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この特集では田中工業「黒須田守」をはじめとした5名のライターから競艇にまつわるさまざまなレポートをお届けします。
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優勝戦回顧

2006_0321__007① 湯川 浩司(大阪)
② 横西 奏恵(徳島)
③ 濱野谷憲吾(東京)
④ 中澤 和志(宮城)
⑤ 瓜生 正義(福岡)
⑥ 菊地 孝平(静岡)

 

 第41回総理大臣杯決勝戦。進入は〝平和島らしい〟3対3の枠なりになった。
 外の3艇が絶好のスタートを切る。反面、内の3艇はヘコんでいる。それほど深い起こしではなかったというのに。
2006_0321__023  今日は、少々スタートが遅れても、インが逃げ切るレースが目立っていたが、さすがにこれだけの差があるとアウト勢が有利になる。
 1号艇・湯川浩司はスタートを悔いているだろう。
 素性のいい49号機と、安定したスタートを武器に、彼は今シリーズを引っ張ってきた。初日はコンマ13と10のスタート、嵐の2日目は08、3日目11と07、4日目18、そして準優でも07のトップスタートを決めた。昨年の最多勝男は、間違いなくもっとも優勝に近い位置にいた。それなのに、一番大事なレースでコンマ30のスタート……。これがSGのプレッシャーなのか。
 湯川の総理大臣杯は、スリットで終わった。

 

2006_0321__093  2号艇・横西奏恵。これだけ注目を浴びたのは人生初だろう。女子レーサー初のSG制覇というドラマにむけて、横西は水面に出た。しかし、そこにはSGの荒波が待ち受けていた。
 1周1マークで引き波にハマる。2マークでは湯川と接触してハジかれる。そして次は振り込む。最初は3番手争いをしていたというのに、どんどんポジションを落としていく。結局、6番目のゴールとなった。
 横西の総理大臣杯は、厳しさを味わって終わった。

 

 2006_0321__090                                                                3号艇・濱野谷憲吾は、出ないエンジンに連日苦しんでいた。それは優勝戦がおこなわれる今日も同じだった。限られた時間で整備をおこない、何回も水面に出て試走をしていた。勝てるエンジンに仕上げるために。
 それでも足合わせでは、横西や、準優敗退の坪井、予選敗退の太田に負けていた。結局、どうすることもできなかったのだろう。スタートで遅れたこともあって、優勝争いに絡むことなく、4着に敗退した。
 ただ、悪天候と不調のエンジンながらも、ドリーム組から唯一、優勝戦に駒を進めたのは立派の一言だろう。濱野谷の総理大臣杯は、貫禄をみせて終わった。

 6号艇・菊地孝平は、いきなりエンジンが化けた。4日目までパワー不足で苦しんできたが、準優では見違える足に変った。「あまりにもエンジンが出ないので、逆方向の整備をしたら正解が出た」らしい。さすがに6コーススタートのハンデを覆すまでの足にはならなかったが、激しい争いを制して3着に入賞した。
 菊地の総理大臣杯は、整備を考える上でのいい経験を得て終わった。

2006_0321__056  5号艇・瓜生正義は、内3艇に有無を言わせぬ豪快まくりをブッ放した中澤に、1マークでついていった。バック水面では2番手の位置に出るが、伸びは中澤の方が上。ならば逆転するチャンスは2マークしかない。
 優出メンバーのなかで、午前中の早い時間からペラを叩いていたのが瓜生だった。03年の賞金王決定戦2着、05年も賞金王決定戦に出場したが、SGの優勝経験はまだない。
 初優出メンバーが3人もいる優勝戦は、瓜生にとって絶好のチャンスだ。逆転を信じて、2マークで差しのハンドルを入れた。かなりイイ角度だ。もし中澤がちょっとでも流れてくれれば、届く可能性もある。しかし中澤はしっかりとサイドがかかったターンを決めた。 瓜生の総理大臣杯は、1周2マークで終わった。

 2006_0321__100                                                      4号艇・中澤和志は、プレッシャーにも負けず、4カドからトップスタートを決めた。スリットでは、内3艇に半艇身以上の差をつけ、エンジンはさらに加速していく。
 1マーク手前では、完全にまくり切れる体勢を作った。そして他艇を寄せ付けず、一気に突き抜けた。
 まくりには〝豪快〟という言葉がよく似合うのだが、私には中澤のまくりが〝冷静〟なまくりにみえた。それは、非の打ちどころがない、お手本になるようなまくりだった。

 

 風の恩恵を受けた選手、風に泣いた選手、悲喜こもごもの選手模様があった。
 中澤のウイニングランが終わり、観客がゾロゾロと引き上げているとき、なぜか風がピタリと止んだ。水面は鏡のようになり、対岸のビルがくっきりと写っていた。6日間、ずっとはためいていた旗を、職員の方が格納している。
 嵐の総理大臣杯が、終わった。

(PHOTO/中尾茂幸  TEXT/姫園淀仁)


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静かなる勝利――優勝戦、後半のピット

P3210024  ウイニングラン用のボートに乗った中澤和志が戻ってきたとき、選手の出迎えはほとんどなく、報道陣がフラッシュを浴びせることもなかったのだから、少しばかり異様な光景だったと言っていいだろう。中澤の様子をずっと追いかけ続けていた筆者は、引き上げてくる中澤の顔をひと目見たいと思ってその場にいたが、報道陣のほとんどは、横西奏恵をはじめ、湯川浩司や濱野谷憲吾を取り囲んでいたのだ。
 もちろん、だからといって、中澤の勝利が祝福されなかったわけではない。レース用のボートからウイニングラン用のボートに慌しく乗り換える際には、数人の選手から祝福の声をかけられていたし、ウイニングラン用のボートで引き上げてきてしばらくすると、坪井康晴がダッシュで駆けつけてきて、中澤と抱き合った。そのすぐあとには、菊地孝平も駆けつけて、やはり互いの肩を抱き合っている。
 表彰式があるため、中澤はバタバタと着替えて会場に向かったが、そのあいだにも何人かの選手が「おめでとう」と声をかけていた。そのたび中澤は、両手で握手を交わして、深々と頭を下げていたのも印象的だ。
 そのときの中澤の表情は、呆然としているのにも近かった。興奮のため、頭が混乱していたのかもしれないが、喜びを爆発させるようなことは、まるでなかったのだ。
 その後、表彰式に登場しても、その表情はそれほど変わっていなかった。SGを勝利したばかりとはとても思えない表情で、インタビューを受けても、相変わらず口数は少なかった。そんな姿がまた中澤らしく、見ているこちらも嬉しくなってきた。

IMG_7435  午前中のピットでいつものように作業をしていた中澤を見ていたときは、正直いって、その表情の硬さから、「これは厳しいかな」とも思われたものだ。だが、レースが近づいていくにつれて、中澤の表情には落ち着きが出てきた。
 それに気づいたのは、本当にレース直前になってからのことだ。午後には、ピットの片隅で競艇雑誌かなにかの本を見ていた姿も見かけられたが、そのときにはまだ表情は硬かった。それが、レース前に出走選手控室に向かう中澤を見て、驚かされた。完全に重圧を振り切れたように、その表情は一転して晴れやかなものになっていたのだ。
 レース前、横西などは、考えられないくらい早い時間から出走選手控室に入っていた。それは、もしかしたらSG優勝戦の重圧に耐え切れなくなり、独りになりたかったからなのかもしれない。
 そうだとすれば、最後に出走選手控室に入った中澤は、逆だったのだろう。朝からずっと思いつめたような顔をしていながらも、レースを迎えるまでに、何かの答えを見つけたのに違いない。心理面が、結果のすべてを左右するわけではないが、この表情になれたからこそ、中澤は勝てたのだという気がしてならない。
 中澤に対しては、心から「おめでとう」と言いたい。

IMG_7683 敗れた選手たちの表情は、5人それぞれに複雑だった。
 レース後、最も多くのカメラマンに取り囲まれていたのは、おそらく横西だっただろう。
 その表情をひと言で表現するなら、憔悴になるはずだ。SGの大舞台が無事に終えられたことにホッとした表情を浮かべても良さそうなものだが、そうしたことはまるでなかった。闘いを終えたばかりで、まだ気持ちの整理がつかない感じもしたが、こみ上げてくる悔しさを堪えているような暗い瞳をしていた。
 だが、横西の場合は、それでいいはずだ。レースを終えたあと、ホッとしているようでは、次はない。そうではなかったからこそ、次に期待したくなるというものだ。
 女子選手のSG優出が簡単なことでないのは間違いないが、横西にはもう一度、この舞台に駆け上がってきてほしい。

IMG_7646 レース後、誰よりサバサバした表情を見せていたのが濱野谷だ。記者たちに囲まれると、「ここ一番で出ちゃったね、俺のスタートが」と笑っていたが、その笑顔は無理に作っているようなものとは見えなかった。すぐ傍にいた見た筆者にしても、「濱野谷は、この結果に納得してるんだな」と素直に受け止められた。
 だが、このブログ「NIFTY競艇」のメインスタッフである黒須田に聞くと、それは違った。濱野谷は確かに、報道陣の前では、自然に笑っているように見えていたが、報道陣が離れていって一人になると、途端に眉間に皺を寄せていたそうなのだ。
 そういう話を聞くと、こちらも嬉しくなってくる。それもまた、プロというものである。

IMG_7609  レース後、その顔を見ていると、こちらまでがつらくなってきたのは湯川だ。ボートの引き上げに来てくれていた同期の森高一真と井口佳典に対しては、申し訳なさそうに謝っているようだった。
 実を言うと、優勝戦前、ウイニングラン用のボートの船着場には、早くから森高と井口の姿が見られていた。湯川の同期である彼らは、その勝利を信じて疑わなかったのだろう。中澤の勝利が決定的になった頃には、湯川の気持ちとシンクロしているように、肩を落として湯川を迎えに行った。湯川が、森高と井口に何を言ったかまでは聞こえてこなかったが、そんな期待を感じていたからこそ、お互いに言葉に詰まっているようにも見えたものだ。
 そして、ヘルメットを取った湯川は、近くにいた横西に、まず「ごめんなさい」と謝った(おそらく2マークの攻防のことだろう)。そのときにはやはり、横西同様、気持ちの整理がついていないような顔をしていたが、その後もしばらくは無表情に近い顔をしていた。悔しさを全面に出していたわけではなかったからこそ、その気持ちが察せられたのだ。
 SG初優出、初Vは、やはり簡単なことではない。前日や朝にはリラックスできているようにも見えても、その重圧はひしひしとのしかかってくるのに違いない。この悔しさを知った湯川には、次の挑戦に期待したい。

