、今日の菊地はいい。機力はともかく、雰囲気は抜群だ。
 笠原亮は、忙しそうだ。試運転、ペラ調整のループを延々と続けている。合間に中村有裕(同期だ)とペラについての情報交換をしたりして、ともかく一時たりとも手を休めない。つまりは、いつもの笠原が出現しているのだ。この努力が実るだろうか。

SANY0389  ほかでは、江口晃生は相変わらずの泰然自若。ただし、目力は非常に強いぞ。濱野谷憲吾は、余裕の表情に見える。もはや足色に不満は霧消しているのか。太田和美もなんだか余裕綽々。やはり昨日の1着は、最高の良薬になったのだろう。辻栄蔵は、強烈な集中力を感じさせる目つきでペラ調整。そして皆さん、上瀧和則、まったく見かけません! 記事更新のため、4R出走前には記者席に戻ってきているが、それまで上瀧の姿はどこにも見つけられなかった。こ、こ、これは! そう、チャレンジカップ優勝戦の日と同じだ! うーむ、上瀧、不気味な沈黙ですぞ。

SANY0387  さて、寒いピットで震えながらも気になる山崎智也。午前中は、ひたすらペラ調整。ペラ室で一人黙々と、木槌を振るっていました。そんな智也も、もちろんカッコいいっす。(PHOTO&TEXT/黒須田守)


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賞金王決定戦は怪物である――トライアル初戦のピット&明日の枠番決定!

2005_12_20_11r_007  賞金王決定戦。始まってしまった……11Rのスタート展示で6艇がピットアウトしたとき、僕はなぜか時間が止まることを熱望していた。あれほどまでに焦がれていたスーパーバトルだというのに、このまま進行してしまうのが怖かったのだ。10Rを戦った選手たちの艇が引き上げられ、帰宿バスの一便が出発すると、ピットは一気に静寂に包まれる。SG優勝戦にも似た顔が、突如として現われた。また、たじろぐ。選手たちにとっても1年間の総決算となる戦い、なんだか自分も総決算を強いられているような気がして、頭がクラクラした。
 今日、ピットで僕は、大一番を控えた選手たちがどのような心境でいるのかを探ろうとしてきた。僕なりに感触を得た。たった3度の走りで運命の切符を奪い合う、苛烈な闘い。12人の魂は、それぞれの形で震えていたと思う。だが、どうやらもっとも震えていたのは、僕であるらしかった。ようするに、賞金王決定戦という怪物は、そこに立ち会うすべての人間をおののかせるのだ。

2005_12_20_11r_082  11R。いきなり、この最高峰の舞台でも一番気になる山崎智也、である。1号艇から、魂の逃げ切り。レースを終えた表情は、とにかく嬉しそうであった。一斉にカメラの放列が智也を捉える。少し困ったようにニヤリと笑ったあと、その笑みを維持したまま、すーっと前を見据えた。くぅぅぅ~、カッコいいっ! やはり、この男、華やかな舞台でこそ、映える。まさしく、千両役者なのだ。
 レース後は、同期の川北浩貴とにこやかに談笑する姿が目についた。最高の滑り出しに、気分も上々。ただ、これまでのSGよりも重い気合を感じるのは深読みに過ぎるだろうか。笑顔の奥に、肉厚の闘志が見えるような気がするのだが、果たして。
 2着の濱野谷憲吾も、レース後は笑顔が絶えない。会見でも「だいぶ楽になりましたね」と、肩の力が抜けたところを見せていた。表情を見ると、おそらく足色にはほぼ満足しているはず。11Rに出走したメンバーで、もっとも落ち着きを感じるのは、この男だ。
2005_12_20_11r_069  3着の仲口博崇は、レース前のシャープな顔つきとは打って変わって、笑顔を見せた。道中の接戦を制しての3着入線は、展開を考えれば上々の結果、ということだろう。このメリハリは、調子がいい証。雰囲気は、絶好の足で優勝戦に進出したグランドチャンピオン決定戦に似ていると思う。いや、それよりはさらに仕上がったマインドにも思える。開会式で、勝利の女神を待望していると語った仲口。勝利の女神は、笑顔の人間に降りてくる、という。レース後に明るく笑う仲口には、女神とのロマンスを紡ぐ資格があるはずだ。
 4着の辻栄蔵は、負けてサバサバ、といった感じ。6コース発進の不利を思えば、このくらいの着順は想定内であったか。「明日は、ペラと外回りと本体をやります……あ、全部ですね(爆笑)」。間違いなく、好感触を掴んだということだろう。明日はエース機が火を噴くか。
2005_12_20_11r_097  明らかにストレスを溜めたのは、菊地孝平である。レース後のヘルメットの奥の目が、やや引きつっているように見えたのだが……。「いや~、下がる!」とおどけてみせたが、僕には強がりであるように思えた。その後、無人の整備室に駆け込んだ菊地は、たまたまその様子を眺めていた松本に対しても、「下がる下がる!」と言ったそうである。足への不安を吐露することで、心のバランスを取ろうとしているとしか、思えないのだが……。たしかに明るい。陽気である。だが、そう振舞っているだけではないのか……。明日の枠番抽選に向かう際、原田幸哉と顔を合わせた菊地。すれ違いざまに「明日から頑張るぞ!」と叫んだ。原田は、何か言おうとして一拍置いたあと、ただ「おうっ!」と声をかけた。原田は、菊地の心中を察したのではないか……。いや、すべてが僕の思い過ごしかもしれない。そして、そうであってほしい。俺の目って節穴だなあ、僕がそう反省するような走りを、明日は期待するぞ!
 最後に、山本浩次。言うまでもなく、淡々、です。今日はペラ調整に失敗したそうで、機力的な不安はないとのこと。ま、そんなことは関係なく、淡々の山本浩次なのです。すごい。

