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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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 ボートレース特集

H記者の「肩コリコリ・完全Vまであと2日!!」予想

 昨日の『ガチンコ予想勝負』で前半ガッチリ好位につけ、突き抜けそうなムードを漂わせながらしげ爺さんの怒涛の万太郎差しを喰らった「艇界のナイスネイチャ」Hです。しげ爺さん、ゴボー抜きお見事!!(毎日計算まかせっぱですいません!!)
 しかし、なんとなんとなんとなんと、4日連続のプラス収支予想。おそらく一生に一度あるかないかの「6日連続プラス・パーフェクトV」の夢がまだ続いている。今日は私にとっても準優って感じ。今朝起きたら、肩がコリコリです。ガッチガチに緊張してます。でも、できるだけ自然体で予想するよう心がけました。

1R◎深川 4-1-全 145B
2R◎鎌田 1-46-全
3R◎森高 1-34-全
4R◎俊彦 2-15-全
5R◎鎌田 2=1-全
6R◎ムズ 136B 346B
7R◎深川ヒモ 13-5-全

 6Rの◎はムズすぎ。服部は2日目からエンジン壊れてる気がするし、でもインならポンコツでも残すこの水面だし……で、ボックスにしました。それより問題は鎌ギーのピット離れ。なんとか今日はペラ調整で枠番を守ってくれると考えて◎を打ちましたが(←スタート展示に注目!)……頼むぞ、カマギッ!!
 堅そうな準優予想は6R頃にアップします。
 


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賞金王シリーズ・準優ダイジェスト

2008_1222_r08_0445  8R
①中島孝平(福井)
②石田政吾(石川)
③吉田拡郎(岡山)
④守田俊介(京都)
⑤福田雅一(香川)
⑥倉谷和信(大阪)

2008_1222_r08_0447  進入は1246/35。5カドから吉田が豪快にぶん回したが、逃げる中島にしわずかに届かず。あまりに肉薄したせいで振り込み、SG初参戦初優出の夢は散った。バックで守田と石田が激しい2着争いになり、そのままの態勢で2マークを回ったため大流れ。外に開いていた地元の倉谷がその間隙をしっかりと突いて1-6になった。
 中島の足にまったく不安はない。シリーズでの節イチSSランクだ。倉谷の2着は展開によるものだが回り足は強く上位の下、A'ランクが妥当だろう。外からでは話にならないので、明日はコースが欲しいところ。

2008_1222_r09_0519  9R
①笠原 亮(静岡)
②菊地孝平(静岡)
③市川哲也(広島)
④池田浩二(愛知)
⑤作間 章(千葉)
⑥横澤剛治(静岡

2008_1222_r09_0552  ピット離れに不安のあった笠原は無難にインを取りきり、豪快にインモンキー。菊地が壁になっている間にスタコラと独走の逃げに持ち込んだ。案外だったのは菊地。外を牽制し、笠原を回してから差しハンドルを入れたがサイドの掛かりがまるでなく大流れ。その間に池田がズッポリと展開を突き、早々に1-4態勢が固まった。
 笠原のパワーは中島に次いで、田中と同じレベルのS。スリットからの行き足がよく伸びも十分。やはり唯一の不安はピット離れだ。池田は突出した部分はないがバランスが取れて乗りやすそうな足。アウト水域から攻めるにはもうひとつほど伸びを付けたいところ。上の下でA'評価。

10R
①田中信一郎(大阪)
②山口 剛(広島)
③岡本慎治(山口)
④大場 敏(静岡)
⑤平尾崇典(岡山)
⑥森高一真(香川)

2008_1222_r10_0608 枠なりから山口がやや凹んだのを見て、今節はとんでもマクリ屋の岡本が田中を叩きに行った。田中はその岡本を張ってからの逃げ。相当なロスがあって小差しの山口にもチャンスが巡ってきたが、ご機嫌なレース足で伸び返した田中が逃げきった。それにしても、山口のレースっぷりが素晴らしい。菊地をツケマイで沈めたように、2艇身ほどの差ならいくらでも逆転できるような強ツケマイを放つ。さすがに今日は相手が悪く、田中の老獪な合わせターンを喰らったが、田中にトップ級のレース足がなければ逆転まであっただろう。
2008_1222_r10_0610_2  田中のパワーは回ってすぐのレース足が秀逸。イン向きの足で、スタートさえ揃ってしまったら逃げ切り濃厚だ。もちろんS評価。山口は伸びを主体にすべてが強めでA評価だが、パワー以上の破壊力を感じさせる度胸とキップの良さが最大の武器か。初のSG優勝戦でも一気に突き抜けるだけの底知れぬオーラを発している。要注意!!(Photo/中尾茂幸、Text/H)


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シリーズ優勝戦 私的回顧

4カドからコンマ08、池田の「バイオレンスまくり」炸裂!

20051223_10r_067

 艇界には、SGを獲れる選手と獲れない選手がいるというのか?

 そんな複雑な疑問を感じさせるレースだった。進入は124/356。スタート展示では瀬尾達也と倉谷和信が強引に1、2コースを奪って観衆を驚かせたが、本番は穏やかな流れ。つまりはインの岡本慎治に何の不満もない進入になったわけだ。これまでSG優出は6回。7度目の挑戦で、ついにその大魚が手に届く位置まで来た。
 そして、スタートはコンマ16。SGの優勝戦としては申し分のない1艇身の踏み込みだ。岡本としては「インからすべきことは、しっかりやった」と自画自賛してもいいホーム直線だった。
20051223_10r_078  しかし、たったひとりだけ、そんな岡本の労苦を一瞬にして無にしてしまう男がいた。池田浩二。このレースで、唯一のSG覇者。その池田が、4カドからSG優勝戦としては出色のコンマ08でスリットを突き抜けたのだ。必死に先マイを目指す岡本。3コースからツケマイを放つ瀬尾。1マークで競り合うSG無冠のベテランたちの上を、池田は軽々と通過して行く。たまらず流れてしまう岡本と瀬尾。また、両雄のSG制覇の夢が閉ざされた。
 だが、もうひとり、やはり無冠のベテランが潜んでいた。地元の倉谷だ。スタート展示の前付けから一転して5コースを選択したのは、この展開を想定したからだろう。まくった池田の内フトコロに、スッパ~ンと水面をナイフで切り裂くように割り込んだ。見事な決め撃ちのまくり差し。池田と倉谷の艇がピッタリ並ぶ。伸びはほぼ一緒。こうなると、2マークでは内の倉谷に分がある。しかも、走り慣れた地元水面だ。倉谷もSGの優出は7回目。地元ファンの声援を味方に連日気迫溢れるプレーで勝ちあがり、ついにSGにもっとも近い位置に到達した。
20051223_10r_053  2マーク勝負、絶対に抜かせない!
 そんな気迫が艇の全体から噴出している。ゴツゴツと艇がぶつかり合う。倉谷はしっかりと池田を押さえ込みながら、2マークを旋廻した。池田が差し回れば、なんとか凌げそうなターンだ。
 が、池田は有無を言わさず強引なツケマイを放った。そのターンスピードは残酷にさえ見えた。必死に艇を合わせて耐えようとする倉谷だが、合わせる間さえない。艇の代わりに池田の引き波が倉谷を迎えた。7度目の挑戦も、惜敗……。
 艇界には、SGを獲れる選手と獲れない選手がいるというのか?
 大勢の決した2周ホームの水面を見ながら、俺は心の中で呟いていた。岡本も瀬尾も倉谷も、最善を尽くした。同情などではなく、本当に胸を張って優勝できるほどのレースぶりだったのだ。だが、優勝したのは彼らではなく、池田浩二だった。
 最後は圧勝でゴールした池田に拍手を送る。今節は舟券でもずっと追いかけた選手なだけに、俺も勝手に誇らしい気分を味わっていた(舟券はヒモが抜けたけど)。Fを切ると重い罰則が課せられるSG優勝戦で、コンマ08というマジギリの踏み込み。倉谷を一瞬にして引き波に沈めた全速ツケマイ。度胸、技術、ともに文句の付けようのない素晴らしい自力優勝だった。
 でも、その一方で、ゴールを真っ先に駆け抜ける「あの男たち」を見たかったな。などと考えている俺もいた。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO、TEXT/畠山)

20051223_10r_067

 


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紛れもないSG空間だった――賞金王シリーズ、優勝戦のピット

SANY0617 「ダーーーーーーッッッッッ!」
 ピットに帰り着くずいぶん前から、池田浩二は雄たけびをあげていた。愛知勢をはじめとする東海地区の仲間たちの出迎えを受け、池田は右拳を天に突き上げる。そして再び「ダーーーーーーーッ!」。ついにはボートの中で立ち上がって、ダーーーーーーーーッッッッ!(勢いあまって、後ろに倒れそうになってました) 池田は何度、叫んだだろうか。さまざまな選手が次々と祝福し、そのたびにダーーーーーッッ! 賞金王決定戦の2レースのみを残していたピットは、すでに静けさをたたえ出していた。だから、池田の咆哮は、ピットに響き渡って、こだました。歓喜の余韻がいつまでも、ピットに漂い続ける。これほどまでに、ずっとずっと喜びを爆発させ続けるSGウィナーは、7度のSG取材のなかで初めて見た。
 池田、おめでとう!

SANY0618  レース直前の6選手は、それぞれに落ち着いていた、と思う。いちばん気になっていた作間章も、多少の緊張はあっただろうが、昨日までとそれほど変わらない堂々たる雰囲気だった。レース後もまた、作間はごくごく自然に振舞っていた。悔しさを噛み締めながらではあっただろう。結果が出なかったことへの不満もあるだろう。それでも、うつむくことなくレースを振り返っていたことは、立派である。敗れはしたが、これがSGという舞台に名を刻むステップだと思えば、最高の経験となったはずである。萎縮することなく戦いを終え、胸を張ってピットを後にできたのだから、今後の飛躍は約束されたようなものだ。来年の作間にも、もちろん注目したい。

20051223_2_001 意外と淡々としていたのが、倉谷和信だ。レース前には、怖いくらいに目つきが険しくなっていたが、レース後にはすっと優しい目になっていた。もちろん、2着という結果に満足しているわけではあるまい。果たせなかったSG制覇、その悔恨は大きいに決まっている。だが、出てしまった結果をいつまでも引きずらない、そんな潔さが倉谷にはあったような気がする。選手代表という重責もあわせて、お疲れ様でした。着替えをすませた倉谷にそう声をかけると、倉谷は「どもっ」と頬を緩めた。男っぽい姿だと思った。
 平尾崇典も、サバサバとしていた。表情をピクリとも変えず、無言でモーターの返納に向かう姿は、ある意味、大物の素質アリ、だ。

20051223_10r_004   アッサリとした表情ながら、皮を一枚むけば悔しさがドバッとあふれ出しそうに思えたのは、瀬尾達也である。本番は3コースまでしか入れなかったが、スタート展示では敢然とインを奪った瀬尾。ほら、やっぱり「意欲はありません」は逆説だったのだ。その意欲が結果的に空回りしてしまったことで、瀬尾の心は苦渋で埋め尽くされた。普段は、ベテランの貫禄を見せている瀬尾も、やはり勝負師。いや、トップレーサーの一人として長年戦ってきた誇りがあるからこそ、この優勝戦の重さに敏感になれたはずだ。SGにやってくれば、最ベテランであることが多くなった瀬尾だが、チャンスはまだまだ、まだまだ、まだまだある、そう信じたい。レース後の瀬尾は、それくらい若々しかったのだ。

SANY0639  表彰式から帰ってきた池田をもう一度出迎えたのは、原田幸哉である。原田の姿を見た池田は、もう一度、拳を突き上げてみせた。池田の心を占領した歓喜は、永遠に続くのか。そう思えるほどに、池田は笑って笑って、叫んで叫んで、歓び続けた。
 賞金王シリーズが賞金王決定戦の前座のように扱われるのは、ある意味、仕方のないことだ。だからこそ、シリーズ組は来年こそベスト12に食い込んでやろうと、決意を強くするところもあるだろう。だが、戦う選手たちにとっては、これも紛れもないスペシャル・グレード・レース。少なくとも、優勝戦はクッキリとSGの顔をしていたと断言できる。その意味で、今日の10R以降は、あまりに贅沢な空間であった。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO<倉谷、瀬尾>+黒須田 TEXT/黒須田守)


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煮え立つ闘志――賞金王シリーズ優勝戦、午前中のピット

 賞金王決定戦ファイナルの朝といっても、特にいつものSG最終日と違いはない。ただ、震えるような緊張感を味わっている男が12人いる、というだけだ。特に午前中は、悔しくも一般戦回りを強いられた者たちの時間。慌しくはあるが、不思議な静かさも同時にピットの底に溜まっている。

SANY0577  賞金王シリーズのベスト6。早くも始動しているのは、最ベテランの瀬尾達也。試運転ピットで、回転数を確認する。意欲はありません? 真っ先に準備を始めているじゃないですか。やはり昨日のコメントは、逆説的な闘志の表明だったのだ。とはいえ、表情にはプレッシャーを感じない。さすがの年輪だ。
 平尾崇典も、今のところはいつもと変わらない様子。6号艇の気楽さもあってか、SG優勝戦だからとドタバタしたところはまったくない。この落ち着きがツキを呼んだのだろうか。