IMG_7597  まったく悔しさがないはずがないが、サバサバした様子だったのは菊地だ。中澤が戻ってきたとき、すぐにそれに気が付き、祝福の声をかけていたように、外から見る限りでは、レース後すぐに、いつもの自分を取り戻せていたようだった。
 いや、菊地の場合は、自分を取り戻すも何も、最初から自分を見失うことなんてないのかもしれない。
 レース前、ボートへ向かうときにも、アキレス腱を伸ばしているのかスキップをしているのかもわからぬように歩いていたが、このときから菊地は、黙々と前を歩いていく他の5選手とは別次元にいるようだったのだ。
 中澤と抱擁したときの表情を見ていても、その笑顔には嘘はなかった。見ていて、本当に気持ちがいい男である。

IMG_7649  瓜生正義に関しては、レース後には遠目で何度か見かけただけだったので、ハッキリしたことは書けないが、レース前とそれほど表情は変わってないようだった。だが、濱野谷がそうだったし、菊地にしてもそうなのだろうが、噛みしめるものが何もないなんてことはありえない。

 優勝戦のことからは話が逸れてしまうが、そのことを改めて教えてくれたのが今垣光太郎だ。
 昨日の準優勝戦で3着に敗れたあと、結果に納得した表情をして、ボートの引き上げを手伝ってくれた選手たちに礼を言って回っていたが、それが済んだ直後には、唇を噛みしめている姿が見られた。
 そして今日の9R前、閑散としたピットで今垣ただ一人がボートの整備をしていたとき、解説者の中道善博氏が声をかけると、「相当、悔しかったですよお」とハッキリと口にしていた。その口調は淡々としたものだったが、中道氏が合いの手を入れるまでもなく、自分から準優勝戦のレース展開までを詳細に話していた様子からは、今垣の悔しさはひしひしと伝わってきたものだ。
 今垣もまた、プロ中のプロである。昨日の準優勝戦のあとにも、独りきりの整備室でモーターをいたわるようにしていたが、その姿や今日の9R前のピットでボートを整備していた姿は、単純なビジュアル的な意味ではなく、美しかった。
 こんなプロの職人たちが、これからも闘いは続けてくれるのだ。今年のSG戦線は、今、始まったばかりである。(PHOTO/山田愼二、内池久貴=中澤一枚目&今垣 TEXT/内池久貴)

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水神祭スペシャル! おめでとう、中澤和志!

 今節は、中辻崇人、別府昌樹、吉川昭男と、3つの水神祭が行なわれたわけですが、最後の最後で、超ビッグな水神祭が行なわれました。もちろん、SG初優勝の水神祭。中澤和志、おめでとう! 総理大臣杯を制した中澤が、夕暮れの平和島でドッボーーーーン!とイッちゃったのです。

IMG_7691  表彰式を終えて、イベント広場から救助艇に乗って帰ってきた中澤は、すぐさまピット内の記者席で共同会見に走ります。すると、控室から現われる関東勢。長岡茂一、矢後剛、田中豪、中野次郎、おっと、さらには優勝戦をともに戦った濱野谷憲吾も姿が見えます。もちろん、同支部の仲間である埼玉勢、池上裕次と後藤浩も登場であります。池上は、なぜか一人だけジャージ姿(他の選手は、帰郷準備を終えて、スーツ姿でした)。そして、なんだか妙に陽気です。一人だけジャージとは、もしや自分も一緒に飛び込むつもりでは……なんて声も聞こえてくるほど、ウキウキした様子で中澤を待っていました。さらに池上は、カメラマンさんの要望に応えて、中澤を投げ込む場所を打ち合わせ。ボート揚降機のいちばん端に決定したのですが、試しにファインダーを覗き込むカメラマンさんたちに「とりあえず、俺が飛び込んでみようか」などと冗談を飛ばして、大笑いです。ま、まさか、やっぱり自分も中澤とともに飛び込むのか……。

IMG_0897  池上がそんな調子ではしゃいでいると、共同会見が終えた中澤は、今度はJLCの番組収録にダッシュ! 展示控室に設けられた急設スタジオで、インタビューを受けています。すると……それを覗き込む池上の姿が! な、何をたくらんでいるのか……。合流した後藤浩とともに、表彰式で中澤が高々と掲げたボードを二人して手にしているのですが……。
 池上&後藤、番組に乱入! ボードを持ってスタジオに飛び込むと、「やった、やったーっ!」とニッコニコで中澤の頭をなでなで。って、自分が優勝したかのような歓びようです。まったくもう、池上さんったら! 優勝した張本人の中澤がわりと淡々としているだけに、ついつい目が行ってしまう池上のはしゃぎっぷり。いやあ、池上裕次、最高です! 池上信者の松本記者も、そんな池上を眺めながら、失禁しそうになってました。

IMG_7698  さあ、いよいよ本番の水神祭! 池上に導かれた中澤は、ボート揚降機の前で立ち止まって、照れ臭そうな笑みを浮かべて一礼。拍手で迎えた関東勢や報道陣の顔を見回して、さらにニッコリと相好を崩して、仲間の輪に入っていきました。SG初優勝、最高にめでたい水神祭のスタイルは……ウルトラマン・スタイル! うつ伏せの体勢で持ち上げられ、ウルトラマンが空を飛んでいるような格好で投げ込まれるものです。もちろん、音頭をとっていたのは、池上裕次です。
 高々と担ぎ上げられた中澤を、せーの、でドッボーーーーーーーーンッ! すでに薄暗くなり始めていた平和島の水面に、頭から真ッ逆さまの状態で、吸い込まれていった中澤でした。中澤が水面から顔を出すと、一斉に大拍手! おめでとう! やっぱり照れ臭そうな笑みを浮かべた中澤は、ズブ濡れのまま、集まった人々に頭を下げるのでした。すでに冷気が漂い始めていたピット、しかし中澤は寒さなどまるで感じないかのように、ニコニコと微笑んでおりました。

IMG_7703  中澤和志よ、おめでとうございます! SGウィナーの仲間入りを果たした今日が、ゴールではありません。艇界のエースを目指し、さらなる激走を楽しみにしています。そして何より、戸田の新エースとして(出身は宮城ですが)迎える次のSG、笹川賞でも、今節に負けない活躍を期待します! あ、あと、池上選手、大変お疲れ様でした!(PHOTO/山田愼二 TEXT/黒須田守)


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1号艇6勝で賞典レースへ!――最終日一般戦終了

 春の嵐によって翻弄された総理杯もいよいよ最終日。5m前後の緩やかな風(?)のなかレースは進行し、ただいま一般戦の8Rまで終了。いよいよ優勝戦を頂点とする賞典レースに入ります。

DSC00359  SGらしくインが強いのか、それとも平和島らしくインが弱いのか――。毎日がそのせめぎ合いの総理杯だったが、最終日の一般戦は1号艇の選手がなんと6勝(1Rから6連勝)。イン逃げ自体は5なのだが、4Rの1号艇・服部幸男は、上瀧和則の前付けによって2コースから、見事な差し抜け。1号艇で飛んでしまったのは7R森竜也、続く8R太田和美だけ。最後の最後で流れが変わりそうな1号艇の連敗が出たが、トータルでは白のカポックばかりが1着でゴールを駆け抜けたのだった。

 優勝戦、白のカポックは湯川浩司! この流れを活かせるのか、はたまた外勢が意地を見せるのか。
 さあ、まずはピースター選抜、間もなくピットアウト!(M)


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それぞれの表情――優勝戦、前半のピット

IMG_7362  優勝戦の日はいつものことだが、やはり午前中のピットに動きは見られない。整備などをしている選手は少なく、レース後にボートを引き上げるとき以外は、ピットは閑散としているのだ。
 1R前、ペラ小屋にいたのは瓜生正義と平尾崇典の二人だけだった。エース機を引きながら、優出を果たせなかった平尾は、昨日のレース後、無念の表情を見せていたものの、気持ちを切り替えることはできたのだろう。昨日まで整備に精力的な様子が見られていたが、その姿勢は今日になっても変わっていない。
 優勝戦メンバーのなかでは唯一人、早くからペラ調整をしていたのが瓜生だ。瓜生の場合、笑顔などを見せていても、その精神状態はなかなか読み取りづらい。ある意味、ポーカーフェイスといえなくもないのだ。だが、その雰囲気からすれば、少しずつ勝利への執着心を滲ませてきているといえるかもしれない。

IMG_7247  1R後のボート引き上げの際、「ハイハ~イ」と明るい声が聞こえてきたので、そらち見てみると、その声の主は菊地孝平だった。こちらも相変わらずといえば相変わらずなのだが、とにかくピットでの様子は飄々としている。
 心の内に秘めているものがないはずはない。それでも、その姿を見ている限りは、緊張感とは無縁の男なのではないかと思えるほどだ。

IMG_7353  昨日のレース後には、ペラ調整のほか、モーターに手を加える可能性も示唆していた濱野谷憲吾は、午前中の早い時間に関しては、整備に手を付けていなかった。
 笑顔でインタビューに答えたり、水面際で2Rを見ている姿などが見かけられたが、前日までのプレッシャーが解けたように自然体になっているのがひと目でわかった。優勝戦メンバーのなかで前日から表情がいちばん変わっているのは濱野谷だろう。この変化はプラスに作用するのではないかと思われる。