2005_12_20_12r_014  12R。勝った太田和美も、敗れたその他の選手も、割とサバサバしていたレース後だったが、ただ一人、笠原亮は悔しさをのぞかせていた。2着も十分ある展開で、4着。苦笑いが出て当たり前の局面である。「賞金王に出るのに恥ずかしい」と自分を嘲笑していた笠原が、この一戦でプレッシャーに怯んでしまうのではないか……そんな不安を覚えずにはいられなかった。だが、笠原はきっと脱皮したのだと思う。その苦笑いは、決して自分を責めるものではないように見えたのだ。瓜生正義と並んで歩きながら、その瓜生に向かって言うわけでもなく、「あ~、ヘタクソ!」と叫んだ笠原。その声はむしろ明るく、決して自分を貶めるものではなかった。2着の展開があったということは、ほんの少しの変化で上位を狙えるということである。今の笠原は、失礼な言い方だが、大番狂わせを演出するだけの状態にあるぞ。注目する価値は目一杯ある。
2005_12_20_12r_119  太田和美は、特別、喜びを爆発させることはなかった。まあ、地上波テレビ→JLC→枠番抽選と、レース後のスケジュールが目白押しで、浮かれているヒマがなかったのも確かであるが。その合間に、田中信一郎とレースを振り返ったりもしていたが、そこでも真剣な表情は崩れていなかった。勝って兜の緒を締めよ。それを、ごく自然に実践しているような振る舞いだった。
 植木通彦は、レース後も平常心でいるようだった。インからまくられたのは、痛恨事であったに違いない。だが、道中をきっちり捌いて2着を確保したレースぶりには、何らかの手応えを得たはずだ。艇王にとっては、悲観するようなトライアルの幕開けではない。植木ほど、賞金王の闘い方を知っている男はいないのだから。
 スタート展示5コースカド、本番3コーススロー。上瀧和則である。スタート展示をピットで見ていた鳥飼眞が「うぉぉぉぉ、こ、これは……」と唸ったくらい、絶妙な伸びを見せていたことから、本番もダッシュ戦か……と思いきや、ピット離れの良さを活かして、コースを取ったのであった。で、その結果、スタートでへこんでしまった! 4カドから捲った太田にとっては、この展開が味方となった。この進入、どうやら上瀧も想定外だったらしく、レース後は太田と笑いながらレースを振り返っていた。「スタート、わからんもん(笑)」。絶好の流れがアダとなることもある。勝負の綾は、人知を超えたところにあるものなのだ。ということで、上瀧、まったく落胆したふうもありません。明日の巻き返しは必至か。
2005_12_20_12r_100  江口晃生と瓜生正義は、悪い表情ではなかった、と思う。江口は逆転3着、瓜生は6コースというビハインド。それを考えれば、まずまずの初戦、ということだろう。

SANY0345  さて、12R終了後に、トライアル第2戦の枠番抽選が行なわれた。2、4、6着グループが11R、1、3、5着グループが12Rの出走となり、モーター抽選でも使用するガラガラポンの抽選機で、明日の枠番を決めるのだ。抽選の順番は、好着順組からで、同着順同士はジャンケンで先攻を決定する(ジャンケンした選手同士の様子を想像してみてくださいね)。まずは、各レースの組み合わせは以下の通り。
11R
①号艇・瓜生正義(6着=4点)
②号艇・菊地孝平(6着=4点)
③号艇・植木通彦(2着=9点)
④号艇・笠原亮(4着=6点)
⑤号艇・辻栄蔵(4着=6点)
⑥号艇・濱野谷憲吾(2着=9点)
12R
①号艇・仲口博崇(3着=7点)
②号艇・山崎智也(1着=10点)
③号艇・江口晃生(3着=7点)
④号艇・上瀧和則(5着=5点)
⑤号艇・太田和美(1着=10点)
⑥号艇・山本浩次(5着=5点)
SANY0340  通常のSGならば、枠番はほぼ公平に回ってくるわけだが、賞金王決定戦は運も大きな要素となる。11R、2番目に抽選機を回した濱野谷、6号艇のタマが出ると、思わず悲鳴をあげる。「6号艇、引いちゃったよ~」と泣きが入っていた。植木は、抽選場の外にいた競艇広報センターの黒田氏に「6号艇だよ~」とウソの報告(笑)。黒田氏が悲しんでみせると、悪戯っぽく笑った。余裕ですね。11Rは、最後まで1号艇が残っていて、瓜生は残り物に福状態。ただ、瓜生が抽選機を回したとき、どこかシラけたムードに思えたのは、気のせい?
SANY0354  12R、最初に引いた太田は5号艇。次は智也の番だが、ここで上瀧が笑顔でチャチャを入れる。「遠慮っていう日本語、知ってるよなぁ~?」。今日は1号艇で1着の智也への強烈なジャブです(笑)。智也が引いたのは2号艇。おおっ、好枠です。すると上瀧、「かーっ、つまらん!」とやっぱり笑顔。智也は、「遠慮しましたよ(笑)」とジョークで返答だ。ま、ほんのちょっとだけ遠慮した、のかなあ……。
 1号艇を引いたのは、ともやの次に抽選機を回した仲口。思わず、「よっしゃっ!」と絶叫だ。この瞬間も、他の選手はどこかシラけたムードだったような気が……。抽選は実に和やかななか進んでいったのだが、そこで行なわれているのは真剣勝負。みな、胸の奥にはでっかい炎を燃やしているのだ。で、最後に残ったのは6号艇で、ラストにガラポンしたのは山本浩次。もちろん、淡々、でした。