20051222_11r_056  一方、グラグラと煮え立つものを感じるのが、倉谷和信。チャレンジカップの準優や優勝戦でも、壮烈な顔つきを見せていたが、今日もまだ6~7割程度だが、あのときと同じ気配が漂っている。昨年はシリーズ・太田和美→決定戦・田中信一郎と、あまりにも鮮やかな地元の連携をみせた大阪勢。今年、先陣を切るのはガッツボン倉谷。すでに2年連続の天下取りを意識しているようである。
 池田浩二も、昨日までとは表情が一変している印象を受ける。ペラ調整室から出てくるところに出くわしたのが、精悍さが増しているように思えるのだ。シリーズ優出メンバーのなかで、SG覇者は池田のみ。ある意味、もっとも格上だいうこともできる。そのプライドに火がついたか。だとするなら、相当にうるさい存在となるだろう。

 作間章は、現時点ではそれほどプレッシャーに包まれてはいない。むしろ堂々としていると言っていい。もちろん、緊張感と格闘する時間帯はさらに後。今の精神状態をどこまで維持できるかがポイントとなる。
20051222_11r_096  岡本慎治はゆったりと過ごしている模様で、今村豊のレース後以外はひとまず姿を見かけていない。ただ、これはいつもの岡本慎治。平常心で、SGの栄冠を掴みにいくだろう。

 10R発走まであと3時間。普段のSGよりも、あっという間にその時は来てしまう。この時間を有効に使った者が栄誉に手が届く。だとするなら、ベテラン勢の気迫の作り方に魅かれてしまうのだが……。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO+黒須田 TEXT/黒須田守)


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「平尾、作間、池田、わかっとるやろうな!」by倉谷~シリーズ優勝戦インタビュー~

20051223__042  暮れの大一番、住之江賞金王もいよいよ最終日。開門前から詰めかけていた大勢のお客さんがいのいちばんに目指したのは中央ホール。最終日といえばすっかりおなじみ、「優勝戦出場者インタビュー」! 今節は優勝戦がふたつということで、インタビューも当然2レース分。まずはシリーズ戦の優出メンバーの登場だ。

1・岡本慎治、2・作間章、3・池田浩二、4・瀬尾達也、5・倉谷和信、6・平尾崇典

20051223__026  SG覇者は池田だけという顔ぶれながら、みなさん持ち味通りに飄々&リラックスムードで進んでいくインタビュー。「ぜひ勝ちたい!」という岡本の宣言に続いては、優出インタビューのもはや“お約束”、進入について司会の松岡アナウンサーが突っ込みます。「35期も先輩の瀬尾さんが来たらどうします?」、「『ワシの地元や!』という人がいますけど」と聞かれて、SG初出場・初優出の作間は思わず苦笑い。「でも入れません!」(作間)。その瀬尾が「平尾くんがピット離れいいんですよね……6カドなら6コース」と見事な煙幕を張ってから登場したのが、地元・倉谷。「瀬尾さんがそれでいいなら行ってもらいましょ(笑)」から始まって、「平尾くんはピット離れがいいんですが……わかっとるやろうな!」「(作間、池田を振り返って)わかっとるやろうな!」と若手を恫喝(笑)。それには選手もお客さんも大笑い。しかも最後の平尾が「競艇というのは、水面に出てみないとわからないもので……」とマジメな意見を提示したことで、さらに場内は爆笑に包まれました。いやいや、進入はまったく読めなかったですが、わきあいあいのインタビューでした。

 シリーズ戦は10R、場内15時5分締め切りです!(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO TEXT/M記者)
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シリーズ準優勝・ダイジェスト

8R/水神祭パワーで作間、インから圧勝!

進入1235/4620051222_8r_028
 ⑥岩崎が遅れた他は、そこそこ揃ったスタート。そこからイン①作間が鋭く伸びてあっさりと先マイを果たした。③村田のツケマイと⑤原田の差しは届かず、2コース差しの②瀬尾がそのまま2番手を取りきった。村田と原田が熾烈な3着争いをしている間に、前の2艇は後続をどんどん引き離し、早々に優勝戦進出を決定付けた。
 逃げ圧勝の作間はSG初参戦にして優出。遅れて来た大物が、最初のチャンスでSGウイナーの仲間入りを果たすかもしれない。

20051222_8r_034 <独断のパワー診断>
 作間は文句なし。節イチだった坪井が脱落して、優勝戦ではナンバー1の足で臨む。全体にいいのだが、特にスリットからの伸びが抜群で自力で動けるのが強み。明日もスリット同体なら岡本をもまくってしまうかも。
 瀬尾は伸びないエンジンに耐えて耐えて見事に優出。優勝戦メンバーでも伸びはワースト級だ。が、掛かりがよくて回ってからすぐに押し出すパワーが自慢。直線の競り合いになったら明らかに苦しいので、得意のミクロSから一撃で決着するしかなさそう。

9R/3艇失格の大波乱、池田がごっつあん勝ち

20051222_9r_048 進入123/456
 穏やかな進入でまさかの大波乱が待ち受けていた。発端は②秋山と③坪井のS遅れ。すかさず④池田がカドからまくり気味に仕掛ける。焦った秋山は最短距離で1マークを旋廻しようとして振り込み、雪の染みた冷水に身を浸した。アクシデントは連鎖する。続いて坪井が転覆したばかりの秋山艇に乗り上げてエンスト失格。
 この事故もあって、大勢は早々に決した。先頭は逃げた①中村で、2番手池田。後方から⑥平尾が追いすがるが、とても届く距離ではない。1周2マーク、先頭の中村はただしっかりと回るだけでよかった。1マークには事故艇が停泊しているため、逆転は起こりえない。ところが……
20051222_9r_052  外から迫る池田が視野に入ったか、中村は2マークを(おそらく)全速でぶん回した。瞬間、艇が浮いてバウンドし、失速。そこに、2着を狙って突進した平尾が避ける間もなく接触して、優勝戦が約束されていた中村のモーターは呼吸を停止した。このレースで3艇目の失格……。中村26歳、秋山26歳、坪井28歳、若さを露呈したということだろうか。
 間延びしたように2周ホームを走る外枠3艇。4-6-5で3万台の万舟券が飛び出し、123のボックス舟券を買っていたK記者がうつろな目で舟券対象選手のいない水面を見ていた。

<独断のパワー診断>、
 池田は間違いなく上位級。作間に次ぐほどの伸びを持ち、回り足もしっかりしている。予選ではあまり自力で動かなかったために着がバラけたが、ダッシュ戦なら一撃でインを沈めるだけの破壊力を秘めている。
 平尾は優勝戦に入ると少し苦しい足色。伸びは普通で回ってからのパワーも乏しい。今日もシリンダーケースを換えるなど、連日必死の整備が続いているが、さらに上積みがなければアウトからでは遠すぎると思う。

10R/岡本、貫禄の逃げで優勝戦の大本命に!

20051222_10r_009  ③倉谷と④信一郎が進入から暴れるかと思っていたが、実戦はすんなり123/456。そしてスリットが美しいまでの横一線。こうなってはインの岡本が下手を打つわけもなし。同体の厳しい態勢から差しやまくりに構えた外枠選手を黙殺して、あっという間に先マイを果たした。
 1周バックでは、すでにレースの焦点は2着争いへ。差した②向所とまくった③倉谷が内外離れて走り、やや向所が有利な形勢。が、1周2マークで先マイした向所を冷静に倉谷が差し抜けて、地元でただひとり優勝戦のチケットを手にした。
 岡本、倉谷、ともに42歳。長きに渡ってA級レーサーとして君臨し続けるふたりだが、まだSGの勲章は得ていない。岡本に至ってはGⅠで52優出11優勝! 昔からここ一番のイン戦では無類の強さを誇る男だけに、明日の優勝戦は無冠返上へ絶好のチャンスだ。
20051222_10r_010  倉谷は選手代表としてノルマともいうべき優出を果たし、ひとまずホッとしているだろう。だが、やはりSG優勝のない倉谷にとって、地元での優勝戦はまたとはない好機。同い年・岡本の楽インを阻み「SG先抜けV」を心に誓っているはずだ。

<独断のパワー評価>
 岡本は三拍子揃った好バランスの足。特に回り足が強そうで、思ったところに舳先が向く俊敏さが最大の武器だと思う。岡本がインから逃げた場合、差しての逆転は難しいだろう。怖いのは伸び型選手の自力勝負で、直線の競り合いでは作間や池田よりも見劣る。
 倉谷は伸びよりも出足を重視するタイプだが、今節は自分向きの仕上がりに加えて伸びもかなり強力だ。地元の声援で気合いも充実しており、明日は持ち前の早差しではなく「ガッツポンまくり」が見られるかも。パワー的にはその裏付けがあると思う。
(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO、TEXT/畠山)


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メインエベントではないからこその、意地――賞金王シリーズ、準優のピット

2005_12_17_467  作間章は、緊張していたそうである。SGの準優勝戦。イン有利の水面で1号艇。レース直前、つらつらと考えているうちに、責任感がガガガーッと襲ってきた。期待に応えられるのか。人気を集めて、返還なんて事態になったらどうしよう。初戦を勝った勢いで突っ走ってきたけれども、彼も一人のナイーブな青年であった。8R、渾身の逃げを打って、準優突破。レース後は、さすがに安堵の色が浮かんでいた。でも、作間選手よ、ピットで眺めている分には、まーったく、そんなナーバスな思いはわからなかった。十分、堂々としていた。それを見ながら、たいした男だ、と感心していたのだ。作間は、内なる自分と真っ向から戦って、立派に勝ってみせた、ということだと思う。この修羅場を越えたのだから、明日もまた、毅然としたレースを見せてくれるだろう。

20051222_1_040   作間の2着となった瀬尾達也は、優出を決めても自然体。樹木は年輪を重ねて太くなっていく。人間も、年輪を重ねてたくましくなっていく。レース後の記者会見では「優勝戦への意欲? ありません」とずっこける一言。瀬尾のSG優出は、2000年の平和島・賞金王シリーズ以来。そのときの結果は……フライング、1年間のSG出走停止処分を受けることとなった。翌年のSGの多くで出走権を確保できそうだったのに、すべてを棒に振ってしまった……来年もまた同じ様相となっていることから、同じ轍だけは踏みたくない、ということらしい。しかし、その言葉を額面通りに受け取るわけにはいくまい。自然体だからこそ飛び出す、余裕たっぷりのジョーク。実は燃えるものを抱えているというよりは、明日も今日までと同じだけの鋭敏な走りを見せてくれる、と考えたほうがいい。そもそも、特別な気合などなくとも、スタート力は艇界随一。今節は、その武器を存分に振り回せるだけの状態にはある。

20051222_1_094  9R、1周1マークで秋山直之、坪井康晴が転覆、さらに1周2マークで先頭を走っていた中村有裕がエンストしてしまった。賞金王決定戦の怪物は、シリーズ戦にも容赦はなかった。その間隙を突いたのが、池田浩二と平尾崇典。池田は、転がり込んだ幸運に、坪井らの体を案じながらも、笑いが止まらないようだった。原田幸哉も、お前ラッキーやのう、といった風情でちょっかいを出す。すると、すれ違った上瀧和則も、目で祝福。無言で笑い合っていた。一方、平尾崇典は山本浩次と少しだけ笑い合うと、あとは淡々としていた。ミスター不動心の魂が乗り移った? 運命を自ら掴んだ者は、時に思いもかけない幸運を手にすることがある。平尾にとっては、まさに昨日の前付けイン奪取→勝負駆け成功が、自力で掴んだ運命だった。優勝戦も6号艇だが、流れは間違いなくこの男に来ている。だからこその淡々、と見たのだがどうか。

2005_12_19_1_083 10R、思いが届かなかった田中信一郎は、感情をどこに持っていけばいいのか、探しあぐねているようであった。準優までを終えてみて、もっとも闘志を感じたのは、どう考えても信一郎だった。しかし、まるで展開が味方をしてくれないまま、優出の望みが絶たれて、結果的に気合の歯車は噛み合わなかった。もしかしたら、吐き捨てたい言葉もあったかもしれない。何かに八つ当たりしてでも、やるせなさを発散したかったもしれない。だが、信一郎は無言のまま、目に見えない悔しさを立ち上らせながら、モーター格納へと向かった。信一郎よ、それでも今節のあなたは美しかった。この鬱憤を抱いたまま、来年の戦いに臨め。必ずやすべてを解放して、笑える日が来るはずだ。
 対照的に、くにゃ~りと目を細めたのは倉谷和信。信一郎とともに優出できるのが一番の望みではあっただろうが、ひとまず地元の責任を果たせたのだから、笑みが溢れて当然。決定戦では太田和美、シリーズでは倉谷。地元の意地を水面に叩きつける舞台は整った。信一郎の分も、思いを込めて走れ!
 勝った岡本慎治は、実にスッキリした表情。優勝戦ポールポジションに動じる男ではないし、今日のところはまったくプレッシャーなど伝わってこなかった。いぶし銀。そんな言葉が自然と浮かんできた。

SANY0530  さて、本日の気になる男、中村有裕。9R、バック先頭を走りながら、1マークでまさかのエンスト。さすがに、ピットに引き上げてきたユーユーは、肩を落としていた。太田和美が慰めるように状況を聞いていたが、ヘルメット越しに溜め息が漏れてくるような雰囲気だ。控室に戻る足取りもハッキリと重そうで、うーん、こちらも辛い……。それでも、今日は全レース終了間際まで、閑散としたペラ室で一人、調整を続けていた。ユーユーよ、チャンスはまた来る。その日のために、牙を研ぎ続けろ。まずは、明日の7Rでリベンジだ。

SANY0474  シリーズが、決定戦の前座と見られてしまうのは、仕方ないことなのかもしれない。思えば、ピットでも僕もつい決定戦メンバーに目が行ってしまうことは否定できない。だが、メインエベントではないからこそ、選手たちはそれぞれのテーマと魂を抱いてレースに臨む。そこから放射される熱は、見逃せないきらめきに満ち満ちている。明日の10R、優勝戦。誰が勝っても負けても、彼らの意地がぎゅうぎゅうに詰め込まれた熱いドラマを見たい。メインエベントを食ってしまうくらいの闘いで、SG戦士のプライドを炸裂させるのだ!(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO+黒須田 TEXT/黒須田守)


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速報!住之江賞金王シリーズ優勝戦6ピット確定!!