IMG_0021  濱野谷同様、朝から報道陣のインタビューなどを受けていた横西奏恵は、取材中はいい顔をして答えていたものの、一人になったときなどには厳しい顔をしているところが見かけられた。優出決定から一晩を越したことで、徐々にプレッシャーが出てきたのかもしれない。だが、これは、女子王座の時も同じことだった。優出が決定した直後や優勝戦の朝まではリラックスしていながらも、レースが近づくにつれて、表情を硬くしていったのだ。それでも、見事に結果は出しているのだから、大きな心配はないだろう。
 また、同期の原田幸哉が要所要所で声をかけて、横西の笑みを引き出していたのも心強い。同期の絆というものは、やはり強いものだ。この総理大臣杯における原田は、紅一点・横西の好パートナーになっている。

IMG_7258   同様に、同期に声を掛けられて表情を和ましたのは、湯川浩司だ。その相手は井口佳典だったが、湯川の場合は、もとから心配はいらなかったかもしれない。
 報道陣の取材を受けるときにはリラックスした笑みを浮かべて受け答えをしている一方で、水面際でレースを見つめているときなどの視線は鋭かった。
 3R前頃から整備を始めていたが、1号艇のプレッシャーに押しつぶされるような気配は見られなかった。

IMG_7318  決戦の朝になっても、これまでの姿勢を少しも崩していないのは中澤和志だ。朝一番からボートと向かい合い、最後の整備に取り組んでいた。
 だが、気がかりは、その表情が、昨日までに比べると、かなり硬くなっていることだ。多くのカメラマンが取り囲んでいたか らかもしれないが、この変化はやや心配である。
(PHOTO/山田愼二 TEXT/内池久貴)


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「よく眠れました」by奏恵――優出選手インタビュー

 春分の日という祝日らしい、穏やかな陽気となった最終日の平和島。大風の2日目、4日目の午後はどうなることかと思いましたが、優勝戦の日にはさすがにお天道様も味方してくれたようです。さて、そんな最終日のおなじみといえば「優勝戦出場選手インタビュー」。いつもは早朝に行なわれることが多いですが、今回は5R発売中。そのおかげかより多くのお客さんが詰めかけました。

1・湯川浩司、2・横西奏恵、3・濱野谷憲吾、4・中澤和志、5・瓜生正義、6・菊地孝平

DSC00369  詰めかけたお客さんのお目当ては、やっぱり横西奏恵! 地元の濱野谷憲吾に勝る大声援に、手を振ってアピールしております。おお、リラックスしておりますな。司会の松岡アナウンサーの「よく眠れましたか?」という質問にも、「眠れました。寝るのは好きですから」と気負いはありません。「枠主張」から、大仕事があっても決しておかしくない表情です。
 男子5選手、なかでも濱野谷、瓜生、菊地の3人は、もう手慣れた大舞台。中澤も昨年の総理杯以来のSG優出でしたが、いつもピットで見せているマジメな表情を見せております。そんななか注目はポールポジションの1号艇・湯川か。いちばん優勝が近い位置だけに、「落ち着いているけど、これから後はどうでしょうね(笑)」と冗談めかして言っておりましたが、さあ午後のピットはどのように過ごすのでしょう。頑張れよ、湯川!

 さあ、あと4時間もすれば第41代のチャンピオンが決まります。総理大臣杯優勝戦は、場内16時38分締め切り!(M)


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吉川昭男、水神祭!――昨日8R

 昨日、準優勝戦の興奮のルツボにいたために、大変な慶事をお伝えし忘れておりました。すみません! そして主役の吉川昭男選手、ごめんなさい!!

IMG_0770  昨日8Rにて吉川昭男、SG初勝利達成!
 近畿地区の選手を中心に、歓喜のピット帰還。吉川も笑顔でそれに答えます。そしてカポックを脱ぎに控室に戻ります。そして、仲間に付き添われてすぐ戻って参りました。主役の回りには吉川元浩、守田俊介など近畿勢に、後藤浩なども詰めかけております。
 昇降機の上から……うひゃー、引き潮だから高い高い。吉川も水面までの遠さを驚いているところを、ササッと抱きかかえられ、“ワッショイスタイル”に持ち込まれました。
 せめてもの抵抗か、鼻をつまんだまま吉川昭男、ドボーン!
 「おいおい、ありゃ痛いよ……」という声が選手の口々に漏れつつも、笑顔で試運転ピットに泳ぎ着いた吉川でした。

 おめでとう、吉川昭男!(PHOTO=山田愼二)

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準優戦回顧

10レース 

 スリットで半艇身ほど抜け出したのは、今垣光太郎。準優に生き残ったメンバーの中で、もっともSGを勝ち、もっともSGを知っている男が、ついに本領を発揮した。深めの3コースから全速で握り、コンマ08のトップスタート。その勢いは凄まじく破壊力がある。2コースの江口はなすすべもなく飲み込まれた。残るはインの田中だ。
 SG初優出がかかる田中とて負けれらない。地元SGの1号艇なのだ。今垣を外に張るような形でターン姿勢に入る。SGを知る男がツケマイを決めるのか? 地元SGに夢をかける男がしのぎ切るのか? 
 その意地の張り合いは、1マークに絶好の差し場を生んだ。
2006_0320__022 「えぇぇ!」
「おぉぉぉ!」
 ひときわ大きい歓声があがった。差し場にズッポリ入ったのは、赤いカポック。2週間前の浜名湖で、女子選手唯一の切符をつかんだ横西奏恵だ!
 彼女のエンジンはたしかに良かった。それにしても唯一の女子選手、しかもA2の女子選手が、総理大臣杯のバック水面を先頭で走っている。誰が想像できただろうか。おそらく本人ですら、そんなことは考えていなかったはずだ。
 横西が差した外、田中と横西のほとんど艇間がないところを抜けて、2番手に上がったのは瓜生。76期の同期対決がバック水面で繰り広げられる。逃げる横西に、追う瓜生。本栖では何度も対決したであろう2人が、いま大観衆の入る平和島で戦っている。
2006_0320__049  1周2マークで横西が先マイ。届かない瓜生。2周1マークで横西が先マイ。届かない瓜生。まるで2週間前におこなわれた女子王座優勝戦のリプレイをみるかのようだった。2周2マーク、横西の先マイで、決着がついた。女子レーサー、史上2度目のSG決勝進出の瞬間だ。
 場内からは拍手がおきている。舟券が当たったから拍手しているのかもしれない。だが私には彼女の躍進に心から拍手しているようにみえた。

「緊張しました。うまくハンドルが切れなかった」
 勝利者インタビューに答える横西。背中からオーラのようなものがみえた。表情も日に日に美しくなっている。大時計が12時の位置をさしても、魔法なんてとけるわけがない。徳島のシンデレラは、わずか1ヶ月のあいだに、GⅠの階段を登りきり、SGの階段をも一気に駆け上がろうとしている。

11レース

 3号艇の平尾崇典と4号艇の金子良昭が、早目に艇をスリット方向に向けた。こうなると1号艇の湯川2号艇の別府も、早くコースに入らざるをえない。進入は1234/56の枠なりだが、内4艇はけっこう深い。アウトが有利な体勢だ。
 大時計が頂点に向けて針が動き出す。トップスタートを決めたのは、1号艇の湯川。タイムはコンマ07。
2006_0320__083  1マーク。1号艇に、外からエースモーター60号機の平尾が襲い掛かる。内からは2号艇の別府が突っ込んでくる。流れれば差される。スピードを落とせばまくられる。一瞬の判断が命取りとなる状況を、SG優出経験のない26歳の若者が冷静にしのぎ切る。モーターが上位だとはいえ、なかなかできるものではない。
 1着争いは1マークでほぼ決まった。しかし準優のイスがかかった2着争いは熾烈だ。バック水面で、内に金子、中に菊地、外に平尾の状態で並んで、2マークへ向かう。

2006_0320__100  一番最初にターンしたのは金子。ズバッという効果音が聞こえそうな鋭いターンで、エースモーターの平尾を突き放す。これにて2着争いも終了……ではなかった。平尾の外を、全速で回ってくる艇がある。一歩間違えれば転覆、もしくは消波堤まで突っ込んでいきそうなほどの全速マクリを、6号艇の菊地が決めたのだ。
 金子と菊地は同じ静岡所属で、師弟のような関係だ。師匠・金子のターンは完璧だった。しかし弟子・菊地のターンは完璧かつ豪快だったのだ。青は藍より出でて藍より青し。金子の眼前にみえていた8年ぶりのSG優出は消えたが、うれしい気持ちもあったのではないだろうか。

 

 

12レース

 風向きが変わった。7レースから最大7mの追い風が吹いていたのだが、12レースになって急に向かい風が吹きだした。4カドに陣取る、地元の濱野谷に微笑みかけるかのように。
 進入は枠なり。アウト勢が思い切って握っていく。先頭でスリットを通過したのは5号艇の井口。タイムはコンマ03だ。もし風が向かい風なら、ひょっとしてFだったかもしれないという微妙なスタートを決めて、SG初優出を取りに行く。4カドの濱野谷もコンマ06のスタートでまくりにいく。
 一方インの3艇は遅かった。だが1号艇・中澤のエンジンはかなり出ている。スリット後、グングンと伸び返す。
 1マークは中澤と濱野谷の一騎打ちになった。中澤が逃げ切るのか? 濱野谷がまくり切るのか? わずかに出たのは中澤! でもほんの少しだけ艇先がでているだけ。この体勢なら濱野谷ならなんとかしてくれる。
2006_0320__179 「憲吾ぉぉ!」
 地元・平和島のファンが沸く。今日、一番大きな歓声だった。1周2マーク、その声援に応えるように、濱野谷が先マイを打ち先頭に立った。
 開催初日には、錚々たる実績をもった選手がたくさんいた。昨年の賞金王・辻栄蔵は2日目に平和島を去った。艇王・植木も福岡に帰った。ディフェンディングチャンピオン笠原亮はフライングを切り、山崎智也、上瀧和則、大田和美などのビッグネームは準優にも乗れなった。
 11レースまでに決勝に残ったのは SG初優出の横西と湯川、SG初優勝がかかる瓜生、そして1度だけSGを勝ったことがある菊地。ここまで、ドリーム戦メンバーはすべて討ち死にしていた。
「このメンバーじゃ軽すぎる」
 ドリーム組から唯一生き残った濱野谷憲吾が、優勝戦の重しとなる。関東のエースとして、SG経験の少ない者たちをなぎ倒す。