 トライアル初日を終えての単純な感想。やっぱり、賞金王決定戦はすげぇっ! 明日も12人の魂と会うのが楽しみである。早くも明日には大勢が見えてくるトライアル戦線。今日以上の激烈バトルが炸裂するのは間違いない!(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO+黒須田<枠番抽選> TEXT/黒須田守)


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賞金王トライアル第1弾・私的回顧

11R/関東のエース2騎が他を完封!

2005_12_20_11r_032

 進入が穏やかな枠なり123/456の3対3。さらにスリットが横一線になった瞬間に、勝負は①智也の逃げと②憲吾の差しに絞られた。伸びない③菊地を叩いて④仲口がまくろうとするが、すでに内の2艇の舳先は1マークへ。智也が全速モンキーで旋廻する。憲吾が鋭角に切れ込んで差す。どちらも艇界屈指のスピードターンなわけで、こうなるとコースの優劣がモノを言う。先に回った智也が瞬時に憲吾を引き離し、あっという間に1-2ができあがった。

2005_12_20_11r_068

 あとは3着争い。まずは1周1マークで⑤山本が突進し、見せ場を作る。この突進をやりすごして冷静に差した仲口と山本で、2周ホームはガチンコの併走。形勢は外の山本に分があったが、ここでパワー差が明確に出た。じわりじわりと内から伸びた仲口がしっかりとブロックし、2周1マークで3着を確保した。このときに突進したのが⑥辻。山本はこの突進を交わすのが精一杯で、この瞬間にすべての着順がほぼ落ち着いた。
 1-2-4で800円という人気通りのゴールイン。ゴール通過後の1マークで智也が「えへへ」という風情でモンキーを決め、これを見ながら憲吾は「ま、いっか」という感じでのんびりと旋廻していた。

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<独断のパワー診断>
 智也と憲吾はコースの利があったので、この結果=パワー上位と決めつけることはできない。むしろ、1周バックで置かれ気味の最下位からターンマークを旋廻するごとに差を詰めていった辻の足が目立った。

 一方、菊地はスリットからズリ下がる苦しい足色。このままではベスト6入りはかなり厳しいだろう。仲口と山本はレースで見たとおりに仲口の方がやや強かった。

12R/これが浪花名物・カドまくりや~!

2005_12_20_12r_056

「おい、ジョ~、それでええんか~!?」
 スタート展示で⑤上瀧が枠なりの5カドを選択したとき、こんな声が聞こえてきた。「前付けのジョー」が5カド? そういえば、昨日のスタート練習でもダッシュから1本行っていたな。
 ほ、本気かいなジョ~~!!
 悪くても3コースと想定していた俺は、思いっきり拍子抜けした。
2005_12_20_12r_101  が、さすがに本番は違った。気合い満点のピット離れから④笠原を呑み込み、③太田にツケマイを浴びせて(笑)きっちり3コースへ。そして、この前付けが波乱の布石になった。進入は俺の予想通り125/346。スタート展示でダッシュを選んだ分だけS勘が掴めなかったのだろう。上瀧は起こしの段階でタイミングを逸し、スリット手前で置き去りにされた。2コースの江口もやや凹んでしまったから、もうスタンドは大騒ぎ。
「太田~放るな~~そのまま全速で行ったれ~~!!」
「ドッカ~~ン、決まりや~~~!」
 スリットのはるか手前から、住之江のファンは1マークの光景をほぼ正確に予見していた。まあ、俺にも簡単に予見できたけど。地元の太田が凹んだ2艇に引導を渡しつつ、インの植木のアタマをゴツンと叩いた。絵に描いたようなカドまくり。植木としても、まったく壁役のないまくりを喰っては抵抗する術もなし。太田の引き波に乗って艇がバウンドし、ズルリと流れた。さらに、太田を利した5コースの笠原が差し抜ける。インの植木が飛んだときのお約束、アウト筋の大波乱が生まれつつあった。
2005_12_20_12r_073   が、ここからの植木が凄い。たちまち体勢を立て直し、1艇身先を行く笠原の内に艇を寄せ、2マークではこの笠原の動きを完璧に封じる同体の全速ターンで2番手に浮上したのだ。植木は笠原が差しではなくツケマイに出ると読みきっていた。そして、そのときに笠原が通るであろう軌道を先回りで奪った。ターンマークを思いっきり外した、計算ずくの全速モンキー!!
 この植木の「奇襲」を喰った笠原は行き場をなくして失速し、冷静に差し回った江口にも抜かれてしまった。3-1-2。生まれかけた大波乱は、植木の頭脳プレイによって消えた。
「太田ァ~、よ~やった~!!」
 ブッチギリの大差でゴールを通過した太田に、地元ファンの熱い声援が飛ぶ。骨折から出場さえ危ぶまれた太田にとって、この声援こそが最高の特効薬になることだろう。
「笠原の下手クソ~あれが瓜生やったら2着を守りきったで~」
「さすが植木や、フツーの選手やったら間違いなく6着やで」
 舟券を外した人、当てた人、それぞれ勝手な持論を叫びながら帰途に就く。が、腹いせや逆ギレで勝った太田に罵声を浴びせる者は、ひとりとしていなかった。やはり、地元は強い。