 朝の吹雪から一転、雲の切れ間から光も差し仕込んでくる午後に行われた賞金王シリーズ準優戦。3艇失格の大波乱となった9Rなどの3個レースの末、以下のように優勝戦のピットが確定した。

DSC00300 10レース・賞金王シリーズ優勝戦
1号艇・岡本慎治
2号艇・作間章
3号艇・池田浩二
4号艇・瀬尾達也
5号艇・倉谷和信
6号艇・平尾崇典

 念のため主催者発行の出走表をご確認ください。(PHOTO・M記者)


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住之江に雪が降る――賞金王シリーズ、準優午前中のピット

SANY0454  いやあ、寒いっ! 朝から降り続いた雪は、とりあえず3R前には止んだ。薄日も差してきた。でも、寒いッ! ピットに積もった雪が、寒さをさらに増幅させる。職員さんたちが雪かきをして、選手たちの作業に支障のない状態にはなっているが……もぉ、寒いんだってばっ!SANY0505  あっ、女性の職員さんが雪だるまを作っている。目ざとく見つけた野長瀬正孝が近寄り、整備室近くにいた池上裕次に「池上さん、手伝わなきゃ!」と叫んでいた。って、野長瀬さんがお手伝いしたら? ともかく、冬将軍が何百人もまとめて乗り込んできた、そんなピットである。

SANY0463 住之江に降る雪を眺めていた田中信一郎。今回は選手代表の倉谷和信をサポートする役割も担っているようで(昨日のトライアル11Rで起きた転覆で、救助艇を追って最初に駆けつけたのが、信一郎)、レースへの影響に思いを至らせているようであった。同時に、準優に向けて気合も高まる午前中。寒風を真正面から浴びながら、試運転も繰り返していた。さまざまな責任を背負って、剣が峰に挑む信一郎。いつにも増して、カッコ良く見えるぞ。

SANY0482  秋山直之も、鋭い気合を感じる一人。準優2号艇で臨む今回は、明らかにチャンス。予選道中での1着はないものの、レースぶりは冴えている。多くの選手が寒さをしのぐために控室で時間を過ごしている中、秋山はしっかりと防寒着をまといながら、ビュンビュンと冷たい風が吹き込む装着場などでレースを見つめている。だからエライというわけではないけれども、そのストイックさはいいよね。

SANY0459  準優組では、向所浩二が整備室で入念な調整。ガランとした整備室で、明るい表情を見せる向所は、チャレンジカップに続いての大仕事を果たしそうな予感を覚えさせる。何より、朝からの懸命な整備が奏功しないわけがないと思わせられるだけの熱心さがある。チャレカの優出も、彼の努力が当然のように結実したということだったのかもしれない。ともかく、向所のこの姿勢は買い、だろう。

SANY0492  千葉コンビが、非常に落ち着いている。SG初出場にして、準優1号艇をゲットした作間章は、今のところはまるでプレッシャーなど感じていないようである。初準優の石渡鉄兵も同様。積もった雪をしゃがんで眺め、手に取ったりしていた。まあ、関東地方はあまり雪が降りませんからね。ともかく、余裕すら感じさせる穏やかな顔つきの二人。あ、そういえば、千葉ロッテは日本シリーズで阪神を4タテしたんだった。千葉旋風が浪速で吹き荒れるのは、今年の当然の成り行きなのか。二人の雰囲気に触れると、それが現実化しそうな気がしてくる。

SANY0501  さて、本日の気になる男は、中村有裕。彼もまた、SG初準優。ポールポジションを奪い取った昨日のレースぶりは、お見事の一言だった。報道陣の質問に応える中村は、あどけない笑いを浮かべていて、鬼たちの戦場となる準優では異彩を放っているように思えるが、その底には力強い闘魂が込められているはず。一人でピット内を歩いているときの彼の目つきを見ると、そうとしか思えないのだ。その熱いカタマリを思い切りぶつけるのが、今日の9R。一気の初優出を信じて、見守りたいと思う。(PHOTO&TEXT/黒須田守)


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ちょっと不思議な空間――賞金王シリーズ、4日目後半のピット

SANY0412  普段のSGよりも、ピットの空気が緩やかになっていくのが早い。11、12Rに決定戦のトライアルが控えており、10Rにはシリーズ戦のカードが終了してしまうからなのだが、勝負駆けの熱烈な空気が鎮静していく時間のズレに、なんとなく時差ボケにかかってしまったかのような錯覚に陥る。午後のピットは、なんだか不思議な空間だった。

SANY0400  それでも、戦いは熱い! 7R、 川崎智幸が、気迫の前付けから、1着をもぎ取った。しかも、インから逃げた川北浩貴とびっしり叩き合った末に、競り落とす激しいレースぶり。勝負駆け成功。まさに闘魂勝ちだった。ナイスジョブ、である。レース後の川崎は、大きく喜びを爆発させるわけではなかったものの、さすがに充実感いっぱいの表情。してやったり、そんな声が聞こえてきそうな気がした。真っ向から斬り合った川北とも、闘い終わればノーサイド、並んでモーターの格納作業をしていた。9Rでも、装着場にあるモニターで観戦していた川北の隣に、川崎がやって来て、ともにレースの行方を見守る。中村有裕の6コースからの鮮烈なマクリ差しに、揃って声をあげた。なんだか、いい光景だった。

SANY0229  その中村有裕。今日は、2連勝! 勝負駆け成功どころか、準優1号艇をゲットしてしまった。これでSG初準優出。さぞかし大喜びしているだろう……と思いきや、クールな表情を保ったままであった。実際に話してみれば、実に礼儀正しく、瑞々しい若者であるが、普段は冷静な装いを崩さないユーユー。目標だった予選突破を果たしてもなお、まるで感情にフタをしてしまったかのように、どっしりしているのだから、些細なことで一喜一憂してるオッサンとしてはうらやましい限りだ。JLCのインタビューでは優出宣言も飛び出した。有裕……いや有言実行なるか。

2005_12_21_5031  5Rで渾身のイン奪取を見せた平尾崇典。勝負駆けに成功して、さすがに緩やかな表情になっていた。それでも、調整の手は緩めない。ペラを懸命に叩く姿は、すでに優出を見据えているようでもあった。ピット内の移動も駆け足(時に全力疾走)で、足取りは実に軽快。今日の結果には、大満足なのであろう。レース後のインタビューでは、明日は前付けはしませんと言っていた。では、作戦は果たして? いずれにしても、勢いに乗った平尾は脅威だぞ。

SANY0395  予選突破はならなかったものの、丸岡正典が報道陣に囲まれていた。柔和な顔つきで、時に笑顔を交えて、記者たちに語りかける丸岡は、きっとみなに好かれているのだろう。今年は、笹川賞、チャレカとこの賞金王シリーズに参戦。記念でも、優出して見せ場を作るなど、飛躍のきっかけを作った1年だった。その勢いを止めないためにも、あと2日の奮起を期待したい。地元の意地、見せてもらおうじゃないの!

2005_12_21_11r_053  さて、本日の気になる男・西村勝。ピストンを換えて、本日の1回乗りに登場した。「直った」は、部品交換が当たったということだろうか。10Rは結果が出なかったが、これで人気が落ちるのなら、明日もう一度注目してみる価値はあるだろう。さすがに表情は冴えなかったけれども、僕は気にしないことにした(しかも、明日は初日、2日目同様、気温が下がるという予報!)。彼ほどの人望がある男だから、みなマチャルを応援してくれる! 5号艇でも、決して侮ることなかれ!(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO+黒須田 TEXT/黒須田守)


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賞金王シリーズ4日目のベスト・パフォーマンス

今日のシリーズは勝負駆けとあって、前付けのイン奪取あり(5R③平尾)、アウトのまくり差(9R⑥中村)と激しい勝負が相次ぎましたね。6号艇が10レース中7つも3連単に絡んだという珍現象も、激戦の証といえるでしょう。
 ベスト・パフォーマンス賞もあれこれ悩ましいところですが、実戦のレースとは別のところでこんな凄まじいエピソードがありました。今日は、ほとんどの方が見られなかったでありましょう、この「幻の賞金王バトル」にピンスポットを当てたいと思います。

水面の上で「水面下の激闘バトル」!!

2005_12_19_1_103 その戦いは、2レースが終わった後の水面で勃発しました。賞金王のV候補、植木通彦が水面に出てのんびり1周ほど走って2マークを回ったところ、蛍光オレンジのヘルメットを被った男が脱兎のごとくピットから飛び出し、植木に向かって一目散。
「植木どの、我こそは去年の賞金王・田中信一郎でござる! ひとつお手合わせを!」
 そんな勢いで足合わせを挑んだのでありました。植木にも断る理由はありません。ホームの直線で2艇はスロットルを握りはじめたのですが、そこからが凄かった。
 ガツンッ!
 ぴったり艇を合わせたふたりが、ボートが軋まんばかりにぶつかり合ったのです。ほんと、音が聞こえるほどの接触でした。が、本人たちは構うことなく1マークに向かって豪快モンキー。で、バック直線でまたまたゴッツーン!とぶつかり合っておりました。
 こ、これって試運転っすかぁ!?
 一瞬、本番のレースかな、なんて錯覚するほどのガチンコ勝負。いや、実戦だってこれほどの熾烈なデッドヒートはそうそうお目にかかれません。バックで競り合う間、2艇の感覚は1センチと離れていなかったように見えました。結果としては、植木の方がやや伸び加減だったようです。
「うむ、参りました。また出直して参ります」
 そんな風情で引き上げて行く田中信一郎。気づくと私、手のひらにじっとりと脂汗を貯めておりました。
 だがしかし、これで「討ち入り」話は終わりません。続く3レースの後も、さらには4レースの後も、信一郎は植木を見つけると「頼も~~!」という感じで果し合いを挑んだのです。そして、伸び負けを確認しては「うむ、しからばこれにて」。賞金王の選手と合わせるより、シリーズ選手を相手にした方が実になるのでは?などと突っ込みを入れたくなりましたが、信一郎の思いはもっと重く深いのでしょう。
「たとえシリーズでも賞金王決定戦のつもりで走る」
 そんな”防衛できないディフェンディング・チャンプ”のプライドと、シリーズに賭ける意気込みが、この世にも珍しいガチンコ・バトルになったのだと思います。明日は準優。今度は本番で凄まじい果し合いを見せてくれることでしょう。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO、TEXT/畠山)


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速報!住之江賞金王シリーズ準優ピット確定!!

 3日目終了時点で、ボーダーの得点率6.00に4人が並ぶ大混戦となったシリーズ戦の準優争い。最終的なボーダーは得点率6.00を割り込み、5.83で決着となった。その準優18ピットは以下の通り。

2005_12_17_297 8レース
1号艇・作間章
2号艇・瀬尾達也
3号艇・村田修次
4号艇・川北浩貴
5号艇・原田幸哉
6号艇・岩崎正哉

9レース
1号艇・中村有裕
2号艇・秋山直之
3号艇・坪井康晴
4号艇・池田浩二
5号艇・西村勝
6号艇・平尾崇典

10レース
1号艇・岡本慎治
2号艇・向所浩二
3号艇・倉谷和信
4号艇・田中信一郎
5号艇・石渡鉄兵
6号艇・川崎智幸

念のため主催者発表の出走表をご確認ください。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO)


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今年最後の勝負駆け!――賞金王シリーズ、4日目前半のピット

SANY0377  4日目の朝を迎えて、賞金王シリーズは勝負駆け、賞金王決定戦はトライアル2戦目と、重要な闘いが控えている。そのせいか、ピットは朝からやや慌しく、選手たちが行き交う姿をずいぶんと見かける。今年最後のSG、今年最後の勝負駆け!