(PHOTO/中尾茂幸  TEXT/姫園淀仁)


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爽やかな笑顔のシャワー――準優勝戦、後半のピット

IMG_7129  10R後、レースから引き上げてきた横西奏恵は、ボートに乗ったままの状態で、まずは万歳! ボートを引き上げられたあとには、同じ徳島地区の瀬尾達也などに祝福の声をかけられた。このときはまだ、硬い表情で周囲に頭を下げていたが、徐々に喜びの表情が顔に表われだした。「信じられない!」「よくわかんないです」とTVインタビューを受けたあとには、同期の原田幸哉と抱擁! 「おチビちゃんでも、よくやった」と声をかけられて、満面の笑みを浮かべた。先の女子王座で優出を決めた直後ほどはリラックスできてないように見えたものの、横西には、ここで満足しないで、もうひとつ上を目指してもらいたい。

IMG_6955  10Rで2着に入ったのは、瓜生正義だ。TVインタビューの際には、同期の横西の横で居心地悪そうにしていたようにも見えたが、その後は、横西と声を掛け合いながら片付けをするなど、お互いいい感じになっていた。瓜生の場合、インタビューの時から硬さは見られなかったので、精神的にいい状態になれているはずだ。なんともいえない伏兵ムードを醸し出している。

IMG_0824   11R。1着・湯川浩司、2着・菊地孝平と、こちらもフレッシュな二人が優出を決めた。レース直後、湯川が、硬い表情の中で、じわじわと喜びをにじみ出してきていたのに対して、菊地は最初から気持ちのいい笑みを見せていたのが印象的だ。
  12Rの結果が出る前の共同インタビューでは「もう一生ないかもしれないんだから、できれば1号艇に乗りたいですね」と話していた湯川だが、結局、1号艇をゲット。SG初優出にして、一躍、本命に躍り出たといえるだろう。レース後しばらく、湯川の動きを見ていたが、大きな緊張感を滲ませている様子はなかったので、期待は大きい。
 菊池にしても、共同会見で「欲が出てきた」と話していたように、決して侮れない存在だ。インタビューや会見が済んでしばらく経ったあと、レースのスリット写真を見ながら「遅いなあ~っ」と笑っていたが、リラックス度では一番かもしれない。無欲の状態で優勝戦に臨めるのではないかと思われる。

IMG_6893  12Rも嬉しい結果だった。今回の総理大臣杯でピット担当を引き継いだ昨日から、ずっと追いかけていた濱野谷憲吾と中澤和志が揃って優出を決めたのだ。どうして二人を追いかけていたのかといえば、整備に取り組む真摯な姿勢が目に付いたからだ。今日にしても、レースぎりぎりまで整備を続けていたのが、この二人だった。濱野谷などは、10Rが終わったあとにもなお、ペラと向かい合っていた。地元であり、この総理大臣杯の「顔」になっているともいえる濱野谷は、このレースに対して強い想いを持っていたのだろう。勝った直後にしても、喜びを爆発させたというよりは、安堵の笑みを浮かべていたように見えたものだ。共同会見では「優勝を狙うまでの足では……」と笑いながら言葉を濁していたが、足が抜群に仕上がっている湯川に取りつくのは「自分しかいないかな」とも付け加えていた。明日は、スタートから1マークと、濱野谷から目が離せない。

IMG_6836  2着の中澤は、TVインタビューに答える声も小さく、「らしいな」と思わせてくれたが、その後の共同会見では少しずつリラックスできてきたようだった。「(予選では)あまり目立たなかったのがよかった」と報道陣を笑わしたあと、1号艇よりも4号艇のほうが「全然いいです」と話したのも彼らしいところだ。個人的には、昨日からいちばんいい表情をしている選手として見ていたので、明日もいい結果を出してほしいと願っている。
 今回の優勝戦は、誰もに優勝してほしいメンバーが揃った。明日の大一番がどうなるか、と今から楽しみでならない。
(PHOTO/山田愼二 TEXT/内池久貴)


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優出メンバー共同記者会見ダイジェスト

 準優勝戦が終わりました。いやあ、熱戦でしたね。詳細はそれぞれの記事に任せて、ここでは優勝戦前日の恒例「優出選手、共同記者会見」をダイジェストでお送りします。
 時間を追っていきましょう。まずは10R2着の瓜生正義が、ピット内記者室にやって来ました(1着の選手はJLCの勝利者インタビューがあるため、2着の選手から行なわれるのです)。

瓜生正義(優勝戦=5号艇)
SANY0070 「回り足はいいです。出足もいい部類。伸びは普通ですね。(明日の艇番は)緑ですね(笑)。ただ、6コースは行きたくないので……。スローのスタート? わかりません(笑)。ダッシュなら大丈夫です。でも、足を生かすなら、ひとつでも内が……。(この総理杯を迎えて、自分の中で変わったことはありますか?の問いに)……30歳になったくらいですね(笑)」
 終始、淡々と応えていた瓜生。艇番は緑、と言っていましたが、黄色です(笑)。となれば、枠なり5コースでしょうか。ちなみに、今日も5号艇、スタート展示では前付けで2コースに入りました(本番は5コース・ダッシュ)。果たして明日は……。

SANY0073 横西奏恵(優勝戦=2号艇)
「今日は、最初で最後の準優と思って、満足できるレースをしようと思ってました。足はいいと思います。足合わせでは伸び負けることはあっても、レースでは気になりませんね。リラックスできてる? そうですね。なんだか、SG優勝戦って感じがしない(笑)。(明日のコース、戦法を問われて)まだわからないです。今は、余韻に浸らせてください(笑)。明日は女だからどうとかではなく、1つでも上を狙いたいです」
 奏恵、優出! 記者会見では、とにかく笑顔でした。いやあ、強い女は美しい! 明日はさすがにプレッシャーが襲うかもしれませんが、会見の様子を保てていたら、一発は十分ある! そんな雰囲気でした。

SANY0081 菊地孝平(優勝戦=6号艇)
「ダメモトでペラを思い切って調整したら、いい感じになったんですよ。今節はずっとペラで悩んでいたんですけど、同期や先輩のアドバイスを聞いて、これまでと正反対の調整をしたんですよね。そうしたら、乗りやすさもきました。回って押す感じもありますしね。ただ、今節、Sは自信ないです。(明日のコースは?の問いに)たぶん6号艇ですよね。12Rの野長瀬さんに頑張ってもらって(笑)。まあ、6コースは嫌いじゃないんです。ただ、ダメモトで動く可能性も……。とにかく、う~~っれしいですね! 6点に届かないのに準優に乗れて、優出できて、これは拾ったようなものですけど、はい、欲も出てきましたから
 野長瀬さん、頑張れませんでした(笑)。レース後、スリット写真を見ながら、「おっせーっ! ダメだ~、今節はスタート自信ない~」と叫んでおりました。ただ、「欲が出てきた」と自ら口にしたあたり、非常に不気味なものを感じるのですが……。なんだか、菊地は一皮剥けたような気がしてなりません。

湯川浩司(優勝戦=1号艇)
SANY0085 「消音の経験が少なくて、わからないことばかりでした、ハイ。同期の井口くんと森高くんにアドバイスをもらいながら……(それが大きかった?の問いに)それのみです、ハイ。足は負けてないですね。こんなにスタートが決まることはあまりないんで、かなり来てると思います、ハイ。コースは臨機応変に(この時点では2号艇の可能性も)。水面に出てから、相手を見て、自分がいちばん納得のいくレースができるように考えます、ハイ。1号艇だったら、インから行きます、ハイ。(昨年の最多勝を獲って、気持ちは変わった?の問いに)そうですね。自分に対する甘えが少なくなったと思います、ハイ」
  答えの最後に「ハイ」をつけるところが、宮里藍ちゃんのようでした。非常に折り目正しい答え方で、なんとなく同県の先輩・松井繁を思い出してしまったなあ……。とにかく、雰囲気は非常にいいです、ハイ。

中澤和志(優勝戦=4号艇)
SANY0092  「急に向かい風になったので……スリットでは(濱野谷に)もう前に出られてましたからね。(勝てば1号艇だったが、残念でしたね、との問いに)はい。でも、4(号艇)でいいです(笑)。コースはカド? そう…………したい…………ですね。Sは大丈夫です。あとはメンタルですね。緊張しないタイプなので、明日は緊張するように(記者さんたち爆笑)」
 いやあ、和志、大好きになりました。本人はけっこう真面目な顔つきで、「明日は緊張するように」だもの。それにしても気になるのは、コースの質問に対する歯切れの悪さ。どうもまだ決めかねているようなのだが……。

SANY0096濱野谷憲吾(優勝戦=3号艇)いやあ、まだ出てないですね。優勝戦に入ったら、東京ダービーみたいになるんじゃないですか(モーター大苦戦で、優出も惨敗)。今日も湯川ちゃんと足合わせしたら、半分くらいやられてましたからねえ。スタート展示では井口くんにやられまくってたんで、本番では井口くんより先に行かないと、って。内のゲンコー(元浩、でしょうね)にも伸び返されてたし。明日は(すぐ外の)中澤ちゃんのスタートに負けないようにしないと。(回り足重視で?との問いに)うん……いや、重視ってほどのたいした回り足ではないですからねえ(笑)。湯川ちゃんに先に回られたら、追いつけないんじゃないですか。誰かが飛びついて……あ、俺か(笑)。明日はペラ調整で。他と一緒にはならないと思いますけど、自分が納得できれば。……エンジンもやろっかなあ(笑)。考えておきます。コースは枠なり。……引っ張っちゃおうかなあ。3カド!?」
 憲吾、とにかく明るい! チョーご機嫌なのです。地元のエースとしてのノルマを果たして、ホッと一息、といったところでしょうか。優出メンバーのなかでは、明らかな格上の憲吾。このメンタリティで出走できれば、やっぱり勝っちゃうんじゃないのかなあ……などと思わずにはいられませんでした。あと、他選手の呼び方も興味深いっすね。

 さあ、明日は優勝戦。6人とも健闘を祈ります! 舟券は相当悩みそうだけど……。(黒須田守)


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『日刊奏恵ちゃん情報』号外

奏恵ちゃん、優勝戦へ!!