2005_12_20_12r_081 <独断のパワー診断>
 こういう一撃の決着は、モーターの優劣が量りにくい。勝った太田にしても、パワーよりもスタートと展開の勝利。特訓では普通くらいだったから、このまくりをもって上位と決めるのは早計だろう。植木は中堅以上はありそう。まくりの直撃を受けて苦しい体勢になりながら2着に押し上げた足はかなりのもの。まあ、ここでも人間離れしたテクが介在しているので、鵜呑みにはできないけれど。
 粘っこい差しで3着になった江口は、台風の目かもしれない。元々が強力な出足を誇るモーターなのに、展示での伸びも上々だった。桐生オーシャンの15号機とまではいかないが着をまとめるバランスがある。
 笠原は植木のテクにやられたが、パワーも見劣る。できるだけ伸び型にして持ち前の全速戦に持ち込みたいところ。上瀧と瓜生はそれぞれ出遅れとコースの遠さが響いて、ほとんどレースをしていない。ギヤケースとリングを交換した上瀧は、まだ完調にはほど遠いかもしれない。瓜生は特訓から目立った動きを披露しているので、このまま重い着を並べることはないと確信している。明日の1号艇が勝負駆けだ。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO、TEXT/畠山)


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まもなくゴング!――賞金王決定戦、トライアル初戦前半のピット

2005_12_20__004  賞金王決定戦トライアルの朝。戦士たちは、思い思いの調整を施しつつ、戦いの時を待っている。ヒリヒリした空気はまだ感じられず、まだまだ穏やかな時がベスト12戦士たちを取り巻いている。ただ、偶然なのかもしれないが、決定戦出場選手同士が会話をかわしている場面は一度も見かけなかった。もちろん、まったく接触しないなどということはありえないわけで、本当にたまたま目撃しなかっただけなのだろう。それでも、瓜生正義と西村勝、笠原亮と池田浩二、濱野谷憲吾と矢後剛などという組み合わせを見ると、「そういうものなんだろうなあ……」と思わないでもない。

2005_12_20__014  そんななか、やはり驚くしかないのは、植木通彦の「悠然」だ。決定戦緒戦の朝を迎えても、まったくの自然体。いつものSGで見てきた植木がそこにいる。そりゃあ、植木にとって賞金王決定戦は、走り慣れた舞台であり、すでにV3の実績もある。何も今さら堅くなることなど、あるはずもないのだろう。それでも、ファーストバトルを控えて、こうも平常心を保てるものなのか。いや、だからこそ“艇王”なのか……。
 ペラ調整を終えて、整備室を出てきた植木と目が合った。驚いたことに、植木のほうから会釈だ。慌てて頭を下げた僕は、なんだかドギマギしてしまって、ついどうでもいいことを言ってしまった。「この間、コロッケごちそうさまでした」。博多の賞金王イベントで、取材班は植木からコロッケをもらっていたのだ。トライアルを控えた選手に言うべきことか? ところが、植木の目が細くなった。「いえいえ。美味しかった?」。はい、美味しかったです! 植木は、そう、と言ってさらに目を細くして、自分のボートに向かった。いやあ、素晴らしい余裕。やはり、この男が主役を張るのだろうか。

 SANY0311 上瀧和則がモーターを徹底的にいじっている。モーターはボートに装着したままなのだが、本体もギアケースも外れているのだ。やがて、整備室から出てきた上瀧は、まずギアケースを手にボートに駆け寄った。手早く組み立てると、再び整備室へ。途中、モーターをチェックしていた丸岡正典に声をかけ、ニッコリと笑って整備室の奥のほうに消えていく。その姿に焦りみたいなものは小指の先ほどもなく、機力に不安を抱いているふうには見えないのだが……だとするなら、本体まで外しているのはなぜ? 懸命な仕事ぶりが、ただただ不気味だ。

2005_12_20__023  初出場の静岡コンビ、菊地孝平と笠原亮。ガチガチにあがっている感じはまったくないが、強いて言うなら、緊張感が伝わってくるのは菊地のほう。これはちょっと意外であった。これまでのSGで、笠原の真摯な姿を見てきた。チャレンジカップ時には「賞金王に出るのに恥ずかしい」と、自身のふがいなさを呪ってもいた。だから、本番を迎えても、いじらしいほど必死に、ピット内を駆け回っているのではないか、と想像していたのだ。ところが、笠原は実にリラックスしている。開き直りなのか、それとも胸を借りるという心境なのか。一方の菊地は、瞳にギュッと力を込めて、強い踏み込みの歩様。もちろん気合乗りの発露ではあるが、少しだけ頂上決戦に臨む震えを感じるのだ。レース直前、この雰囲気がどう変わってくるだろうか。