 とは言いながらも、シリーズのほうはかなり大勢が固まってきた感もあり、予選突破が見えてきた面々は、比較的余裕の表情を見せている。1走5着でSG初準優となる中村有裕も落ち着いた風情で、それでも万全を期して作業に励む。「有裕、余裕」などと口にしてみて自分で笑ってしまう、まあ、ようするにそれくらい、ユーユーはいい顔をしていた。SANY0367 やはり1走5着の原田幸哉も、機嫌が良さそうだ。2R、東海の先輩のモーター片付けを手伝いながら、池田浩二にちょっかいを出す。池田も2走10点と、切羽詰った状況ではなく、原田のちょっかいに悪戯っぽい笑顔を返す。とても微笑ましい光景で、勝負駆けの朝とは思えないそんな空気は、間違いなく彼らにとってポジティブな要素であろう。決定戦に出ていてもおかしくない愛知の若者たち、シリーズの主役強奪は当然、といったところか。

SANY0372  一方、1着条件の勝負駆け、平尾崇典は、真剣な表情で調整に奔走していた。ボートを試運転ピットに係留して、ペラをチェックしている姿は、なかなかの迫力を感じさせる。チャレンジカップは、2度の事故に見舞われるという不運があり、言うまでもなく消化不良を強く覚えたはずである。厳しい条件とはいえ、準優へのチャンスを手にしている今日、気合が入らなければおかしいというものだろう。チャレカのリベンジ。平尾の朝は、ひたすら燃えていた。そして……5R、3号艇からイン奪取で、鬼の逃げ切り! 平尾が来たぞ!

SANY0382  3R、2コースから差して1着の石渡鉄兵は、出迎えた後輩の作間章とともに、ひまわりのような笑顔を見せた。2走15点が必要だった今日、これで後半は3着でノルマをクリアする。プレッシャーもかなり軽減されて、視界にはハッキリと準優が入ってきたはずである。足は悪くないようで、昨日までも胸を張って堂々と歩く姿が印象的だったのだが、3R後はさらに光が差して見える。取材班は東京がホームであり、東京の競艇ファンにとっては、「江戸川鉄兵」の異名があまりにも有名な石渡である。荒れ水面の江戸川を得意とする石渡にとって、今日の住之江の水面はあまりに穏やかなはず。後半も渾身のレースを期待だ。

SANY0360  さて、日替わりでお届けする「今日の気になる男」は、西村勝。今日は無事故完走で準優当確となるが、昨日の6着が心に引っかかっていたのだろう、調整と試運転を熱心にしていた。3R前、ピットにボートを引き上げると、一言「直った!」。変調を来たしていたモーターが、1、2、1着と絶好調だった2日目までに戻ったようなのだ。10Rは注目だぞ。そこに駆け寄ったのが、決定戦組の菊地孝平。どうやらペラのことで相談を持ちかけたようである。真剣な表情で、菊地にアドバイスを送る西村。そういえば、西村はさまざまな選手に声をかけられているし、また西村のほうからも地区や上下関係を問わずに声をかけている。非常に人望があるようなのだ。人格者・西村が絶好調宣言。これは応援するしかあるまい。(PHOTO&TEXT/黒須田守)

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(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO)


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プライドを懸ける――賞金王シリーズ、3日目後半のピット&明日の勝負駆け情報!

SANY0339  右の写真は、今日の第11Rのピットである。11R――そう、トライアル第1戦。田中信一郎が、田村隆信が、こうして水面の際までやって来て、レースを眺める。賞金王シリーズのほうも、3日目を終えて、いよいよ剣が峰を迎えるのだ。信一郎は準優当確、しかしマン・オブ・ザ・賞金王のプライドに懸けても、決定戦を無視することはできない。彼らはどんな思いで、トライアルを眺めていただろう。意地を見せるすべは、今の信一郎にとってはシリーズを激走すること。言われるまでもなく、信一郎自身、それを辛いほどに理解しているはずだ。当確だろうが何だろうが、明日の信一郎も全力疾走。もちろん、終戦を迎えてしまったとはいえ、田村も同じだろう。

SANY0331  残念な結果となってしまった湯川浩司。H記者の入れ込みも空振りに終わってしまった。もちろん、いちばん悔しい思いをしているのは湯川本人。今日の4R1号艇をモノにしていれば、準優への望みも残されただけに、心中穏やかでないところもあるだろう。ただ、後半のピットで見る湯川には、落胆はあまり感じなかった。心の底からご機嫌であるはずはないが、それでも表情に影が落ちているわけでもない。僕は思った。明日以降も、まだまだ見捨てるのは早いぞ。若者なのだから、ひたすら前を向いて進む、その心意気やヨシ。足もトコトンひどいわけではないのだから、開き直りの一発はおおいにありうる。明日こそは、チッチキチーを見たいぞ。

SANY0328  時間が経過するにつれ、「風格」という衣を一枚ずつ重ね着していっているように見える男がいる。池田浩二だ。今年のSGでは存在感を示せなかったけれども、賞金王決定戦にも駒を進めた実績のある男である。ポテンシャルの高さには疑うところなどないのだから、考えてみれば、今節のような池田こそ彼の本質なのだろう。今日は、笠原亮と一緒にいるところをよく見かけていて、これはともに参戦したSGでは日常的だった光景。池田、笠原を非常にかわいがっているのだ。今回、弟分はひとつ上のステージに参戦し、池田も兄貴分として笠原を支えてもいくのだろう。だが、池田自身も勝負が懸かっている。一昨年のグラチャンを制した、あのスピードを、住之江の水面に炸裂させろ! それがかわいい後輩への最高のエールになるのだ。

SANY0325  本日の気になる男、吉川元浩。8Rは、上位争いに加われそうな局面もあったが、4着に敗退してしまった。引き上げてきた吉川の目は、キッと鋭く、悔しさを噛み締めているのは一目瞭然であった。並んで歩く向所浩二にも笑顔はなく、やや重苦しい空気であった。予選突破の可能性はまだ十分に残されているが、目の前の勝負に負けたことは許しがたい失態。そんなふうに、自分を責めているようにも見えた吉川。まさに勝負師の魂を持った男。4走で24点は、得点率6・00のボーダーライン。吉川の瞳が見据えているのは、もちろん着をまとめることではなく、勝って準優に乗り込むことのはずだ。

2005_12_20__073  さて、シリーズ戦の勝負駆けについて、ここで記しておこう。
 オール連対が一人もいないという大混戦のなか、予選1位は瀬尾達也。最ベテランが快調にハナを切って突っ走っている。ボーダーを6・00と想定すると、もちろん準優は当確。明日は好枠ゲットのための闘いとなる。このほか、当確は2位・岡本慎治、3位・向所浩二、5位・田中信一郎、6位・秋山直之。7位・西村勝も明日は6着で6・00だから、完走で予選突破だ。4位・作間章は、2走で6点が必要だから4着5着条件。機力を考えれば、それほど難しい条件ではない。
 8位以下も、楽な条件の選手が並ぶ。8位・倉谷和信、9位・中村有裕、10位・村田修次、11位・原田幸哉まで、1走5着で6・00。このあたりも、ほぼ問題なくクリアしそうだ。12位・池田浩二が2走10点(3・4着)、13位・岩崎正哉、14位・坪井康晴が1走4点(4着)、この3人も大敗しなければ予選突破で、かなり有利な戦い。
 ボーダー6・00には4人。15位・川北浩貴、16位・吉川元浩、17位・平石和男、18位・柏野幸二で、ここまでがちょうどベスト18。で、19位以下で逆転の可能性を残している選手が意外と少なく、19位・白水勝也(2・3着)、20位・川崎智幸(2・3着)、21位・石渡鉄兵(2・2着)、22位・平尾崇典(1着)、23位・服部幸男(2・2着)、24位・深川真二(1着)、29位・矢後剛(1・1着)の7人。あとは、徳増秀樹、池上裕次が勝って相手待ち(池上は2連勝で)という状況で、アクシデントがなければ、大きな変動もなく準優まで推移しそうである。
 それでも、ボーダーが下がる可能性も残されているから、6・00に届かないからといって、諦めている場合ではない! 明日の前半戦は下位勢が1号艇にけっこう入っているから、熾烈な得点争いが繰り広げられるはずだ!(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO<田中信一郎、柏野幸二>+黒須田 TEXT/黒須田守)

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賞金王シリーズ3日目のベスト・パフォーマンス

 賞金王戦士12人が登場して、今日から否応なく脇役に回される賞金王シリーズ。でも、SGはSGなんです。10レースでは必死に着を上げようとした今垣が赤岩を妨害して無念の失格。3日目にして準優への道は閉ざされてしまいましたが、この激しさこそがSGの証なんです。13位の次点に泣いて、さらにシリーズの優勝も逃した今垣。さぞや悔しいことでしょう。でも、常に命がけのレースをしていればこその勇み足。この気合いで走り続ければ、来年はあっさりと賞金王の当確ランプを点すことでしょう。

 では、今日のシリーズのベスト・パフォーマンス賞。これだけインが強い水面であっさりまくりきってしまった、この東海の怪物クンに贈ります。

4R/カドから楽まくり。住之江にアウトセット誕生!

 2005_12_17_026やっぱ、タダ者じゃないっすね~、原田幸哉。3対3の4カドからスリットでほんの少しだけ覗くと、カド受けの森竜也の横っ面を張り飛ばすようにして瞬時に絞りはじめました。そのまま矢後と湯川の頭をブッ叩いて、バックでは一人旅。あまりに強烈な絞りまくりだったために、外の岡本&岩崎も「ごっつぁ~ん」とばかりに台頭して住之江では珍しい「枠なりでの456アウトセット」が誕生しました。それでいて、3連単の配当は2530円……ファンの皆さんも、幸哉という男の破壊力を熟知しているのですな~。
 それにしても、ちょこっと覗いただけで一気に内側へ舳先を寄せ、同じ東海地区の森を吹っ飛ばしてしまう大胆さというか勇猛さというか冷酷さというか……それでいて、見た目にはまるで口笛を吹くような感じで飄々とまくってしまうのですから、原田幸哉は恐ろしい。ただただ脱帽するしかありませんです、はい。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO、TEXT/畠山)


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締まった空気――賞金王シリーズ、3日目前半のピット

2005_12_20__035  賞金王決定戦、開幕!……といえども、こちら賞金王シリーズは予選3日目の大切な闘い。準優進出に向けて、1点でも2点でも多くポイントを稼いでおきたい、力のこもる一日である。ピットでの注目は、どうしても5分の1(12名)に向けられがちになるわけだが、12人と決定的な差があるなどと考えている者は、48名のなかに一人もおるまい。ピットの空気がカキンと引き締まったように思える今日、その雰囲気を作っているのは何も決定戦出場選手だけではない。

2005_12_20__036  尻上がりに成績が良化している白水勝也。3走19点はまずまずの結果だろう。ただ、今日は7R1回乗り、6号艇での出走。予選を突破するためには、まさに正念場となる。といっても、山本浩次並みに淡々としているのが白水。肩に力が入っている様子もなく、また焦燥感みたいなものもいっさいない。黙々と調整をして、黙々とレースに臨む。それが白水勝也である。派手さはなくとも、確実にポイントを重ねていくのが白水スタイル。賞金王というお祭り的な場であるからこそ、その静かな戦意がアドバンテージとなるのではないか。白水のたたずまいを見ていると、そう思いたくなる。

SANY0307  成績も好調、足にも当たりが出始めている坪井康晴は、やはり好ムードを感じる一人である。気温が上昇し、調整に奔走している選手が多い中、比較的ゆったりと過ごしているようにも見受けられる。もちろん、ペラを調整している姿は真剣そのもので、さらなる上積みをもくろんでいるのも間違いない。ただ、何というのだろう、仕事に集中している姿にも、たくましく包む余裕の膜が一枚見えるような、そんな気がしてくるのだ。いわゆる一皮剥けたときに、次に姿を表わす強靭な膜、というか。何を言ってるのかよくわからなくなってきたが、とにかく、大仕事をしそうな雰囲気があるということだ。絶対に気にかけておいたほうがいい一人である。

2005_12_19__402  今日も渋いぞ、倉谷和信。間違いなく、優勝を意識していると思えるのだが、どうだろう。もしかしたら太田和美や田中信一郎にとっては不本意な言い方かもしれないが、松井繁が暮れの住之江にいないのは、やはり異常事態である。松井こそ、大阪の頂点であり牙城。その異変をピリッと締めるのは、やはり倉谷の役目。選手代表として全体を統率する仕事もそうだが、その走りでなにわスピリッツをアピールしなければならないのだ。田中信一郎との大阪タッグは、その雰囲気においても超強烈。後半9Rは5号艇と枠は遠くとも、無視するわけにはいかない。

 頭が下がるというか、エライというか、池上裕次の献身ぶりは、いったいどうしたことだろう。自分の仕事はそっちのけで、他の選手たちの世話を焼いているのだ。プロペラの自主チェックの中心にいるのも池上。後輩たちに優しく声をかけているのも池上。レースが終わると、引き上げのヘルプに全速力で向かうし、もう、ご立派!の一言なのだ。でも、もっと自分のために時間を使ってもいいんじゃないかなあ……などと思っていたら、おぉ、2005_12_19__036 1R終了後、他の仕事のかたわら、モーター整備にかかり出した。予選突破はやや苦しい情勢になってしまったものの、このままでは終われない。明日のレースで一発があってもおかしくないぞ。というか、このままではあまりに報われないじゃないか。

 さて、今日の気になる男は吉川元浩。闘志満々、といった風情でピットを歩いていた。試運転も精力的に行なっており、貪欲に勝利を目指す狼のようだ。いつも格闘家を思わせる鋭い目つきの吉川、今節は笑顔を見る機会も多い。精神を研ぎ澄ませつつ、ひとかけらの余裕も潜ませている、といった感じだろうか。今日は8Rに登場、狙いすました一発があるか?(PHOTO=SHIGEYUKI NAKAO+黒須田 TEXT/黒須田守)

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賞金王シリーズ2日目のベスト・パフォーマンス

 今日もインの強い住之江でしたが、一方でまくり2発の決着や6号艇が6本も3連単に絡むなどカラフルなレースが多かったですね。今日はその活躍した6号艇の選手たちに熱いエールを贈ります。まず第3位、昨日の開会式でV宣言したこの方に再登場していただきましょう。

3R/本気丸出し、深~い前付けで2コース奪取!