2006_0320__032  や、やっちゃいました、横西奏恵ちゃん。準優10レースで4カドから十八番のまくり差しが炸裂!(詳しくは後でアップされる姫園記者のレポートをどうぞ) かのテラッチ(寺田千恵)が唐津グラチャンで優勝戦1号艇をぶん取って以来、史上ふたり目のSG優出女子レーサーになりました。こりゃ快挙以外の何物でもないっすよ。
 優勝戦の枠順は
①湯川浩司(大阪)
②横西奏恵(徳島)
③濱野谷憲吾(東京)
④中澤和志(宮城)
⑤瓜生正義(福岡)
⑥菊地孝平(静岡)
「どこか空いたところに突っ込めたらいいな~」などとインタビューではノー天気なことを言っておりましたが、枠なりの2コースだと「空くところ」はイン湯川の内側しかないですな。しかし、2コース差しが厳しいのが平和島。ここは「地元の憲吾さん、どうぞ」と招き入れて、楽な3コースから自在に捌くのが得策ではないでしょうか。
2006_0320_01_224  とにもかくにも、競艇史にその名を刻む優出です。テラッチは「後輩の女子レーサーのためにも、絶対にインを取りきる。そうじゃなきゃ、いつまでも女子レーサーはなめられてしまうから」と心に誓い、その決意どおりに深インを選択して敗れ去りました。
 あれから5年。テラッチが切り拓いた道の上に、いま奏恵ちゃんは立ちました。史上2番目&2号艇の奏恵ちゃんには、もはや女子レーサーの代表としての決意や誓いなんかは必要ありません。
 どんなコースからでも、自分らしいレースをする。
 それだけを心がけて、明日の最終レースのピットに向かってほしい。女は度胸。開会式のセリフのままに、大胆不敵にスリットを駆け抜けてほしい。切に切に、そう願っておりまする!!!(PHOTO/中尾茂幸、TEXT/畠山)

2006_0318__001 ←「奏恵さんは日に日に美しくなっています。きっと明日の5時ころ、最高に美しい顔になるんでしょうね」と3日連続で太鼓判を押す「クロちゃん」ことK記者(=友情出演)


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速報! 平和島総理杯優勝戦メンバー確定!

 準優の3個レースがただいま終了。大興奮とともに、明日の優勝戦のメンバーが決まりました。

1号艇・湯川浩司
2号艇・横西奏恵
3号艇・濱野谷憲吾
4号艇・中澤和志
5号艇・瓜生正義
6号艇・菊地孝平

 注目はなんといっても史上二人目の女子SG優出を決めた横西奏恵! 2号艇からどんなレースを見せるのか、注目だ。

※念のため主催者発表の出走表をご確認ください。

DSC00357 ←優出を決めた菊地のボート。カウルを取り外し、これから優勝戦用のカラーカウルに付け替えられます


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内・外拮抗!――5日目一般戦終了

 5m前後の風が“穏やか”かどうかはともかく、昨日と比べるととても穏やかな平和島水面。昨日試運転やペラ調整ができなかった選手たちによる試運転も、準優組、一般戦組を問わず、精力的に行われておりました。

DSC00335 そんな準優デーの一般戦がただいま終了しました。1Rで服部幸男がまくり差し、2Rは赤岩善生がまくりで、それぞれ今節初勝利。今日も平和島らしいイン受難の一日かと思われたが、3R伊藤誠二、4R池田浩二がイン逃げ、さらに5R徳増秀樹がイン発進から“抜き”を決め、インに陣取った選手が3連勝。流れを変えたかと思いきや、外勢も譲らない。結局、9Rまで終了してときにはイン選手4勝。インも外も拮抗する、本命党も穴党も楽しめる一般戦という結果となった。

 これから始まる準優、銘柄級は外側に陣取っているが、さあどうなる? 注目の準優は間もなくピットアウト!(M)


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穏やかな朝――準優勝戦、前半のピット

 波はあるといっても、昨日に比べれば、ずいぶん穏やかになっている。そのせいというわけではないのだろうが、午前中のピットは比較的落ち着いた様子だった。選手たちは、それぞれに淡々と作業をしている印象が強かった。調整室には人は少なかったものの、ペラ室には準優勝戦メンバーのほとんどが顔を出していた。この気候と波に合わせて、調整に抜かりはないわけだ。

P3200036  昨日は、整備の手を止めていた今垣光太郎も、早くからペラ室で、作業をスタート。その後、ボートにモーターを付けてからも、熱心に調整を行ない、3R後に試運転に出て行った。
 このときは、多くの準優勝戦メンバーが試運転をしていたので、午後には、新たな作業を始める選手と、整備の手を止めて静かにレースを待つ選手に分かれるのだろう。

P3200019 朝のピットで目に付いたのは、昨日に続いて中澤和志だ。ボートに装着したモーターと向かい合っている時間が、とにかく長い。予選を1位で通過していても、手をゆるめるムードはまったく見られない。このまま明日まで突き抜けていくのではないかという予感がしたほどだ。

P3200021  今節でエース機を引いている平尾崇典も熱心に整備をしていた一人だ。この怪物モーターは「まだまだ」伸ばせる余地がある、と見ている平尾だけに、底上げに成功すれば、11Rでは怖い存在になってくるはずだ。

P3200041  予選敗退メンバーのなかでは、真摯な表情で整備に精を出していた上瀧和則の姿が目に付いた。また、1Rできっちり勝利した服部幸男は、レース後にもペラ室で作業を再開。その厳しい目つきを見ていると、内に秘めた想いが伝わってくるようで、あらためて、その存在感に圧倒された。

P3200046  紅一点・横西奏恵は今日もマイペースだ。他の選手たちとも気軽に声をかけ合っていて、違和感はまるでない。ここまで来れば、なんとか優出を果たしてほしいものである。
(TEXT/内池久貴)


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今日のベスト・パフォーマンス・4日目

 2日目と同じような春の嵐。選手にとっては災難このうえない天候でしたが、それでも勝負駆けは行われ、レースのたびに強い風が選手の明暗を分かちました。思い出したくない「暗」は、山崎智也、笠原亮などドリーム組のまさかの予選落ち。準優まで生き残ったドリーム戦士は地元の濱野谷憲吾だけとなりました。天候そのままのサバイバル予選でしたね。
「明」では今垣光太郎が5コースからの怒涛のまくりという大技を決めて、見事に予選突破。銘柄級としては憲吾と2枚看板でセミファイナルを迎えます。それから我が守田俊介も5コースからの凄まじい天才まくり! 思えばはじめて平和島の水面で俊介のモンキーに惚れてから8年、SGでこれほどきれいな俊介まくりを見たのははじめてで……はい、誰も聞いてませんね。
 では、まず第3位は、ま、また、またまたこの方に!

4R/なでしこ奏恵、3号艇ゲェェェェット!!

IMG_6790  いよいよ怒りますでしょうか。デービッドソン審判も真っ青の「3日連続で疑惑のエコ贔屓判定」ですもの。はっきりいって、『日刊奏恵情報』ですもの。でも書きます。ラリーズクラブさんの応援コメントにも励まされ、独断と偏見で書かせてもらいます!
 今日の奏恵ちゃんはスリット同体からまくりに行こうとして徳増と接触、なんとか耐えきって4着でした。はい、とりたててピックアップするようなレースじゃござんせん。節間成績も21334とリズムを落としてます。「そんな平凡なレースを取り上げるくらいなら、勝負駆けをキッチリ決めたウチの人を取り上げてよ!!」という全国の憲吾ファンの叫び声が聞こえてきます。
 しかしっ! この4レースで予選を終えた奏恵ちゃんは、自力で生き残り、自力で勝ち取ったのですよ。明日の準優、3号艇!! これは快挙です。もちろん、今までSGの準優に参戦した女子選手は多々おります。が、奏恵ちゃんは女子王座になってから慌しくこの平和島に乗り込み、紅一点、しかもA2レーサーの身で厳しい予選を突破したのです。
 さらに言うなら初日から追い風、向かい風の嵐、追い風、向かい風の嵐という、フツーの女の子なら悲鳴を上げそうなレース環境でありました。そんな不安定かつ大荒れの水面で、奏恵ちゃんは泣き言ひとつ言わずにベスト18入りを果たしたのです。ね、憲吾の勝負駆け圧勝も凄いけど、奏恵ちゃんも甲乙付けがたいくらい凄いでしょ。凄いんですってば!!
 で、明日は3号艇。よくよく出走表を見渡せば、なんとなんと⑥江口を入れての4カドが可能ではないですか! 今節の平和島はいつにも増してカドが伸びます。まくり決着の半分ほどがカドまくりのはずです。奏恵ちゃんのモーターは伸び型ですから、これこそいちばん理想的な枠順!(もし1号艇でもこう言ったと思いますけど……)
2006_0318__004  ピットのK記者は今日もまた「奏恵ちゃんは非常にリラックスしていて幸哉とかと談笑してましたよ。完全に平常心、あの子ならあるいは、と思わせるほど肝っ玉が据わってます!」と太鼓判を押してくれました(新宿2丁目など一部地域で好評に付き、再び太鼓判を押すK記者の写真をアップします)
 頑張れ奏恵ちゃん、A2~女子王座~SG優出というわらしべ伝説を作っておくれ、でもって女子レーサーで初のSG優勝というシンデレラ・ストーリーを見せておくれっ、君ならできる、できないわけがないっ!!

 第2位。天災の前に、なすすべなく散った方々にレクイエムを捧げます。

10R/憎き風、圏内4選手が脱落!!