 いよいよ始まる賞金王決定戦、報道陣の数も日ごとに増えていくわけだが、レンズを向けるカメラマンに、辻栄蔵が優しい口調で注文をつけていた。いわゆるクレームではない。こうしてほしい、という要望のようなものだろう。2005_12_20__025 その穏やかな言い方に、辻の真面目な人格者らしさを感じずにはいられなかったが、同時に「勝負に集中したい!」という強い思いも伝わってきた。そういえば、昨日の共同会見時に、太田和美もまた、どちらかというと懇願するような言い方で、「できるだけ、ケガのことについては触れないでほしいんです。レースに集中したいですからね。もちろん、絶対に聞かれたくないというわけではなく、お話もしますけど、できればレースのことについてお願いしたいですね」と言っていた。このときも、太田の優しい人柄をおおいに感じたものだが、辻と太田の物言いに、賞金王決定戦の「特別性」が現われているのではないだろうか。やはり、この舞台はスペシャルなものなのだ。取材する我々も、やはり身も心も引き締めねばなるまい。

 その太田は、柔らかい表情で、リラックスしているように見えた。濱野谷憲吾は、ペラの微調整。細か~いところを入念にチェックしながら、万全を期していた。江口晃生は、泰然とはしているが、いつもより目つきが厳しいように見える。仲口博崇は、早くも言葉少なで、大一番モードに入っている。そして、山本浩次は……淡々。

2005_12_19__166  さて、トライアル初戦もおおいに気になる山崎智也。上瀧同様、本体を外して、整備士さんと相談しながら調整をしていた。すると、整備室にやって来た同期の川北浩貴が、心配そうに覗き込んだ。いったん整備室の外に停めてあった智也のボートをチェックして、再び整備室に入って智也の手元を覗き込む。ん? モーターに異変? といっても、智也の表情はそれほど暗くはない。この整備の真相や、いかに?(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO TEXT/黒須田守)


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賞金王12人・特訓情報①

 昨日、トライアルのモーター抽選が終わった後の水面は、12選手の試運転で埋め尽くされた。とりあえず、直線だけの目展示を記しておく。
笠原>菊地
山本>菊地
智也=川北
仲口=植木
瓜生>太田
太田>江口
辻>山本
山本>吉川
山本=仲口
植木>菊地
仲口=上瀧
濱野谷>鳥飼

 これらから類推するに、山本、仲口、植木、辻、瓜生、上瀧、笠原は不安のない足色。智也、濱野谷、太田が可もなく不可もない感じで、やや苦しいのは菊地と江口。江口の場合は出足型のモーターらしいので、それほど問題はないだろう。まくり屋の菊地はこのままでは持ち味を生かせない足。今日の整備&試運転に注目したい。(畠山)


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激闘確実、烈闘必至――賞金王決定戦、前検のピット!

2005_12_19__159  始まった! 賞金王決定戦が始まった! スーパーバトルが、ついに始まった!
 既報の通り、今日の7R終了後に明日の11R、8R終了後に明日の12R、賞金王決定戦の前検が行なわれた。4日間のパートナーを手にして、実際に水面を駆けた手応えを手に、以後は調整に励んだ12名。昨日同様、帰宿バスの第1便は10R終了後に発車するが、植木&上瀧以外の10名はその後もピットに残って、主にプロペラ調整に力を尽くしていた(植木&上瀧にしても、11R以降は姿を見なかっただけで、バスに乗った姿を確認したわけではありません。もしかしたら、残ってはいたかも)。

 12名のピット&共同記者会見の様子を、一人一人記していこう。
2005_12_19__131 3日目11R
①号艇・山崎智也……落ち着いている。ジワジワと沸点に近づいていく、といった感じだ。9R後あたりには、山崎義明がピッタリと寄り添って、何か話しながらペラ調整。おぉ、W山崎! 会見では淡々とした口調ではあったが、意気込みを問われて「優勝しようと思って来ました」と語った際に、ニヤリと笑みをこぼした。いいムードです。
②号艇・濱野谷憲吾……「2コースは苦手」とモーター抽選会のインタビューで語ってはいたが、会見でそこを突っ込まれると「でも、2号艇は得意なんで、大丈夫だと思います」と爽やかに笑った。足的には「かかりが良かった」とのことで、いちばん欲しかった部分に早くも手応えを感じた様子。11R組では、いちばん雰囲気を感じたのが濱野谷だった。
2005_12_19__187 ③号艇・菊地孝平……緊張しているわけではないだろうが、ちょっと神妙にも見えたのが菊地。やはり、この大一番に名を連ねたことに感慨があるのではないだろうか。「出足型で、悪くはないんですが、伸びはちょっと分が悪いですね」とのことで、実際に展示タイムももっとも悪かった。明日はそこを立て直すのか、あるいは出足を完璧にもっていくのか。
④号艇・仲口博崇……終始ご機嫌に見えたのが、仲口。11R出走のほかの選手の多くが「仲口さんが良かった」と証言していて、自身も好感触ということだろう。非常にリラックスしてもいて、12R前には整備士さんの控室へ入っていくのを見かけた。覗いてみると、おお、野中和夫選手会長。仲口は野中会長の隣に腰掛けて、談笑しているのだった。
2005_12_19__044 ⑤号艇・山本浩次……はい、淡々、です。やっぱり、ミスター不動心。ただ、表情が非常に艶やかというか、輝きを感じるというか、淡々としたなかにも強い思いを感じないでもない。会見では、インタビュアーの目を真っ直ぐに見据えて、ハキハキと答えを返していく。心身ともに、好仕上がりと見た。
⑥号艇・辻栄蔵……エース機を引いた辻は、4節連続エース機に当たったことを聞かれて「3節目くらいからエース機の仕上げ方がわかりました」と言った。おおっ!……と思いきや、「何も触らないのがいいみたいです(笑)」。なはは、ジョークですか。つまりは「ペラと合うときと合わないときがあるので」という謙遜にも近いコメントだったのだが、3節目、つまり前節で正解が出ていることには注目していいだろう。今回も、実際は手応え大アリ、という風情に見えたのだが……。