2005_12_19_1_008  怖いほど本気です。いつもはコース取りに淡白な田中信一郎が、3レースのスタート展示でぐるりと大回りし、2コースを奪いました。インを主張した白水よりも、かなり深い2コースです。いくら慣れた地元水面とはいえ、これではスタートもおっかなびっくりになるはず。
「こりゃ本番レースでは無理せず、スローの4コースあたりで妥協するだろうな」
 などと思っておったのですが、本チャンでも怯むことなくデ~ンと深い2コースに居座ってしまいました。さらに内へ内へと寄って、イン白水の進路を阻もうかという勢い。そして、スリットでもチビることなくコンマ10のトップSを切ったのですから立派なものです。結果は差して届かず3着に終わりましたが、昨日のV宣言がリップサービスではないことを証明する前付けでしたね。気迫溢れる有言実行、2日目を終えた時点で「もっともシリーズ優勝に近い男」という称号を与えておきます。
 あ、あのイジメのような狭いインからキッチリ逃げきった白水勝也も凄かった、です!

2005_12_19_1_024

 続いて第2位は、昨日からオール連対で節間トップに君臨しているこの大ベテランに捧げます。

10R/古豪復活! 前付け失敗でも老獪な追走劇

 6レースで鮮やかに野長瀬を差しきった最年長・45歳の瀬尾達也。昨日からの連勝でリズムは抜群とはいえ、この10レースは鬼門ともいうべき6号艇です。モーターも中堅に毛が生えた程度にしか見えず、さすがに苦戦が予想されました。
「前付けで3コースくらいまで潜り込めれば、あるいは……」
 と思ってピットアウトを見ていたのですが、一応コースをガメてはみたものの押し出されるようにスローの5コースに。これでは思いきって引いた方が得策だったはず。スタートも横並びに近い平凡なもので、万事休したかに見えたものです。
 1マーク、定石どおりの最内差しを打つも、まったく届きません。バックでは徳増、新美恵一あたりにかなり遅れをとっての4、5番手。
 が、ここからが素晴らしかった。一目散に2マークを目指して外を走る先行艇にプレッシャーをかけ、失速させてから2マークをなめるようにして切り込みターン。もちろん瀬尾自身も流れましたが、失速した分だけ他艇の差しも引き波に乗ってバウンドしています。結局このターンが功を奏してまんまと2番手を奪いきってしまったのです。
2005_12_17_374  うむ~、オッサン、やるわい。
 その老獪なテクに感心すると同時に、45歳とは思えない気合いたっぷりの突っ込みには驚かされもしました。もし、あのバックで普通に外に持ち出してから差していたら、4着が関の山だったことでしょう。ピンピン発進にも驕ることなく、さらなる勝率を重ねようとした貪欲な姿勢。7回も優出しながらまだSGの大輪を冠していない瀬尾ですが、この気合いが最終日まで続けば……! そんな期待の膨らむ2マークでした。

 そして、今日のベスト・パフォーマンス賞は、6号艇から前付けもせずに豪快な捌きでトリプル万シューを演出したこの方に贈りましょう。

5R/アウトから円月殺法で3人斬り!!

 無敵のイン水面ともいうべき今節の住之江で、ついに最アウト6コースから勝者が誕生しました。5レース、緑のカポックを身にまとった池田浩二は、脇目も振らずにアウトコースへ。このレースは秋山、湯川、幸哉など内枠にパワー自慢が揃っていて、6コースからでは展開を探すことさえ厳しい環境です。
2005_12_17_365 で、1マークでは案の定、隣の平尾を叩くのが精一杯。形ばかりのまくり差しを放ったときには、逃げた秋山と差した幸哉ははるか前方を走っています。が、道中で諦めないのが池田浩二という男。まずは3番手・湯川の内側ににじり寄って舳先を捻じ込み、外へ外へと持ち出しました。これで3、4番手の関係は逆転。セオリー通りの抑え込み戦法とはいえ、冷静かつ的確な判断でした。
 そして、2マークで秋山と幸哉がやり合った瞬間、池田はさらなる動きを見せます。しっかり面倒を見た湯川を「ご苦労さん」とばかりに外へと押し流し、その反作用を利用するようにして鋭角に2マークを目指したのです。不要になった燃料タンクを切り離して身軽になったロケットのような俊敏さ。ほとんど真っ直ぐに2マークを通過したときには、真横に流れた秋山と幸哉を後方に従えておりました。
 もちろん、先頭争いをしているふたりが喧嘩しなければ、池田の勝ちはなかったことでしょう。でも、道中で湯川と熾烈な3着争いをしながらも、「あわよくばさらに前を!」という強い意識があったからこそ、池田はあれほど俊敏かつ的確に差すことができたのだと思います。バックで外へ外へと湯川を振りつつ、その視座はすでに2マークに向いていた。ぐるりと遠回りをしているようでいて、実は勝利への最短距離を池田浩二は走っていた。SGを獲る資質、というものを肌で感じさせる逆転劇でありました。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO、TEXT/畠山)


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熱いドラマがそこにある――賞金王シリーズ、2日目後半のピット

2005_12_19__013  また「寒さ」の話からで恐縮であるが、今日は昨日に比べてしのぎやすい気候だったのに、12Rを迎えるころ、急にまた酷なまでの寒さが戻ってきた。これは、12R出走選手には予想外のことだったようで、5着に敗れてしまった岩崎正哉も「こんなに冷えるとは思ってなかったからなあ」と苦笑いを見せた。今日一日、積み上げた調整が、天候のせいでまるで奏功しなかった。勝負の行方を左右する要素には、人知を超えたものもある。
 こうなると、問題になるのは、明日の決定戦トライアル。明日のこの時間帯に、決定戦の火蓋が切られる。気温の急降下が、明日もあるのか。上瀧和則も、「想定して、調整するしかないからね」と言っていたが、激寒の住之江、選手たちは相手だけでなく、空も見なければならないのだ。

2005_12_19_1_105  田中信一郎に、とにかく気合を感じる。決定戦常連組はすべて、忸怩たる思いを抱えつつ、その憂さをシリーズ優勝で晴らそうと闘志をみなぎらせているが、ここが地元の水面である分、ましてや過去3度の決定戦Vの実績がある分、信一郎の気合はことさら強く、僕の心にも迫ってくる。12Rでインから渾身の逃げを見せたのは、まさしく魂の走りの証明でもあったが、彼にとっては単なる通過点でしかないのだろう。最後まで浮かれた顔も見せず、さらに明日に向けての強固な思いを凝縮させているようであった。ピットに戻ってきた直後には、倉谷和信と会話をかわしながら首を傾げる場面もあり、勝つための手応えをまだまだ模索しているふうでもある。とにかく、だ。シリーズにドラマを見たければ、信一郎を見よ。この男が、明日からの第10Rまでを熱くするのだ。

 首を傾げたのは、倉谷も、である。11R2着は上々の成績、予選順位12位もまずまずのポジションだろう。レース後、ピット内のモニターでVTRをチェックする表情は決して暗くはないし、質問を投げかけた記者さんにも機嫌良さそうに返答をしていた。2005_12_19__135 まあ、2日目としては悪くない途中経過、ではあるはずである。ところが、記者さんに挨拶をして、控室のドアを開けた瞬間、「でも満足はしてないんだよなあ……」とばかりに首をひねったのだ。その後、ペラ調整室に急行し、12R終了までのわずかな時間をペラチェックに費やした倉谷。選手代表としての仕事もあり、多忙に過ごしている倉谷だが、勝負に臨めば鬼になる。勝負師としての強靭な魂を見た思いがした。

2005_12_19__280  10Rの6着で、明日は一足早い勝負駆けを強いられることになってしまった寺田祥。勝っても負けても、機力が良くても悪くても、そう大きく表情を変える男ではないが、やはり今日も一見、心に揺らぎが生じているようには見えない。だが、近くを通りかかった寺田から、慄えるような圧力を感じたのだ。気のせいだったのか、それとも確かな熱を寺田は抱いていたのか。とにかく、ただならぬ空気を10R後の寺田には感じた。もともとが、凛とした面差しの男ではあるが、その“凛度”が急上昇している。僕には、そう思えてならない。

2005_12_19__398  祝・SG2勝目! 11R、作間章が今村豊をツケマイで沈めた。昨日に続いて、イン優勢の住之江で、強烈な全速旋回。大舞台だろうが、相手が大先輩だろうが、まるで物怖じせずに己をぶつけていく若者の姿は、清々しい。実は、前検の日、今回カメラマンを務める中尾氏が、「撮影していて、作間にオーラを感じたね」と証言していた。幾千の人物をファインダー越しに見てきた中尾氏のアンテナに、作間の醸し出す何かが捕捉されたのだ。その感覚通り、作間は強者どもを相手に一歩も引かない戦いを繰り広げ、2つの白星を掴み取った。自信にもなっているはずだし、気分も悪かろうはずがない。真っ直ぐに前を見て闊歩する作間には、すでにSG常連選手に備わるような風格すら感じるのだ。

2005_12_19__088  一方、やや表情が冴えないように見えるのは、田村隆信だ。7Rで勝利をあげたものの、11Rは6着。これで6、1、6着である。昨年はSG2勝で決定戦に駒を進めた田村は、今年ももちろん、自分の中のハードルを「決定戦出場」に設定していたはずである。前半の長い休みもあって、目標達成はかなわなかったけれども、ならばシリーズは絶対的な主役となることがノルマだったはずである。しかしながら、今節の田村からは、なぜかポジティブな印象が伝わってこない。寂しいし、こんなもんじゃないだろう、という思いも強い。僕が言うまでもなく、田村自身、納得しているはずはない。明日からの巻き返しを望みたいところだ。

 その田村を含めた85期勢が、12R前に装着場に向かった。田村、湯川浩司、丸岡正典、森高一真だ。どうやら、誰かのボート(確認できませんでした)を最若手4人が洗浄することになったらしい。ボートに近づくと、湯川が中心となって、ホースで水をかけていた。寒いなか大変だなあ……と感心してその様子を眺め、ふと別のところに目を向けると、急に4人が嬌声をあげ始めた。なんだなんだ? SANY0299 湯川、ホースの先(シャワー状になってます)を他の3人に向けて、水をかけようとしています。ダハハハ。何をやってるんでしょうか。その後も、ボートを洗いながらワイワイと……いや、フォーフォーと楽しそうな85期生。フォーフォーは、HGの「フォーッ!」のようです。仲良きことは美しきかな。ボート洗浄を終えたあとも、4人並んで控室に向かって歩きながら、フォーフォー言ってました。戦いの合間の、微笑ましい風景であります。みんな、明日からも頑張れ!