2006_0317_07_184  刻々と強くなる風……前半途中から安定板着用、後半戦途中から2周回と応急措置が施されましたが、自然の猛威を避けることはできませんでした。
 この10Rは完走すれば、ほぼ準優当確になる選手が笠原、中辻、森高の3人。ピン勝負が6号艇の中村ユーユーで、4着条件が坪井という、比較的穏やかな勝負駆け状況でした。思いきり踏み込みそうな選手はユーユーだけでしたから。
 進入はやはり江戸川のような、じっくりゆっくりの枠なり。どの選手も不慮のアクシデントを恐れて、たっぷりと助走距離を取っています。しかし……起こしからスリット、メイチ勝負の中村ユーユーが大外から飛び出しました。内の笠原も同じようなタイミングで、完全な中凹み隊形。勢い、ユーユーが一気に内4艇を叩いて、同体の笠原まで抱き込みました。このとき、スタート判定中との実況が流れましたが、もちろん選手たちには聞こえません。
 ピン勝負・ユーユーの全速ツケマイはあまりに強烈でした。引き波に乗ってバランスを崩した笠原が、さらに突風を浴びて転覆。差しに回った中辻がその上に乗り上げて転覆。さらに後続の瀬尾と森高も横転した2艇に乗り上げて、大きくバウンドしました。瀬尾の艇は笠原艇の上でしばし停止し、プロペラだけが軋むような音とともに海水を跳ね上げています。その下にいる笠原と中辻……あわや大惨事!! 事なきを得たのは自力でまくったユーユーと、2コースから差し抜けていた坪井だけ。これに転覆艇を踏み越えた森高が再発進してユーユー~坪井~森高の長い隊列が生まれましたが、そこで泣きっ面に蜂のようなアクシデントが……。
2006_0317_08_066  笠原、森高、ユーユーの3艇がフライング!!
 ほんの半周の間にこれだけの惨事が続いてしまっては、もう何が何やらわかりません。目の前を走っているのは、坪井だけ。はるか後方で瀬尾が再発進しましたが、1周2マークを回ったところで真横へ真横へ流れ、前に進まない。いかれたハンドルを必死に回して前に進もうとする瀬尾。勝負駆けに成功したはずなのに、寂しそうにピットに引き上げていくユーユー。もう、どの方向を見ても阿鼻叫喚ともいうべき地獄絵図です。
 やっと瀬尾が前へと進み、なんとか2-4という2連単が成立しました。レース成立の代償は、笠原、中辻、森高、ユーユーの予選落ち。
「フライングは自業自得じゃんか」と思われるでしょうが、おそらく12秒針が回ったあたりから風が一瞬だけ弱くなったのでしょう。そうでなければ、いつもはスタートが慎重な笠原がコンマ+10などという大フライングを切るはずがありません。そして、さらには1マークで……。
 笠原、公傷で途中帰郷。平和島の水面からディフェンディング・チャンプが消え去りました。風のいたずら、などというにはあまりに凄惨なF&転覆。競艇という職業の厳しさと怖さを、これ以上ないほど痛切に実感させられたレースでした。
 そして、ベストパフォーマンス賞は、空恐ろしいイン逃げで「もっともVに近づいた男」に贈りましょう。ほんにあの逃げは、見た目の1万倍も凄かったぞ!!

11R/明鏡止水、クールな逃げでトップ当選!!

2006_0317_07_175  10レースがあれだけの大惨事。それもこれも乱心した春の空のなせる業、だったわけですが、11レースになってもそのご乱心は続いています。時おり吹く突風はもちろん、たまにスーッと風が穏やかになることもあって、この気まぐれが選手にとっては実に悩ましく、腹立たしいに違いありません。3艇フライングで、施行者サイドからも「スタート事故・厳重警戒」のお達しもあったはず。
 しかし、中澤和志は行きました。難しすぎるほど難しいはずのイン戦で、コンマ11のトップS!! 
「あんまりよくわからなかったけど、行っちゃいました」
 レース後のインタビューで、和志は飄々とこう言ってのけました。レースも実に淡々としたイン逃げだったのですが、この逃げは相当にヤバイ逃げなんです。
 なんといっても、和志は節間7・25ですでに準優当確。完走すればよかったわけです。それが、Fを切った直後のイン戦で、コンマ11。他の艇に煽られたわけではなく、自分から行く気で行ったのですよ。これがまだインが圧倒的に強い住之江あたりなら「ここで勝ったら1号艇!」と力こぶも入るところですが、ここはコース不問の平和島ですから。そこで、自分の勘だけで全くビビることなくトップSを切った。
 私はこの何気ないイン逃げを見ながら、空恐ろしいものを見ているような気がしました。和志は昨年あたりF2持ちで苦しみながらSGを戦っておりました。あわやF3か、という際どい踏み込みもしておりました。確かに度胸が据わっているわけですが、踏み込むたびにF持ちのつらさを痛感したはずなんです。
2006_0317_07_178  それが、お腹一杯の最後の予選レースで、こんな唯我独尊の逃げを……断言します。和志は西島義則や熊谷直樹、上瀧和則などに相通ずる、「怪物級の器」の持ち主です。「ガイキチ級の資質」(失礼!)とも言えるわけですが、人間ならではの恐怖心や防衛本能などを、顔色ひとつ変えずにいとも簡単に超越してしまう、そんな行動をとれる数少ない男なんです(別に直接話したことはないのですが、これは確信にも近い勘です。臭いがするんです!)
 実に淡々と、飄々と、和志は逃げました。大事故の直後だけに、ことさらクールに見えました。でもって、本人もかなりクールに逃げたのだと思います。そんな男なんです。この冷徹なまでに冴えた逃げで、和志は節間トップに立ちました。明日はもちろん1号艇、そしてこれを勝てば再び1号艇が約束されています。もう、この先は多くを語る必要はないでしょう。今日の1号艇で圧勝したとき、私は「50%くらいの確率で、この男は優勝する」と心の中で予言しました。とにかく、奏恵ちゃんにとって最大最強の敵であることは間違いなさそうです。(PHOTO/横西奏恵ちゃんのみ山田愼二、その他は中尾茂幸 TEXT/畠山)


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強風と緊張――4日目、後半のピット

P3190005  水面際に選手が集まり、レースを観戦する姿が目立ったのは8Rのことだ。JLC専属解説者の長嶺豊氏によれば、風が強いときには、こうしたシーンがよく見かけられるのだという。対策を考えるためでもあるのだろうが、何かの胸騒ぎがあるのかもしれない。「危ないっすよ」「やめてもおかしくない風だ」――。選手のあいだからはそんな声も聞かれたほどだった。この風と波とで、ピットの緊張が高まっていったのは言うまでもない。
 9R前には、スタート練習を普通に行なっていいのかどうかという声も飛び交い、ついには選手に集合がかかった。一人の選手もいなくなったピットでは、記者たちがその成り行きを見守ることになったのだ。
P3190021  やがて、選手たちが出てきたが、その表情は一様に硬かった。一文字に口を閉じている者も多く、気軽に声をかけられるような雰囲気ではなかったのだから尋常じゃない。
 結局、そのままレースは進められたが、10Rでは三艇がフライングになってしまう事態が起きている。風と波が理由のすべてだとはいえないだろうが、無関係であるはずもない。
P3190046  ここで転覆した笠原亮は、ボートで頭を打っていたようで、意識が朦朧としている状態で、担架で医務室に運ばれていった。幸い、大事にだけは至らなかったようだが、検査のため、救急車で病院に運ばれている(明日からは欠場)。とにかく、できるだけ早く、元気な姿を見せてくれることを祈るばかりだ。
 笠原が医務室から病院に運ばれるまでの間、選手代表の長岡茂一をはじめ、多くの 選手が医務室付近に現われ、心配そうな表情を見せていた。9R前のスタート練習をどうするかという混乱をおさめようとしていたのも長岡だったが、自分のレースに徹することもできない選手代表の働きには頭が下がる。
 午前中はいい日が差していた平和島だが、11R前には空が真っ黒になり、また風が強くなった。それも、悪質ないたずらのように、これからレースというまさにその直前に強風が吹きつけてきたのだ。12Rでも、それは同じだった。11Rのあと、雲間から再び太陽が覗くようになっていたにもかかわらず、選手がボートに乗り込んだ直後にまた 波が強くなり、全選手が一度、ボートから降りる事態にまで発展したのだ。この11R、12Rでは、準優勝戦への切符を誰が手にするかといったことも忘れて、とにかく無事にレースを終えてほしいと願いたくなったほどだった。

P3190027 そんな午後だったので、とりわけ目立った動きを見せていた選手は少なかった。ただ、朝から誰より熱心にモーターやペラと向かい合っていた濱野谷憲吾は、午後になっても、その姿勢を崩さなかった。ギリギリまでモーター整備やペラ調整に取り組んで迎えた12R。勝負駆けとなる一発勝負のこのレースで、高い波をものともせず、1コーナーで勝負を決めたときには震える思いがしたものだ。さすがは、この総理杯の主役といえる選手である。明日以降も、濱野谷には注目せざるを得ないだろう。

P3190009  また、「前半ピット」の原稿で、今垣光太郎の午後の動きにも注目したいと書いたが、勝負駆けの5Rで見事1着を決めたあとには、整備をする姿は見られなかった。掲示板に張り出された明日の気象予報を厳しい視線で見つめていたが、9Rあたりからはその姿が見かけられなくなったのだ。やはり整備の鬼は、納得できるレベルにまでモーターを仕上げているのだろう。あとは、湿度や風次第で微調整を行なうだけではないかと予想される。こうなれば、今垣は怖い! 個人的には明日の注目株筆頭である。(TEXT/内池久貴)


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準優ベスト18確定!

総理大臣杯の準優勝戦、3個レースの枠順が確定しました。

10R
1号艇・田中豪
2号艇・今垣光太郎
3号艇・横西奏恵
4号艇・矢後剛
5号艇・瓜生正義
6号艇・江口晃生

11R
1号艇・湯川浩司
2号艇・別府昌樹
3号艇・平尾崇典
4号艇・金子良昭
5号艇・仲口博崇
6号艇・菊地孝平

12R
1号艇・中澤和志
2号艇・坪井康晴
3号艇・吉川元浩
4号艇・濱野谷憲吾
5号艇・井口佳典
6号艇・野長瀬正孝

ボーダーは野長瀬の5・80。今日の10Rで3艇F、転覆などがあって上位陣のポイントが下がり、ボーダーも下がった格好だ。天候も水面もレースも荒れまくっている総理杯、明日の準優も嵐の予感!? 熱い戦いはもちろん、選手の皆さんがケガなくレースを終えることを祈ります!