4日目12R
2005_12_19__415 ①号艇・植木通彦……悠然、としか言いようがない。そして、足色にはきっと満足していない。「班ではみな同じくらい」とほとんどの選手が言っていたように、植木の機力が悪いというわけではあるまい。しかし、植木のハードルは超えていない。そのうえで悠然。やはり、畏怖すべき男である。最近のSG優勝戦及び準優で1号艇ながら飛ぶことが多かったが、「江口さん次第だけど、インから。……でも、インは下手ですからねえ(笑)」とジョークを飛ばす余裕もあって、僕には「もはや磐石?」と思えるのだが。
②号艇・江口晃生……「最初で最後のチャンスのつもり」と、穏やかな口調ながら、強烈な決心を口にした江口。ここに懸ける思いは、誰よりも強いのかもしれない。モーターは出足型だそうで、まさに江口向けの足色。「コースはバナレ次第で」と言った江口、会見終了後まで「バナレ?」と考え込んでしまった僕ですが、ピット「バナレ」ですね。ということは、インまであるということか。植木の「江口さん次第」の言葉が鮮明に浮かび上がってきた。
2005_12_19_1_122 ③号艇・太田和美……「足については、強気なコメントを出せる状態ではない」と言ったので、「地元の砦、苦戦か?」と思ったのだが……どうも、そうではない。「班では変わらなかった」ということは、つまり「求めている完璧な足」には届かないから強気にならない(なれない、ではない)ということだろう。ストイックに勝利を渇望する姿だと思う。既報の通り、左手の傷はほぼ癒えている。やはり地元の意地を無視するわけにはいかない。
④号艇・笠原亮……「決定戦への緊張? ありません。(インタビューを受けている)今のほうが緊張してます」。笠原、こういうの苦手らしいですね。今のところ気圧されたふうがないのは、好材料だろう。「いいモーターを使うのだから、言い訳はできません」と、自分を追い込む発言もあった笠原。そんな真っ直ぐさは、とにかく応援したくなります。
⑤号艇・上瀧和則……会見のトリを飾ったのが上瀧。朝のモーター点検の際もそうだったが、マイペースを貫き、最高の状態でレースに臨めるよう、魂の調整をはかっているように思える。ピットでは笑顔も多く、コンディションは抜群。2005_12_19__443 今回引き当てたモーター59号機は、6月に参戦した際にも引いたモーターで、一般戦ながら優出も逃したほど「這ったんだよなあ」とのこと。その事実を記者から指摘されると、「おっ、俺、そっちでもリベンジじゃん」と、グッと身を乗り出した上瀧。今回のリベンジは、昨年の決定戦で道中逆転されたことに対して、であったが、もうひとつリベンジしなければならないことが見つかって、さらに気合がこもったようだった。そう、上瀧は今日、強力なアイテムをもうひとつ手にしたのだ。
⑥号艇・瓜生正義……冷静であるようにも見えるし、明日からの戦いに思いを溜め込んでいるようにも見える。そんな瓜生であった。「5号艇の上瀧さんが動く? できればついてきたいですね」と、6コース拒否宣言(?)も飛び出したぞ。そういえば、笠原が「5コースが取れれば最高です」と言っていたが、瓜生の目論見を読んでの発言だったか……。

 12名全員が、明日から始まる激しすぎる戦いに向けて、早くも本気モードに入っている。激闘確実、烈闘必至。賞金王決定戦、間違いなく競艇史を彩るスーパーバトルになる!

2005_12_19__401  最後に、やっぱり書かずにはおれないほど気になる山崎智也について、もう少し。ピットで姿を見かけると、一人でいるか、あるいはシリーズ出場選手と話しているケースが多かった。つまり、同県・江口晃生も含めて、決定戦出場組とは離れていることが多いのだ。深読みのしすぎかだろうか、あえてライバルたちを遠ざけているようにも見えるのだが、どうか。敵と仲良くしてられるか!……もしかしたら、智也の心のマグマはすでに燃えたぎっている? ともかく、今日の智也は男っぽかった。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO TEXT/黒須田守)

SANY0295


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住之江だけ!トライアル前日発売~22日も行います~

DSC08617  いよいよ明日から賞金王決定戦のトライアルが始まる住之江競艇場。今日は住之江まで来られたけど、明日は来られないなあ……というお客さんにはありがたい、トライアル2レースの前日発売が行われた。しかもこれ、ただの前日発売ではなく、“今日の12R発売と同時に、明日の11Rと12Rの発売を開始する”というもの。今日と明日、同時に発売がなされたのは、競艇業界初のことなのだ。
 南入場門西側投票所(「ボートバウ」)で実施された前日発売には、さすが賞金王トライアル、今日の12Rが終わっても多くのお客さんが訪れた。さらに、南門前ステージでは前日発売対象レースであるトライアル2戦の予想会(長嶺豊さん、井上利明さん、津田富士男さんも参加)も行われ、予想会を見てすぐに買えるという至れり尽くせりぶり。
DSC08634  この前日発売と予想会は、22日にも行われる。22日の12R発売開始時に、賞金王シリーズ優勝戦も発売開始。12R終了後から、賞金王決定戦の順位決定戦と優勝戦も発売が開始されるぞ。
 予想会と合わせて、23日に住之江に来られない方は、ぜひ22日に住之江にお出でください!
※注意! 前日発売は、住之江本場のみで行われており、すべてのボートピアや、電話・インターネット投票では行われておりません。
(PHOTO/全国モーターボート競走会連合会)


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賞金王決定戦、前検一番時計は瓜生!