2005_12_19_1_044  さて、今日の気になる男、今村豊。作間の項で記したとおり、11Rは1号艇を生かすことができなかった。8Rも6着に敗れてしまい、苦しい状況に追い込まれた今村。「エンジンがダメだもん」と、悔しそうに今日の戦いを振り返っていた。闘志と機力の回転が合っていなかった、ということか。明日こそは、強い今村豊を見せてほしいが……。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO+黒須田 TEXT/黒須田守) 


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まくりも出たぞ!~2日目前半戦終了~

2005_12_19__143 ピットではまるで冷蔵庫に入っているような寒さだった昨日の住之江競艇場。今日からピットに現れた賞金王12選手の闘志、それに水面上の熱戦が空気に伝わったのか、今朝はその寒さも若干ゆるんでいる。まあ、それでもかなり寒いことには変わりはないのだが……。

 昨日はイン逃げ9勝、2着2回の3着1回。3連勝式で1号艇を嫌った人は全敗という完璧なイン天国となっていた住之江水面。競艇の神様もさすがにやりすぎと思ったか、今日前半のイン逃げは3R白水勝也、4R坪井康晴の2本。1号艇が3着以下に沈むことはまだないものの、オープニングの1Rでは川北浩貴が今節初となるまくりでの勝利も上げている。2号艇より外の艇にもだんだんと流れが向いてきている前半だったといえるだろう(なお、決まり手は逃げ・差しが2、まくり・抜きが1)。

 決定戦の特訓もある後半戦の住之江は、さあどうなる?(PHOTO・SHIGEYUKI NAKAO)


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気温も熱気も上昇――賞金王シリーズ、2日目前半のピット

SANY0224  昨日よりは寒さの和らいだピット(でも寒いっす)。賞金王戦士もやって来て、雰囲気もガラリと明るくなっている。ただ、だからこそシリーズ出走選手たちの気合は強くなっているような気がする。考え過ぎかもしれないが、12名に報道陣が殺到するなか、俺たちには俺たちの闘いがあるという意地と意識が感じられるのだ。黙々と調整に集中しながらも、静かに燃える炎が立ち上る。こちらも、グッとSGらしさが高まってきた。

SANY0250  佐々木康幸に闘志を見た。試運転に出るのを待ちながらも、2Rを眺める目つきが鋭くなっていく。キッと唇を結んで、気合を胸に溜め込んでいくように見えた。思えば、決定戦に出場する菊地孝平、笠原亮は同県の後輩。彼らの活躍を喜びながらも、「俺だって……」という思いが生まれなければウソだろう。今日登場した2人を見て、何か思うところがあってもおかしくはなく、その強烈な思いが雰囲気として発散されているように思えた。菊地と笠原の目の前で、先輩の意地を見せつけられるだろうか。

SANY0237  向所浩二が最高の笑顔を見せた。2Rを制し、チャレンジカップに続いての予選突破に早くもメドが立ったことで、精神的にもかなり余裕が生まれてきたのだろう。そのチャレンジカップでも爆発していた笑顔は、言うまでもなく好調のしるし。SG優出が単なる幸運ではなかったことを証明するためにも、さらに得点を積み重ねていきたいところだ。もちろん、陽気に笑う向所を見ていると、その予感も強くなっていくばかりである。

SANY0247  1Rで今節初のマクリ勝ちを決めた川北浩貴。足色には満足していないようだが、好レースで勝ち切ったことでホッと一息。足取りも、心なしか弾んでいるように見える。レース後のモーターチェックのためボートに向かう際も、胸を張って力強く歩を進めていた。そこに声をかけたのが、同期の深川真二。1Rでともに闘い、その川北にまくられたものの、道中の競り合いを制して3着を死守している。レースを振り返っているのか、深川には時折、苦笑いも見える。同じカマの飯を食った間柄だけに、情報交換もしやすいのだろう。ともに予選突破し、決定戦に出場する同期・山崎智也にエールを送ることができるか。

SANY0216  さて、シリーズ組の「今日の気になる男」は、今村豊。これまでのSGより、その姿を見かけることが圧倒的に多いのだ。昨日も一昨日もペラやモーターの調整で駆けずり回っていたが、8R11R2回乗りの今日も、朝から忙しく時間を過ごしている。今村ほどの選手にとって、シリーズ回りは本意ではない。体調に不安を抱えて戦ってきたことは大きなビハインドではあったものの、それを決定戦に届かなかった言い訳にする男ではなかろう。それだけに、ここで「今村豊、ここにあり」を見せたいということなのだろうか。もちろん、足色がもうひとつであることも関係しているに違いないが、とにかく、妖気にも似た闘志を感じずにはいられない。今日のレースには、とりわけ注目してみたい。(TEXT&PHOTO=黒須田守)


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冷気の中で――賞金王シリーズ、初日後半のピット

SANY0128  口にするのも飽き飽きするけど、寒いっ! 午後になって、いちだんと寒さが増したように思えるのは気のせいか。本場に参戦する予定の皆様、ほんと、温かい服装で来場してくださいね。ほんと、ハンパじゃない寒さです。で、寒いのは選手も同じこと。臨戦態勢を整えるためには震えてばかりもいられないが、それでも今日の寒さはこたえるようで、10Rが終了し、帰宿バスの第一便が出発すると、装着場周辺はがら~んとしてしまった。選手の姿は見当たらない。もちろん、試運転ピットにボートの影はない。この寒さで体調を崩しては元も子もないということなのか、ほとんどの選手が第一便に乗車したのだ。まるで、優勝戦のピットのような静けさに包まれたピット。余計に寒さがつのる、賞金王シリーズ初日後半戦である。

SANY0101  人っ気のないピットに変貌するより前の、まだ多くの選手が試運転や調整に懸命の汗を流している頃。福井支部の二人、今垣光太郎と室田泰史が話し込んでいた。オープニング・ウィンを飾った室田も、ドリーム戦を控えていた今垣も、かなりリラックスしていて、実にいい感じ。結局、今垣もドリームを制したから、揃って白星スタートである。今日、彼らの地元・三国競艇場は大雪に見舞われ、予定していた場外発売を取りやめている。彼らの挙げた2勝は、ふるさとのファンに捧げるお見舞いだろうか。今日はお国のヒーローの活躍に一票を投じることができなかった人たちのためにも、1勝したくらいで満足してはいられない。三国のみなさん、明日からも今垣と室田を応援してください!

2005_12_17_353  初戦を逃げ切って、やはり好発進の石渡鉄兵。作間章の水神祭では大活躍していたが、一人になると澄み切った表情である。やはり、白星は勝負師たちの栄養剤。ファーストバトルでそれを得たことで、石渡の心のエンジンに火がついたように見えた。後半レースは5着に敗れてしまったが、それはそれ。ピットでの石渡を見たのは津ダービー以来だが、Fに散ってしまったあの時とはハッキリと雰囲気が違う。暮れの住之江は、一年の総決算。作間も勝利をあげたし、石渡も好調だし、千葉ロッテマリーンズは日本一になったし、“千葉旋風”こそ、この舞台にふさわしい大団円なのではないか、とまで妄想してしまったぞ。(PHOTO=S・NAKAO)

2005_12_17_364  ピットの片隅でひたすらブルブル震えていたら、10Rで2着となった白水勝也が現われた。水切りのためにひっくり返されていた自分のボートまでゆったりと歩み寄ると、タオルでゴシゴシと拭き始める。白水がボートを磨き上げる姿はSGのたびに目にするが、ともに戦う相棒への心遣いは麗しいとしか言いようがない。まして、この寒さのなかでも欠かさないのだから、尊敬の一言である。そんな白水に、ボートを担当する職員さんたちが声をかけた。離れた場所にいたので内容はわからないけど、相好を崩した白水を見ると、きっと職員さんたちも白水の姿勢に感心してみせたのではないだろうか。こういうのをカッコいいというのだと思う次第である。(PHOTO=S・NAKAO)

2005_12_17_375 「特注選手」を担当する松本が、田中信一郎に声をかけた。地元の雄であり、昨年の賞金王チャンプである信一郎。シリーズ回りになったことを悲しんでいるはずで、そしてシリーズで借りを返そうと燃えているに違いない。実際、開会式では優勝宣言もぶち上げている。そんな信一郎の戦いを追いかけようと松本は考え、まずは信一郎に打診をした。信一郎が「はい」と言えば、そのまま取材が始まるはずだった。
 ところが、信一郎は黙り込んで、首をひねった。「うーん……」。迷っていた。
 逡巡の理由はひとつである。今、自分がこの場にいることは、信一郎の中では屈辱以外の何物でもないのだ。松井繁が不在である分、信一郎の背負った責任感は大きく、太田和美が孤塁を守りはしたものの、本来それは昨年の覇者である自分がやるべき仕事のはずだった。それを果たせなかったことへの自責と後悔。もちろん、賞金王を3度も制した彼にとっては、プライドを傷つけられる事態でもあろう。注目してもらうことに悪い気分はしないけれども、本当に注目されるべき場所はここではない。せっかくの申し出を受けたい気持ちはあるのだが、「田中信一郎」という一個の存在として受けるべきなのかどうか……。
 ずいぶん考え込んだ末に、信一郎は申し訳なさそうに「すみません」と言った。感動した。感銘を受けた。いや、断わられて歓んでいるのはおかしな話なんだけど、これこそがレーサー魂ではないのか、頂点に立つ男の器ではないのか、と思えたのだ。実を言えば、松本は信一郎と今垣光太郎を対象として考えており、そして両方を断念することも想定していた。彼らの心情を考えれば、我々の狙いが失礼にあたる可能性も十分想像できたからである。そんな申し出に対して真剣に向き合ってくれた信一郎には感謝しかないし、そのうえで自らの魂に素直になった信一郎をカッコいいと思う。やはり彼は正真正銘のトップレーサーなのだ。
2005_12_17_302  で、たまたま信一郎に先に声をかけ、今垣がその後快諾してくれたため、結局、「特注選手=今垣」という記事になったが、今垣のその寛大さと勇気にも敬意を表したい。つまり、この二人は明らかにモチベーションが別次元にある、ということだ。選手たちは、時にホットで、時にクールで、時にはウェットですらある、そんな感情を常に抱いてレースに臨む。そして、そこにこそ、ドラマが宿る。今垣のことは松本が追いかけさせてもらうし、信一郎の闘いも遠くから注目したい。賞金王シリーズを熱くするのは、間違いなくこの二人だ。(PHOTO=S・NAKAO)

2005_12_17_327  さて、今日の気になる男は市川哲也。第一便に乗らずに、最後まで残っていた一人である。すでに閑散としていたペラ調整室に一人こもって、ペラを叩き続ける。ミルキー・フェイスとまで言われた彼も、真剣な表情になると渋みすら漂わせている。いやはや、カッコいいっす。9Rで1着も出て、昨日のやや厳しい顔つきはほとんど見られなくなってもいるぞ。それでもさらなる上昇を目指して、ペラに集中する市川。明日、その成果を水面で表現することができるか。(TEXT=黒須田守 PHOTO=SHIGEYUKI NAKAO&黒須田=上2つ)


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賞金王シリーズ初日のベスト・パフォーマンス

 はい、いよいよはじまりましたね、賞金王。今日もまあなんとも様々な……つーか、色々と……つーか何と言いますか……ま、とにかく今日の第3位! それは、レース前からバチバチと火花を散らしたこの方です。

開会式/高らかにV宣言、これが2年連続賞金王の意地や!

2005_12_17_033  たとえシリーズであっても、「賞金王」と名の付くタイトルは譲れね~! そんなプライドをひしひしっと感じさせる田中信一郎の宣戦布告でありました。
 昨日のモーター抽選会あたりから先輩のガッツポン倉谷と爆笑しながらはしゃいでいた信一郎。ああ、やっぱり去年一昨年と2年連続で賞金王を獲った男が、シリーズくらいじゃ本気になれね~わな~、などと思っていたのですが、さにあらず。決定戦まで駒を進めた同期3人に負けないほどの熱い思いを秘めていたのですね。
「絶対に優勝しますんで、応援してください!」
 今朝の開会式、信一郎は照れ笑いひとつ浮かべずに真顔で宣言しました。地元の水面でよそ者に負けるわけにはいかない、という面構えでした。今日の6レースでは後手を踏んで下位争いを強いられながら、渾身のまくり差しで3番手まで浮上。最後は不利もあって4着でしたが、あの不敵な面構えどおりのレースをしていましたね。明日は6号艇と1号艇の2回走り。間違いなくピンピン狙いの豪快モンキーを繰り出すことでしょう。

5R/作間章、SGデビューで水神祭!

SANY0123  来た来た、やっと来た~~って感じです。82期の本栖チャンプとしてデビュー当時から注目されていた作間章。それが、通算11度のFを切るなど足踏みしている間に、同期の赤岩や坪井にも置き去りにされておりました。そしてデビュー7年目の今日、第5レース、SGの水面にはじめて登場し、俊敏な2コース差し~バック逆転で水神様の微笑みを頂戴したわけです。おめでとうございました!
 あ、そうそう、本栖時代の担当教官はといえば、黄金の69期(太田和美、仲口博崇、山本浩次、田中信一郎etc,etc)を育てた小林雅人氏。「オ、オレはな~、82期の連中を69期に負けないくらいのスター軍団にしたいんだよ~~!」と小林氏は一升瓶をラッパ呑みするたびに叫んでいたものですが、氏の野望に一歩近づく勝利だったといえるでしょう。
 作間クン、これからも精進を重ねて、来年の今頃は3日目の12レースあたりで赤岩や坪井とシノギを削ってくださいまし!!

 そして、栄えあるベスト・パフォーマンス賞は、選手ではなく住之江競艇場に捧げます。

水面に咲いたイン逃げ9発の打ち上げ花火

SANY0172 いや~なんとも美しい連続花火でしたね~~って、あんた、私はどっちかっつ~と穴党なわけですよ。それがインに入った選手が逃げて9勝、2着2回、3着1回のオール3連対だなんて……いえ、キッチリ逃げきった室田、瀬尾、石渡、川﨑、倉谷、市川、原田、吉川、今垣の9選手には敬意を表します。特にコンマ03のスリットから豪快に逃げた吉川は凄かった。ええ、素晴らしい逃げでした。
 でもね、でも、これだけ鮮やかに逃げを連発されると、私の財布の中身だけでなく、書くこともなくなるんです。映画にたとえるなら、まくりやまくり差しはハリウッド映画で差しは邦画、でもって逃げはフランス映画って感じでしょうか。視覚に強く訴えてくるまくり&まくり差しはとても描写しやすいパフォーマンスです。でも「逃げ」っていうのは、見た目には実に淡白で、そのかわり選手の内面で蠢くものが多いわけですよ。常に己との戦いなわけですから。そんな内面葛藤を、スタンドから観戦しただけで描写するなんて、私の筆力では到底不可能なんです~~!
 住之江の水神様、明日もインが強くて構いません。お金持ちの本命党が潤えば、それだけ売り上げにも直結することでしょう。でも、12レース中3本くらいは、5コースからの絞りまくりとか6コースからの針の穴を通すようなまくり差しとか、そんなスピルバーグなアクション・シーンを演出してくださいまし。明日の私に、「湯川浩司、4コーナーからチッチキチ~まくり炸裂!!」という見出しを書かせてくださいまし~~~!(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO、黒須田 TEXT/畠山)


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作間章、水神祭!