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静から動へ――4日目、前半のピット

 早朝の雨もやみ、少しずつ春の日が差してきた平和島だが、早い時間帯のピットでは、目立った動きは見られなかった。
 整備場には誰の姿も見られなかったうえ、整備の鬼・今垣光太郎も、ついに整備の手を止めたのだ。
 ただし、今垣の場合、こうなると逆に、「やることは終わった」という強い意志のようなものが感じられてくる。案の定、5Rで見事な貫禄勝ちをおさめたが、整備の鬼が納得できるレベルまで、モーターが仕上がったのだろう。午後の動きにも注目したいが、この勝利で準優勝戦進出を決めた今垣は、怖い存在だ。

P3190001  閑散とした整備場とは対照的に、ペラ小屋には、早い時間から多くの選手が見られた。1R前には、濱野谷憲吾、徳増秀樹、服部幸男ら数人がペラを叩いていたが、その後も選手の出入りはとまらなかった。それでも、雰囲気としては、“職人たちの日常作業”といった感じだろうか。誰もが真剣な表情で作業をしていたのは当然だが、殺気のようなものまでは伝わってこなかった。
“異変”が起きたのは2R前のことだ。それまで穏やかな水面だったのが、一変! 突如、強い風が吹いてきて、水面が大きく波立ったのである。その瞬間、筆者はペラ小屋の前にいたが、ペラ小屋からは、大きなどよめきが聞こえた。そのなかには、「最悪!」という苦笑の声も混じっていた。窓越しに聞いた声なので、絶対の確信は持てないが、その言葉を発したのはおそらく中辻崇人だったと思う。その直後には、3Rからの安定版使用が決定し、選手たちの動きが、一気に慌しくなったのは言うまでもない。

P3190008  前半のピットでは特筆すべき動きを見せていた選手は少ないが、早い時間からエンジンを見ていたり、ペラ小屋に行ったり、レースを見たりと、やけに活動的だったのが中澤和志だ。3日目終了時点で得点率6位につけている中澤だが、ほどよい緊張を持ちながらも、それなりにリラックスできているようなので、今後にも期待したい。
 同様に、3日目終了時1位の別府昌樹も、瓜生正義と談笑しているなど、朝からずっとムードは良かったので、この勢いを持続する可能性は高いはすだ。

P3190012 また、熱心にペラやボートに向かう姿が目立ったのが濱野谷憲吾だ。前半のピットでは、整備にかけていた時間がとにかく長かった。濱野谷にとっては12Rが2着条件の勝負駆けになるが、その本気度がひしひし伝わってきたものだ。
 
 また、2Rでは、1・2着条件の勝負駆けの上瀧和則が5着に敗れ、予選敗退が決まってしまった。それでも、引き上げてきた上瀧は、サバサバした表情で、終始、笑みを見せていたのが印象深かった。

P3190024   とはいえ、レース後しばらく時間が経つと、他の選手からは離れたピットの奥で、それまでとは別人のような引き締まった表情になり、ボートに向かい合っていた。6Rでも6着に敗れてしまったものの、あの時の上瀧の表情に、銘柄級選手のプライドを垣間見た気がしたものだ。(TEXT/内池久貴)


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逃げ3マクリ3――予選最終日、前半戦終了

SANY0031 逃げマクリ逃げマクリマクリ逃げ……6Rまでの決まり手である。今日も強い向かい風に見舞われている平和島、2R以降は風速10mを記録するなか行なわれ、水面も激しく波立っている。そんな状況では差しがまるで決まらないのか、インからスタートを決めて先マイ、あるいはヘコんだ内を叩いてマクリ、という2つのパターンが幅を利かせている。

7Rの展示時にもかなりの強風。この流れは今後も続いていきそうな気配。もちろん、不安定な天候がまた違う顔を見せる可能性もあるので、各レースで条件をしっかり見極めて生きたいところ。また、現状ではバックで強烈な追い風となるため、2マークが大きくもつれるケースも多発。さすがに予想できない条件だから、手広くいったほうが安全かも……。ともかく、勝負駆けはレースも水面も激烈ななか行なわれるのです!


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明日は2006SG最初の勝負駆け!

2006_0318__003  総理大臣杯も3日目を終了。明日は予選最終日、勝負駆けデーであります。
 昨年のMVP・辻栄蔵、艇王・植木通彦が負傷帰郷という予想外の事態が巻き起こっている平和島。昨日の嵐は、もしかしたら今節の行方を指し示す、象徴のような出来事だったのかもしれません。辻選手と植木選手、今後のSGでリベンジを!

 そんな波乱のなか、予選1位は本日水神祭の別府昌樹! 得点率8・00で、堂々のトップであります。広島からの春一番が平和島に吹き荒れる、そんな感じでしょうか。帰郷してしまった先輩・辻の分まで、荒れる水面をかっ飛ばします。
 ボーダーを6・00と想定すると、別府はもちろん準優当確。ほかに当確は、2位・仲口博崇、4位・横西奏恵、7位・田中豪、8位・湯川浩司、別府も含めて計5名であります。昨年の賞金王組は仲口のみ、そしておぉっ、奏恵の名前もあるではないか! ほんの2週間ほど前に出場を決めて、紅一点の参戦、それでこの成績は立派というほかありません。寺田千恵につづく優出も夢じゃないぞ! 地元から田中がいち早く当確を出したのは、実にめでたい。チッチキチー湯川も晴れて予選突破、さらなる大舞台でのパフォーマンスを見たいぞ。

2006_0318__067  当確組以外で、6・00に到達する可能性がある選手は以下のとおり。
3位 中辻崇人 4・5着
5位 笠原亮 4・5着
6位 中澤和志 3・6着
9位 井口佳典 4・4着
10位 平尾崇典 5着
11位 今垣光太郎 4着
12位 後藤浩 4着
13位 森高一真 3・4着
14位 坪井康晴 4着
15位 矢後剛 4着
16位 吉川元浩 4着
17位 瓜生正義 3着
18位 深川真二 1・6着
19位 柏野幸二 3着
20位 山崎智也 3・3着
21位 金子良昭 2着
22位 野長瀬正孝 2着
23位 菊地孝平 2・3着
24位 江口晃生 2着
25位 濱野谷憲吾 2着
26位 伊藤誠二 2着
27位 長岡茂一 2・3着
28位 赤岩善生 2・3着
29位 寺田祥 1着
30位 山本浩次 1着
31位 松野京吾 2・2着
33位 上瀧和則 1・2着
34位 池田浩二 1・2着
36位 勝野竜司 1・1着
38位 後藤孝義 1・1着
39位 中村有裕 1・1着

2006_0317_07_019  上位には、フレッシュな名前が揃っています。水神祭男・中辻崇人が3位と、別府同様に素晴らしい走りを続けており、さらにベストテンに4000番台が3人。ディフェンディング・チャンプ=笠原亮が今年も好調で、関東期待の中澤和志も2日目までの調子で走れば、予選突破は堅いでしょう。
 ボーダー付近で気になるのは、やっぱり山崎智也。今節はまだピンが出ていないだけに、明日はスッキリ勝ちたいところ。2連勝でポイントアップに成功した金子良昭も、勢いに乗ってのボーダー越えも十分に考えられます。
 一方、濱野谷憲吾は、今日の前半戦の失速で、やや苦しい状況に追い込まれてしまいました。明日は12R3号艇1回乗り、対戦相手に予選上位者が並んでいるので、予断を許さない状況です。地元のエースとして、意地の走りを期待しましょう!

 2006SGシリーズ最初の勝負駆け、荒れる総理杯の激烈バトルで明日も盛り上がりましょう!(PHOTO/中尾茂幸)

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今日のベスト・パフォーマンス・3日目

 今日もいろいろありました。まずはなんといっても艇王・植木の負傷帰郷。これはもう寂しすぎて詳報する気力もありません。それから不動の優勝候補だった(あくまで私個人の)守田俊介も勝負駆けに失敗して予選落ちが確定しました。昨日の突風転覆が悔やまれます。憲吾と智也も今のところボーダー以下で、明日は厳しい勝負駆け。とにかく大混戦、大波乱のシリーズといえるでしょう。
 一方で別府昌樹の嬉しい水神祭もありました。5コースからのガッツンひとまくりでしたが、この勝利でなんとなんと節間トップに! 去年の笠原亮もそうでしたが、総理大臣杯は新鋭やSG初出場の選手が大活躍する舞台。大波乱シリーズは最終日まで続きそうです。
 さて第3位にはこのベテラン選手を。久しぶりに魅せてくれました!

9R/「ヒロシです。差してピンピン取ったとです」

DSC00040  埼玉支部の元エース(失礼な言い方ですが、最近は和志や博倫などの勢いに押されっぱなしでした)後藤浩が復活をアピールするピンピン攻勢です。前半の5レースは、めちゃくちゃラッキーな勝利。1マークでは服部が、2マークでは植木が大競りという大乱戦(後で登場します)の中、あれよあれよと差し抜けておりました。このふたつのバトルがなければ、おそらく勝ちきるのは難しかったでしょう。
 うむ~、この勝利をもって本調子とは言えないなあ。
 などと私は眉に唾を付けながら観戦しておりました。昨日の足合わせは平凡な気配だつたし、レースでも「2艇が行くのを待ってから差して届かず」、
 が、これでヒロシの心に火がついたのです。9レースではコンマ07の鋭いスタートから、ズッポリと3コース差しでバック突き抜けました。
「今日になってペラが合ってきた感じです」
 と、インタビューでもご満悦。記念で大暴れしていた頃の精悍な顔をしておりました。かつては徹底してイン戦にこだわるなど、実にバイタリティ溢れる選手として私の記憶に残っております。それが最近はコース取りもレースぶりもインパクトが薄く、「なんだか普通のA級選手になってしまったなあ」などと勝手に評価を下げておりました。今日のピンピンも、強烈な印象を受けたわけではありません。
 しかし、元々が個性的な選手なわけですから、このSGでの連勝で再びヒロシらしいヒロシが帰ってくるかもしれません。明日は5レースの2号艇、1回走り。4着条件という微妙なポジションですが、今日の精悍な顔なら2コースから自在に捌いて当確ランプを点すことでしょう。そして、そのまま準優~優勝まで「ヒロシです、ヒロシです、ヒロシです」とその存在を猛烈にアピールしてほしいものです。

 第2位は読者の皆さんから叱られても叩かれてもシカトされてもこのお方。だって、だって…………

6、10R/望み奏恵たまえ、堂々の準優当確!