 賞金王決定戦の前検が、「トライアル11R=本日7R終了後」「トライアル12R=本日8R終了後」に行なわれた。住之江競艇場の勝率上位12機のモーターで争われる決定戦。走ってみての手応えは、果たして……。

2005_12_19_1_118  前検タイムは以下の通り。
3日目11R
①山崎智也  6.72
②濱野谷憲吾  6.66
③菊地孝平  6.80
④仲口博崇  6.74
⑤山本浩次  6.77
⑥辻栄蔵   6.73

3日目12R
①植木通彦  6.71
②江口晃生  6.74
③太田和美  6.78
④笠原亮   6.74
⑤上瀧和則  6.74
⑥瓜生正義  6.65

 一番時計は瓜生正義。コンマ01差で濱野谷憲吾が2位だ。ただ、どの選手も「みんな、あまり変わらない足色だと思う」とコメントしており、現時点での極端な差はなさそうである。
 各選手の詳しい様子は、もう一度ピット取材をしてから、後ほど更新。ひとつだけ記しておくと、11R出走勢の何人かが「仲口が良さそう」とコメントしていたぞ。あ、あともうひとつ。太田和美の左手の負傷については、まったく問題ナシ! 痛み止めも4日ほど前から飲んでいないそうで、「もう大丈夫です!」と力強く宣言していた。気にする必要はなさそうだ。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO TEXT/黒須田守)

2005_12_19_1_169


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12名のスーパーレーサー、ピットに登場!

 賞金王戦士がやって来た! ボート・モーター公開抽選に登場した決定戦出場12選手は、そのままピットへ。いよいよ、スーパーバトルのゴングが鳴ったぞ!

2005_12_19_1_134  引き当てたモーターを受領した選手たちは、さっそく点検に取りかかった。整備室内の思い思いの場所で、4日間の相棒と触れ合っている。左奥のほうでは、瓜生正義と太田和美、仲口博崇の69期コンビが時折会話をかわしながら、点検を急ぐ。もう一人の69期、山本浩次は……右奥のほうで一人、黙々とチェック中だ。植木通彦も、一人で集中してモーターを点検。江口晃生と濱野谷憲吾は、穏やかな表情でペラをチェックしているぞ。辻栄蔵はイスに腰掛けて、リードバルブをチェックだ。

2005_12_19_1_151  誰よりも早く点検を終えて、ボートに向かったのは地元の砦・太田和美。カメラマンのフラッシュの雨の中、にこやかにモーターの装着を始めた。そのすぐ後を、初出場・笠原亮が追う。続いてやって来たのは、仲口博崇。取り囲んだカメラマンたちのフラッシュをまぶしがって見せたが、「密会現場を写真週刊誌に狙い撮りされた仲口」のジョーク。余裕綽々でもあるし、テンションも高くなっているということであろう。このあたりから、点検を終えた選手たちが続々と、ボートへと向かった。2005_12_19_1_175 激烈な戦いに向けて始動!……と、この頃にようやく整備室に姿を見せたのが、上瀧和則。おぉ、重役出勤(?)。早くもスーパー上瀧モードに入っているかのような、鋭い目つきで点検開始だ。この時点では、非常に透明な気合を感じたぞ。ムードは抜群である。

SANY0232  ボートを最初に水面に下ろしたのも、やはり太田和美だった。3Rのレース中に揚降機にボートを置いた太田は、いったん試運転ピットにいた中村有裕のもとへ。しゃがみ込んで一緒に水面を見つめながら、真剣な表情で話し込んでいた。先に戦いに臨んだ中村に、住之江の水面状況を確かめているのか。地元の誇りを守る意味でも、もっとも気合乗りの激しい男はやはりこの男かもしれない。

SANY0192  さて、賞金王決定戦でももちろん気になる山崎智也。整備室では一人、離れたところで点検をしていた。耳にはヘッドホンがつけられており、何かを聞いている模様。精神統一のためだろうが、こんな智也は初めて見た。モーターを装着する際には、一斉にレンズを向けるカメラマンたちにVサインを見せる。高揚感もあるようである。浮かれている感じもなく、かといって入れ込んでいる様子もなく、ムードは絶好。戦いの時を、最高の精神状態で迎えていると見たぞ。

 決定戦前検は7R終了後、8R終了後に行なわれる。走ってみた感触は? 手応えは? それらを得たうえでの表情は? このあと、ピットに向かいます!(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO+黒須田 TEXT/黒須田守)


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エース機は辻栄蔵へ!~決定戦モーター抽選~

 賞金王決定戦は今日が前検日。昨日、開会式後にいったん管理解除となった賞金王戦士12名が再び住之江競艇場に集結、そしてまずは大注目のモーター・ボート抽選が行われた!