SANY0107  本日5R、作間章がSG初出場、しかも初出走で初勝利をあげました! おめでとうございます! SG初勝利といえば、もちろん水神祭。選手にとっては、実に嬉しい儀式なわけですが……今日はこの冬一番の冷え込み。さ、寒そう……。作間もJLCの勝利者インタビューで「運がいいんだか、悪いんだか……」と苦笑いしておりました。
 しかし、水神様は容赦しません。縁起物に寒いも暑いもないとばかりに、8Rを終えた作間を水面に招き寄せます。SANY0111 SG水神祭は、その選手がトップレーサーの仲間入りを果たしたことを祝福する一里塚。そこに到達したのですから、こんなにおめでたいことはない! ということで、作間もニッコニコで仲間の待つピットに現われたのでした。ま、苦笑いもかなり入ってましたけどね。

 水神祭に参加したのは、同県・石渡鉄兵を筆頭に村田修次、矢後剛、西村勝、平石和男の関東勢。さらに、同期の坪井康晴と赤岩善生も笑顔で加わります。お神輿を担ぐようにクイッと作間を仰向けに持ち上げた仲間たち、せーのっ、で水面にドッボーンッ! 作間は背面から思い切り水の中に突っ込んでいったのでありました。ちなみに、水温は3度でした。
SANY0113  犬かきで水面から這い上がった作間は、競技棟のほうに猛ダッシュ。さ、さ、さむーいっ! そのままお風呂にでも突入するのかと思いきや、タオルを取りにいっただけで、再びみんなのほうに戻ってきました。律儀であります。顔を拭きながらJLCのインタビューに応えると、取り囲んだ仲間と報道陣に向かって一礼。礼儀正しくもあります。私、5R終了直後、後半レースの準備に向かう作間に「おめでとうございます」と声をかけたのですが、彼はニコッと笑って「どうもありがとうございます」と、やはり折り目正しく頭を下げました。うーむ、好青年。ますます応援したくなったぞ。

 ともかく、作間選手、おめでとうございます。これを機に、ますますSGの顔となれるよう、頑張ってください!(TEXT&PHOTO=黒須田)


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シリーズ開幕、イン強し!~初日前半戦7Rまで終了~

2005_12_17_374  ついに開幕した住之江賞金王。今日初日はシリーズ戦がスタートし、12Rにはドリーム戦が行われる。今日はこの冬いちばんの冷え込みということだが、水面では熱いバトルが繰り広げられているぞ!

 オープニングカードとなる1Rは、室田泰史がSG2勝目となる逃げ切りで決着。この流れが続いているのか、2Rはインに入った瀬尾達也の逃げ切りなど4Rまで4連勝。さらに7Rでも地元の倉谷和信が逃げ切って計5勝だ。5Rの2号艇の作間章が水神祭となる差し、6Rで2号艇の西村勝のまくり差しも、2着はそれぞれイン。インの強さが際だっている前半といえるだろう。

 8Rからも1号艇は強力な選手が揃っている。さて、初日のキーワードは「イン」であり続けるのだろうか?(PHOTO・SHIGEYUKI NAKAO)


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「岡本さんが動いてきたら……?」by寺田~ドリーム戦インタビュー~

 賞金王戦士に巻き起こった熱気の余韻が残る中央ホール。さあ1Rだ!……の前に、初日の開会式前といえばこのイベント。引き続いて「ドリーム戦出場選手インタビュー」が行われるため、開会式のお客さんはそのまま待機。大声援をバックにシリーズ戦のドリーム戦士6名が再び登場いたしました。

1・今垣光太郎、2・坪井康晴、3・寺田祥、4・平尾崇典、5・林美憲、6・岡本慎治

 賞金順位13位~から選出された今回のドリーム戦。13位と惜しくも決定戦進出を逃した今垣光太郎が、決定戦選手のタキシード姿について「格好良かったですね」と答えて場内爆笑となったが、シリーズ優勝でも、来年のSG優先権が得られるだけに、今垣もステージ上の6選手も気合いは満点。準優進出へ向けて大きなドリーム戦、好レースは間違いないところだ。
 このイベントで毎回注目を集めるのは進入争い。動きそうなのは6号艇の岡本とみんな思っているだけに、突っ込まれたのは同県の寺田祥。「岡本さんが動いてきたら……譲ります(笑)」。おお! 5号艇の林美憲は「(新聞報道では6コース予想が多いですが……?)その通りでしょう」。やや! それに対して当の岡本は……「入れるところに」。ん、やっぱり3コースか!?

 注目のドリーム戦は場内16時25分締め切り!(PHOTO&TEXT・M記者)

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ややのんびりムード?――賞金王シリーズ、午前のピット

SANY0058  賞金王、開幕。快晴である。ピットの寒さは昨日と変わらないが、今日は突き抜けた爽快感が生まれている。キーンと張った空気も、なんだか心地よい。これが賞金王の昂ぶりなのか。賞金王シリーズとはいえ、高揚感はすでにある。

 とはいえ、ピットがどこかのんびりした顔に見えるのもまた、否めないことではある。今日はまだ、決定戦のメンバーがいない。すでに戦闘を開始した48名もいずれ劣らぬトップレーサーではあるが、本当の主役を迎える前のピットには、まだまだ冷静さもどっかと腰を降ろしている。もちろん、今日はまだ初日。どの選手も手応えを確かめる段階にある。本当の慌しさは、まだ先にあるということであろう。ともかく、肌をピリピリと凍えさせる寒さを無視すれば(できないけど)、なんだか落ち着くピットだったりするのである。

SANY0011  1Rが終わった直後くらいだろうか、今村豊がモーターの本体を外して、整備室に持ち込んだ。工具を使って、おもむろに調整を始めたのだ。現時点で、今村がモーターに感じた手応えとは、そういうものだということだろう。思えば、これまでのSGで、今村が整備室にこもるシーンというのは、あまり見かけられなかった光景である。昨日はペラ。今日はモーター。今村が、初っ端から精力的に動いているのだ。これの意味するところは果たして何か。昨日のモーター抽選における今村の変調(?)については畠山も書いているが、それがどんな意味を持つのかはともかく、今節の今村はいつもと違う。それだけは間違いのないことだ。その今村に、おぉ、蔭山会長が話しかけてます。今日もピットを訪れて、選手たちを激励した会長。寒いなか、ご苦労様です。
 なお、整備室で本体を調整していた選手は、他に吉川元浩、岡本慎治、そして整備室の主・今垣光太郎! 吉川は今垣以上に時間をかけて、じっくりモーターをいじっていた。

SANY0091  その今垣光太郎、整備に熱を入れているとはいうものの、切羽詰った感じは伝わってこない。つまりは、いつもの徹底調整、ということであって、大きな不安があるというわけではなさそうだ。一段落つくと、駆け足でモーターを運び、ボートに装着していた。ドリーム戦まではまだ時間はあるけれども、水面に出て正味の手応えを得ようという狙いだ。シリーズにおいては絶対的な主役の一人、その責任を果たせるだけの雰囲気は確かにある。
 あ、ちなみに左に写っているのは、歌手の山本譲二さんです。今垣も挨拶してました。めっちゃ渋かったっす。

SANY0025  非常にいい気合を感じたのは、秋山直之。いつもともに戦っている群馬の偉大なる先輩二人は、今日はまだ不在。その責任感なのか、それともノビノビしているのか(?)、これまでのSGピットで見る秋山とは、どこか違って見える。実は先日、別件で戸田競艇場を訪れた際、節の目玉として秋山が参戦していたのだが、一般戦ではさすがのオーラを感じさせていたものだった(優勝戦当日で、きっちり優勝)。そのときの雰囲気が、そのまま住之江に持ち込まれたように見える、今日の秋山。やはりタダモノではない、のだろう。決定戦は先輩二人に任せた、シリーズは俺に任せろ! そんな闘志を、秋山に期待したい。

SANY0049  2R、3号艇からインを奪取、見事に逃げ切った瀬尾達也が、やはりご機嫌でピットに戻ってきた。会心のレース、だろう。それより、目についたのは、瀬尾と話していた林美憲の笑顔である。今日はドリーム戦への出走だが、比較的穏やかに過ごしている午前中。余裕みたいなものも感じるし、すでにある程度の手応えを得たようにも見える。そのうえ、瀬尾とともに見せた明るい笑顔。いい空気に包まれているのだ。午後に入ってどう変わるかにもよるけれども、ドリーム戦、穴ならこの男か?

SANY0065  さて、気になる智也は決定戦出場、よってシリーズのほうは日替わりで気になる選手を探そうと思っているのだが……、ひとまず今日の午前中は市川哲也。昨日はやや苦しそうにも見えたのだが、今日は今村豊に話しかけて、いい笑顔を見せてました。モーターに好感触を得たのかどうかはさっぱりわからないが、市川、やっぱり笑顔が似合いますよね。(TEXT&PHOTO=黒須田守)


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前検一番時計は作間章!

2005_12_17_297  賞金王シリーズの前検が終わった。ドリーム組を含めて8班に分かれてスタート練習と試走が行われ、6秒60のトップ時計を弾き出したのはSG初参戦の作間章。82期の本栖チャンプとして早くから将来を嘱望されていたが、Fの多発などで伸び悩んでいた選手だ。
 作間が大器の片鱗を見せはじめたのは今年になってから。まずは1月の新鋭王座で優出3着、その後も順調にGⅠ路線を歩み、11月の児島周年では準優勝と波に乗ってこの住之江にやってきた。時計だけでなく、S練習でも起こしから一気に伸びた足は迫力満点。あまりに出すぎて3本とも豪快にFを切っていたが、スタート勘さえ掴めばSGデビュー戦での水神祭も十分に考えられる。明日の展示気配に注目してほしい。
2005_12_17_036  前検タイムの上位を列挙しておこう。
①作間 章 6・60
②湯川浩司 6・62
③岩崎正哉 6・63
④村田修次 6・64
④秋山直之 6・64
⑥服部幸男 6・66
⑥柏野幸二 6・66
⑥池田浩二 6・66
 チッチキチ~湯川はモーター抽選の記事でも書いたとおり、前節のVモーター。その勢いどおりの力強い出足&伸びを披露しており、初日から狙ってみたい。秋山、池田の握り屋もこの伸びなら初日からGOサインか。
 さらなる注目はここ数年精彩を欠く服部で、軒並み時計がかかった前検前半でのこのタイムは出色。競艇場入り~抽選会でも目をギラギラさせ、ただならぬオーラを放っていた(ま、いつものことなんだけどさ~)。あの黄金のヘルメットを冠した住之江で、復活の狼煙をあげる時が来たようだ。
2005_12_17_329  それからスタート練習で目に付いたのは市川哲也。さすがというべきか、03、00、02と3本ともミクロスリットでまとめていた。伸びは6・78とイマイチだが、このスタート勘があればスリット一撃でケリを付けられる。初日のSは誰もが慎重になるだけに、ピンピン発進なんてことも……?
 一方、ワースト3はというと
①吉岡政浩 6・87
②石渡鉄兵 6・86
③鳥飼 眞 6・80
 芦屋チャレカで遅咲きの水神祭を果たした吉岡だが、今シリーズは苦労するかも。石渡もかなり苦しそうな足色で、スタートで置き去りにされていた。明日は1号艇と6号艇の2回乗りという重要な初陣。早急な整備が必要だろう。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO、TEXT/畠山)

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寒風を切り裂け!――賞金王シリーズ、前検のピット

2005_12_17_342  寒い。ひたすら寒い。ピットの中は寒風が駆け抜けて、肌を突き刺す。寒い。
 目一杯に着込んで、身体を縮ませている僕でさえ相当に寒いのに、選手はもっともっと寒そうだ。前検だから、ピット内をダッシュしている選手が多いのはいつものことだけれども、今日ばかりは寒さをしのぐための駆け足のようにも見える。係留所でモーターの回転を確かめながらも、震える選手たち。西村勝が、目の部分だけ穴の開いた帽子をすっぽりとかぶっていたが、そうでもしなければ震えが止まりそうもない、そんな寒さであった。
 12月。住之江。寒さに負けず、頑張れ選手たち!(→室田泰史も口元をガードして寒さをしのぐ)