 開会式と同じ中央ホールにて公開で行われた抽選の模様。昨日のタキシードとは打って変わってレーシングスーツに身を包んで登場した12選手。モーターの成績表を見ながらなにやら隣の選手と話し合い……その中で上瀧と瓜生は隣同士で談笑中。本気モードに入りながら、まだまだ穏やかな各選手たちだ。
2005_12_19__030  そして運命の抽選開始! 賞金順位上位から順番、植木通彦から箱の中のくじに手を伸ばして……さあ4日間の相棒は?
 植木の引いたボートは51番、そしてモーターは27号機。なんとこのモーターは、以前のダイヤモンドカップで菊地孝平、高松宮記念で太田和美(優勝!)が使用していたモーター。菊地の「ソコソコです」に植木苦笑いも、それを受けた太田が「菊地くんが優勝できなかったモーターを僕が直して優勝しました(笑)」と場内爆笑のコメント。席に着いた植木、太田に熱心に取材しておりました。
 用意されているモーター・ボートは住之江の上位12機だけに、どれも標準以上の性能。それだけに思ったよりも淡々と抽選会は進行していく。山崎、濱野谷、江口、太田……おお、菊地孝平が引いた13号機はダイヤモンドカップで植木が使用していたモーター。なんとダイヤモンドカップと入れ替わりという因縁。「出よらんかったねえ……」という植木に、今度は菊地が苦笑いだ。
 いつものモーター抽選では盛り上げ役をしている上瀧和則。エース機、準エース機と見られる56、58号機が残っているのを見て「56ですわ」と引いたモーターは、惜しい59号機!

2005_12_19__099  その56号機を引き当てたのは……「いやあ、僕ね、ここ3節全部エースモーターなんですわ。これで4節連続!」と宣言してくじを引いた辻栄蔵! 「子供がくじ運がいいんで、来る前に分けてもらいました。ゲームを買ってあげてね(笑)」。おお、安い買い物になったかもしれません!
 最後に瓜生正義が残っていた58号機を手にして抽選を終了。なお、各選手のモーター番号と2連対率は以下の通りだ。

2005_12_19__033 植木通彦 27号機 40.0%
山崎智也 19号機 45.6%
濱野谷憲吾 53号機 40.4%
江口晃生 54号機 40.1%
太田和美 7号機 46.4%
菊地孝平 13号機 41.5%
仲口博崇 1号機 49.1%
笠原亮 66号機 43.8%
上瀧和則 59号機 42.2%
山本浩次 55号機 42.9%
辻栄蔵 56号機 50.3%
瓜生正義 58号機 49.6%

 抽選後のインタビューは「(開会式の登場曲『ルパン3世のテーマ』にかけて)去年は途中で銭形に捕まってしまいました」、「瓜生の賞金は全部ウチが振込先で」と場内爆笑の上瀧オンステージとなって終了。このリラックスムードが、もうまもなく本気モード一色になる!
 さあ、賞金王への戦いが始まる!!(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO TEXT/松本)

2005_12_19__155


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明日は住之江で前売発売アリ!

2005_12_17_429 賞金王シリーズも初日が終了、明日は賞金王決定戦の前検が行なわれます。日増しに賞金王ムードは盛り上がっていくわけですが、そんななか、明日は住之江競艇場で3日目・賞金王決定戦トライアル初戦の前日発売が行なわれます。

発売は、明日の12R発売開始から17:45まで。トライアル初戦は11Rと12Rに組まれており、この2レースが発売対象となります。明日は住之江に足を運ぶけど、あさってはちょっと行けそうにないな~ってな方も、トライアル初戦に参加できるわけです。なんだかんだで今日もサイフの中身を減らしてしまったワタクシ、あさって以降のために前売りで買っておこうかなあ……。

発売場所は、南入場門西側投票所(「ボートバウ」)。明日、住之江にお越しの方は、ぜひ覗いてみてくださいまし。(K PHOTO=S・NAKAO)


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賞金王、始まります!

2005_12_17__003おはようございます! 取材班、住之江競艇場に到着いたしました! いよいよ始まるスーパーバトル、本日の前検から23日の優勝戦まで、ここ住之江から即日リポートいたします! また、今回は写真もお楽しみに! カメラマン・中尾茂幸氏が取材班に同行、ベストショット満載の写真もお届けいたします。

本日は、このあとの選手到着、モーター抽選、賞金王シリーズ前検、そして特別取材ものをアップしてまいります。最初の更新はお昼頃の予定です。

それでは、取材に出発いたします! 今節もどうぞよろしくお願いいたします。艇界最大の大一番、熱く盛り上がりましょう! (PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO TEXT/黒須田)


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賞金王決定戦、目前!

DSC00002   さあ、艇界最大の大一番、賞金王決定戦が目前に迫ってまいりました! あさって18日から、まず賞金王シリーズが開幕。そして、20日からは賞金王決定戦がスタートです。今年最後のSGにして、究極のスーパーバトル。皆様、ともに熱く盛り上がりましょう!

我々取材班は、明日のシリーズ前検から23日優勝戦まで、メッカ・住之江競艇場で密着取材。これまでのSG同様、即日リポートしてまいります。笹川賞から始まったこの取材の総決算ともいえる今回、これまでにも増して、気合を入れて取材にあたる所存でございます。それではみなさん、住之江競艇場でお会いしましょう!

SANY0004


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