2005_12_17_300  たとえ12名からこぼれ落ちて、不本意なシリーズ回りになったとしても、やっぱり手を抜くことはありえない。そう、今垣光太郎だ。ほとんどの選手がモーターを装着してボートを水面に下ろし、試運転や回転チェックなど思い思いの調整を施しているとき、今垣は整備室で一人、モーターを入念にチェックしていた。丁寧に丁寧に、絶対に妥協などすることなく、まるでわが子をいとおしむかのように、モーターを“愛撫”する今垣。その姿は崇高ですらあった。「乗艇準備」のアナウンスがかかって、大急ぎで装着に駆け出した今垣。その動きにあわせて、待ち構えていたカメラマンがズドーッと取り囲む。あまりの囲まれぶりに、さすがの今垣もちょっと苦笑いを見せた。
 ドリーム出場選手会見では、割と明るかった今垣。ハキハキと質問に応えていたが、チャレンジカップでの勝負駆けが失敗に終わったことについて、その精神状態を問われたとき、表情がふっと緩んだ。2005_12_17_324 「ようやく、切り替えができてきた感じですね」。まるで、溜まりに溜まったオリのようなものをやっと吐き出せた、といった様子で、そう言ったのだ。チャレカの最終日、どことなく冴えない顔つきが気にはなっていたが、やはり今垣は深く深く傷つき、自分を責めていたのだ。だが、今は苦悩から解放された今垣がそこにいる。今節は、とてつもなく強い今垣光太郎が見られるのではないか。そんな気がした。

2005_12_17_350  ペラ調整室から、カーンカーンという音が響いてきた。覗き込んでみるとそこにいたのは、今村豊。かなり力強く小槌を振るって、ペラを叩いていた。中国地区の選手が前検を終えて引き上げてくると、ボート揚降所までダッシュ! 片付けを手伝うと、今度はペラ調整室にダッシュ! この往復を繰り返していた。自身のスタート練習&展示が終われば、あとは試運転の時間はない。つまり、ここで叩いた成果を確かめる術は、今日のところはない。それでも、何らかの道筋が見えた、ということだろうか。ほとんど人っ気のないペラ室で、一心不乱にペラを叩き続ける今村。明日の走りに注目してみたい。
2005_12_17_403  今日、ペラ室で見かけた面々は、ほかに服部幸男、新美恵一など。服部も、今村と同じような動きをしていて、ペラ室にいる時間が長かった。私事だが、僕が初めてライブで観戦した賞金王が、服部が優勝した1997年。6コースから超絶マクリ差しで突き抜けた服部に、心の底から震えた。あの記憶を、今年の住之江で、舞台こそ違うけれども再現してほしい。こっそりと、そんなことを願っているのだ。

2005_12_17_287  個人的な思い入れをもうひとつ。8年前に、別冊宝島『競艇ツケマイ読本』を制作したとき、本栖研修所の取材をしている。そのとき、訓練生の居室にお邪魔したのだが、82期生の部屋にいたのが、作間章だった。卒業記念競走を優勝して本栖チャンプに輝き、その後もひそかに注目していたのだが、ついにSG初出場! たくましくなったであろう作間に会うのを楽しみにしていたのである。
 とはいえ、初めてのSGへのプレッシャーもあるのではないか。もしかしたら緊張し、萎縮してしまったりするのではないか、そんな心配もしていたのだが……杞憂でした。作間、実に堂々とピット内を闊歩している。関東地区では秋山直之の次に登番が若い作間だから、いそいそと走り回り、若手の仕事をこなしてはいる。しかし、その様子に少しも気後れしたところは感じない。記者に囲まれても、パリッと胸を張って質問に応えているのだ。記者席に帰ってきて資料をチェックすると、おぉ、前検一番時計だ。よし、初日からこっそり応援するぞ!

2005_12_17_348  表情がいまひとつに見えたのが、市川哲也。いや、今回に限ったことではない。今年、僕が見てきた市川は、いつも苦しそうにしていたような気がする。納得できる足色で戦ったことが一度もなかったのではないか、そんなふうにも思う。そして、今日も市川からは、明るい光を感じることができない。市川の曇り顔を見るのは、ちょっと寂しい。
 スタート練習と展示を終えると、整備室に長くこもった市川。整備士さんと相談しながら、必死に調整を施しているようだった。周りの選手たちがどんどんと格納していくなか、市川はモーターと格闘する。これが良い結果につながればいいのだが……。まずは明日、その走りと表情に注目してみたい。
2005_12_17_435  逆に余裕がうかがえたように思えたのは、吉川元浩、岡本慎治、原田幸哉、中村有裕、安田政彦など。まあ、安田の場合は、いつもの「いい味」の可能性もあるけれども。

 なお、今日は冷え込みがきつかったせいか、「回りすぎ」と証言する選手が多かった。ドリーム戦会見でもほとんどの選手がそう言っていたし、だからだろう、「(班で)出て行く選手もいなかったし、自分も下がらなかった」というコメントが相次いだ。今日のところは、深い部分までの手応えはつかめていない選手ばかりと言っていいだろう。勝負は明日。おそらく、みな調整に忙殺される一日になるはずである。明日の闘いは見逃せないぞ。暮れの住之江スーパーバトルは、決定戦だけではないのだ!(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO TEXT/黒須田守)


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特注モーターはチッチキチ~湯川の79号機だ!

2005_12_17_005  昼過ぎ、賞金王シリーズのモーター抽選会が行われた。選手代表が浪花のひょうきん者・倉谷とあって、場内は終始のんびりムード。倉谷と信一郎の地元勢がボケとツッコミをかますたびに笑いが起きる。さらに、40~50%級の上位モーターは決定戦組12人のために温存されているせいか、「ま、どれでもいいかな」といった雰囲気が漂っていた。
 ただ、賞金王シリーズは参加選手にとって「いちばん優勝を狙いやすいSG」でもある。賞金こそ安いが、ひとたび優勝すれば向こう1年のSG参戦が約束されるのだから、内心では期するものも大きいはず。
「予選5回乗りで1号艇が当たらない選手が5人いるそうです」
2005_12_17_035  倉谷が言うと、のんびり顔の選手たちが一瞬だけ真顔になって倉谷を見つめる。予選で1号艇があるとなしとでは大違いだ。そのあたりの機微を熟知している倉谷はこと細かな質問を施行者サイドに繰り出し、その回答を大声で選手たちに伝える。
「でも、1号艇がないかわりに6号艇も当たりません」
「23456という枠にはならず、2、3、4号艇あたりがだぶるということです」
 安堵の表情を見せる選手たち。やはり、SGはSGだ。
 低調~中堅モーターだけの抽選会がはじまった。ドリーム1号艇、つまり賞金王決定戦の次点だった今垣からガラポンを回す。「常に賞金王を目指しています」と公言している今垣だけに、前検日のガラポンは無念の抽選なのかもしれない。が、何度も書いてきたが、GⅠはおろか一般戦でも手抜きなどしないのがこの男。75と書かれた玉が落ちると(複勝率28%)、すぐに新聞記者の元に歩み寄ってモーター成績表を覗き込んでいた。
 さて、どんぐりの背比べでパワー評価の難しいこのシリーズ、重要なのは複勝率よりも上昇度だと思う。俺のイチ押しモーターは79号機だ。前節で森脇徹を擁し、優勝をかっさらった赤丸上昇パワーが魅力。しかも、その節間成績は3211111①と怒涛の6連勝で締めくくっているあたり、大整備の必要もないだろう。
 で、その79号機を引き当てたのが、地元のホープ・湯川浩司なのである。芦屋チャレカの勝利者インタビューでは「明日からも、チッチキチ~~や!!」で茶の間のファンを爆笑させた湯川。地元の水面&隠れエース機?で、優勝戦までチッチキチ~のオタケビを聞けるかもしれませんぞ。
2005_12_17_032  他でパワーアップが期待できるモーターを推挙すると
73号機(前回準優勝)…池田浩二
29号機(前回優勝戦3着)…森竜也
63号機(前回優勝戦4着)…村田修次
あたりか。まあ、1節間だけの成績で過信はできないが、とりあえず前検の気配からマークしてみたいと思う。
 最後に、ちょっと気になったのが今村豊だ。賑やかな会場の中で、ひとりポツネンと体育座りでウツロな瞳とともにぼんやり前方を見ていた。いつもは軽口で周囲を笑わせる男が、今日は気の抜けたサイダーのようだった。毎年のようにベスト12位入りしている今村にとって、このシリーズは不本意なはず。そんな忸怩たる思いの表れなのだろうか。それとも体調が……? ちょっと心配になるような佇みかたではあったな。ちなみに今村の21号機の複勝率は29%なのだが、パワー不問の元祖全速ターンで大暴れしてほしい。頑張れ、オッサンの星!(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO、TEXT/畠山)

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賞金王シリーズ、選手到着!

NU2R0008 暮れの大一番が始まった! 凍えるような寒風の中、まずは賞金王シリーズ出場選手たちが、続々と住之江競艇場にやって来た。ファンの方々も、震えながらも、顔をほころばせて通用門に集結。到着した選手たちに声援を飛ばして、さあ、SGが開幕だ! ちなみに、我々が取材準備を終えて通用門に駆けつけてからの一番乗りは、村田修次でした。以後、矢後剛、石渡鉄兵、作間章の東京勢が続々と!

NU2R0160 ひときわ人垣が膨れ上がるのは、やはり地元・大阪勢。丸岡正典が登場した瞬間、女性ファンが一気にサイン攻め&写真攻めだ。端から見ていると、完全に超モテモテの図。「丸岡くぅん、寒いけど頑張ってぇ」の声に、丸岡もニッコリだ。その横では、湯川浩司がファンと一緒に「チッチキチ~」。チャレンジカップで完全に全国区になったお笑いパフォーマンスが、早くも爆発していた。そこに、つかつかと忍び寄ったのが長嶺豊さん。耳元に顔を寄せて、内緒話……かと思いきや、いきなりでっかい声で「おめでとっ!」。先のGⅠ初制覇を、浪速の大先輩が祝福だ。さらに、倉谷和信が、家族のお見送りつきで登場。すると、倉谷の娘さんが「浩ちゃ~ん!」。ひとしきりじゃれ合ったあと、「頑張ってね~」と激励する娘さんに、浩ちゃ……もとい、湯川も「バイバ~イ」と優しい笑顔で手を振った。旋風を巻き起こすのは、やはり地元勢、頑張れ!

NU2R0062 にこやかに現われたのは、徳島勢。瀬尾達也、林美憲、田村隆信だ。瀬尾は、最ベテランの風格あふれる余裕の表情。それにしても、いつ見ても最ベテランなんてことを忘れるほど、若々しい瀬尾です。昨年は決定戦に出ていた田村は、やはり内心、期するものがあるはず。鬱憤を晴らすべく、強烈な走りを見せるに違いない。林もまた、賞金ランクで好位置につけながら、チャレンジカップはF休み。ラストチャレンジを棒に振ってしまった借りは、ここで返したいところだ。NU2R0054 爽やかな笑顔をファンに振り撒いていると、たまたま並んで歩くことになったのが深川真二。深川は、我々取材班に「おはようございますっ!」と小気味よい挨拶をすると、林と談笑しながら競技棟へと歩いていった。みんな頑張れ!

NU2R0122 いつものSG同様、同県の選手同士は連れ立ってやって来ることが多い。広島勢の市川哲也、吉岡政浩が一緒のタクシーで登場すると、立て続けに白水勝也、岩崎正哉、そして鳥飼眞の福岡勢も到着した。「博多の悪」こと鳥飼は、とにかくカッコいい! ファンには笑顔で対応しながらも、競技棟へと向かうときにはキリリリッとした表情に。決定戦には二名送り込んだ福岡勢だが、シリーズは俺に任せろ!の気合が、鳥飼には早くも感じられる。頑張れっ!

NU2R0152 どわわわっと人垣が2つできたと思ったら、やはり! 今垣光太郎と今村豊だ。さすがの人気です。本来なら決定戦に出ているべき、とも言える二人だけに、忸怩たるものはあるはずだが、だからこそシリーズのほうを牽引する二人とも言える。今村は、チャレンジカップ不在だっただけに、その姿を見ると「SG到来!」感をひしひしと感じさせてくれますね。とにかく、スーパースターらしい鮮やかなレースを二人には期待しています。頑張れ!

カッチョいい外車が通用門をつつつっと通っていった。助手席には、吉川元浩が。男っぽい顔つきである。すると、運転席から「頑張って」と声をかける男が……おおっ、鎌田義選手! NU2R0185 残念ながら住之江の舞台には立てないが、仲間への激励を兼ねて、吉川を競艇場まで送ってきたわけだ。吉川も思わずニッコリ。おおっ、渋い笑顔だ。と、別部隊で競艇場にやって来た同県の向所浩二が、鎌田を見つけて「お・は・よっ!」とやっぱりニッコリ。兵庫勢にとっては準地元の大一番。大阪勢に負けない活躍を期待してます。ちなみに、その頃、やはり同県・安田政彦は、別の場所でファンに囲まれて、いい味を出しまくりでした。頑張れーっ!

NU2R0212 思わず引き込まれそうになるほど、強い目力は服部幸男! 坪井康晴、徳増秀樹ら静岡勢を引き連れて、クールに現われた。静岡勢といえば、決定戦に菊地孝平と笠原亮の若手二人を送り込んでいる。決定戦初出場の若者にとって、精神的支柱になるのが、服部幸男に違いない。図抜けた貫禄を示す服部は、もう、ただただ魅力的。やっぱり雰囲気あるなあ……。久々のSG制覇が見たいぞ。頑張れ!(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO TEXT/黒須田守)


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