IMG_6557  はい、昨日に続いて横西奏恵ちゃんです。「女だからって贔屓してんのか、コラッ」と怒る方もいるでしょうが、正直、贔屓してます。なかなかの美人だし、表彰式で「キンタマ?」なんて発言しちゃうし、パチスロ部に入って『八代将軍 吉宗』のイラスト入りジャージなんかを履いてるし、とにかくキュートでお茶目でハスッパな感じで、私のストライクゾーンなのですよ、はい。
 そんな奏恵ちゃんが魑魅魍魎のような強くて怖~い男たちに混じって、女ひとり、まさに孤軍奮闘しておるのですから、贔屓するに決まってます。それに、この場に登場してもおかしくないような話題もあるんです。
 4日目を待たずに準優当確! これは凄い。ビッグニュースです。そして、その足がかりとなった6レースも凄かった。
 このレース、4カドの奏恵ちゃんはスリットほぼ同体(コンマ13)から一瞬まくりの体勢に入りますが、「こりゃ無理だ」と方向転換しての最内差し。明らかに判断が遅れたし、引き波を4本も超えるわけですから失敗レースといえるでしょう。普通なら6着ですよ、あの差しは。
 ところが、その最内からするするするするするするするする、信じられないような伸び足で3艇ほどを追い抜き、3着をもぎ取ってしまったのです。いや、凄い足でした。浜名湖・女子王座の勢いそのままの鬼足なんです。前を走る平尾、湯川も今節屈指のパワーなのですが、見た目にはまったく遜色ありません。つまりは優勝戦でも見劣りしない相棒がいるということなのですよ。
 奏恵ちゃんは、後半の10レースでも出負けしながらするするするする伸びて3着……これで4走30点、明日の1走を待たずに準優へのキップを手にしました。しかも、節間ランクは4位!
 顔よし足よしリズムよし。こうなると、不安なのは精神面のみ。超一流レーサーたちのプレッシャーとレースぶりは、明日あたりから一気に激しさを増します。紅一点の身で、そんなピリッピリの空気に耐えられるのか。もう、心配で心配でたまりません。できることなら、宿舎の部屋に忍び込んで「大丈夫、ワシが付いてるよ」と抱きしめてあげたいほど心配なんです。
2006_0318__003  が、ピットに張り付いているK記者が「奏恵ちゃんは大丈夫。女子レーサーって混合戦になると甲斐甲斐しく働く選手が多いけど、奏恵ちゃんは男たちとまったく一緒、で~んと構えてますから。あの男勝りのメンタリティは凄まじいっす」と太鼓判を押してくれました(写真は太鼓判を押すK記者=友情出演)
 もう、怖いものはありません。明日は5号艇という厳しいレースが残りましたが、持ち前のするするするするスピード戦で、準優1号艇を勝ち取ってほしい。皆さんも、応援してくださいねっ!!

 さてさて、最後は今日いちばん激しかったこのレースを。5、6着を取るには、それなりの理由があります。このふたりのゴンロクは、胸を張れるゴンロクだと私は思います。

5R/意地とプライドを証明した5、6着

2006_0318__088  植木通彦と服部幸男。このふたりが元気じゃないと、競艇は面白くありません。まあ、植木の場合はスランプのたびに短期間で復調を遂げるという「不死鳥モード」を往来してきたのですが、服部の方は長い長いスランプ(勝率はいつも高いのですが、往年の力を知っているファンには物足りないですよね)が続いています。最近は「静岡を日本一強い支部にする」と後輩の育成に力を注いでいるそうですが、黒幕になるにはまだ早い! 服部自身がSGで大活躍することが、何よりも静岡支部のカンフル剤になるはずなんです。
 第5レース。ふたりのスーパースターが、意地とプライドを如何なく発揮しました。まずは1マークの服部。4カドからまくってきた井口佳典に迷うことなく飛び付き「俺様はユキオだ~~~ッ!!」とばかりに向こう岸あたりまで張り飛ばしました。捨て身のブロックだったため服部自身も海水の藻屑と化しましたが、スターの意地とイン屋の仕事を完結させた孤独な姿は実に美しいものでした。服部幸男、男樹の6着。
 その遺志を引き継いだのは、もちろん植木。往年のライバルの大仕事を無駄にするような男ではありません。
「ユキオ、ようやった、後はまかせんしゃい!!」
 バックで最内からするする進出します。その外、1艇身前方で植木を攻め潰そうとしているのが徳増秀樹。植木は怯むことなくその内側に突っ込みます。舳先がわずかに入って、そのまま2マーク。
IMG_6605 「おいどんは、ウエキじゃ~~~!!」とばかりに徳増を手前の岸あたりまで張り飛ばしました。渾身の大競りだったために植木自身も海水の藻屑と化しましたが、あくまでもピンにこだわった果ての孤独な姿は美しいものでした。植木通彦、5着。
 この5着で準優が絶望的になった植木は、10レースで別府にまくられた挙句に1マークに衝突して負傷。無念の即日帰郷となりました。服部も11レースで暴れに暴れましたが、健闘実らず4着(最終1マークでパワーのない森高に差されたのは得心がゆきませんが)。こちらも予選落ちが決定的になりました。
 しかし、賞金王ロード06は、まだはじまったばかり。この5レースのような気迫溢れるプレーを継続していれば、自ずと道は拓けることでしょう。とりあえずV戦線から姿を消したおふた方、お疲れさまでしたっ!!(PHOTO/中尾茂幸=植木上とK記者アップ、山田愼二=奏恵ちゃんと植木下 M=後藤 TEXT/畠山)


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伏兵陣、台頭――3日目、午後のピット

 10R、イン逃げを狙った植木通彦は、1周1Mでターンマークに激しく接触するアクシデントで6着に敗退。前半の5着に続き、最悪の結果になってしまたレース後、モーター整備室から出てきた植木は報道陣に、「ねえ、(身体が)こっちに曲がってないかな?」と尋ねていた。ピシッと“気をつけ”の姿勢を取った植木の上半身は、たしかにちょっと傾いているように見えた。ターンマークへの接触で、腰を痛めたのであった。そして、この一言を残して植木は途中帰郷が決定、艇王の総理杯が終わった。昨日の辻に続き、初日午後に取り上げたふたりが平和島を去ってしまったのだった。

DSC00319 ←明日からのボート変更が発表されていたが、使用されないまま格納される植木の艇(平和島は片側のネームプレートがシール式になっています)

 嵐となった昨日一日が何かを狂わせたのか、帰郷となったふたりを含む有力候補が軒並み苦戦を強いられている(準優ボーダーは6・00とすべて想定)。山崎智也(20位)や濱野谷憲吾(25位)などは明日の勝負駆けが残ったが、原田幸哉(40位)、太田和美(44位)などは予選落ちが決定的の情勢である。そんな有力候補が低迷しているスキを突いて、伏兵陣が大奮闘している。
2006_0316_1_058w800

 植木が散った10R、5コースから鮮やかに捲りきった別府昌樹。これが嬉しいSG初1着で、得点率は8・00。堂々の1位で、明日を待たずに当確を決めた。水神祭では(水神祭の模様は別項にて)、別府と同県の高濱芳久とともに、昨日水神祭を受けていた中辻崇人の姿があった。別府の登番は3873で、中辻は3876。そう、このふたりは同期(79期)。水神祭後に着替えをすました別府が、装着場で中辻を発見し「ありがとう!」と肩を組んでしばらくじゃれ合っていた。昨日水神祭だった中辻と、先ほど終えた別府。お互いの慶事を喜び合う友情を感じていたが、ふと得点表に目をやると、中辻も9Rの2着で得点率7・55。明日の2回乗りで6点という好位置に付けていたのだった。これは失礼しました! この総理杯がお互いの初SG参戦、そしてSG初勝利を達成。こうなったら中辻に気張ってもらって、一緒に準優、そして優勝戦へが明日からの目標になる。頑張れ同期生。

DSC00312  昨日も取り上げた女王・横西奏恵の進撃が止まらない。前半6Rの3着に続いて、10Rも3着。その結果、得点率は7・50。明日は1回乗りなので、準優当確である。報道陣に囲まれながら「いやいやいや、まだ明日どうなるかわかりませんからね」と言いつつも、さすがに笑顔。残った時間はJLCのインタビューに答えたり、こちらも当確の仲口博崇(横西のインタビュー中、さかんにチャチャを入れておりました)と長々と談笑するなど、のんびりとしたムード。今日この時間に限らず、ピットではいつでも堂々とした振る舞いを見せている横西だけに、明日を無事故で突破するのはもちろんのこと、気の早い話だが準優もあっさり突破してしまいそうな予感までしてくる。個人的には2001年の唐津グラチャンで、寺田千恵が予選快進撃を続け、優出(5着)を果たした時とダブってしまうのだが……。明日は4R5号艇。準優での内枠を狙って女王が走る。

DSC00302 今日5、9Rを連勝し、得点率6・50までジャンプアップしたのは後藤浩。今節、同じ日に連勝を達成したのはこの後藤が始めてだ。ところで後藤、埼玉支部でありながら現住所は東京。地元勢の一員とも考えられる。「埼玉に住んでいたころから平和島は好きな水面なんですけどね。残念ながら2年以上も走っていなかったんです。もっと呼んでいただけないかな、といつも思ってましたよ(笑)」。その平和島で今日は連勝。明日以降も準優、優出でアピールですね!と話を振ると、「そうですね。埼玉支部では中澤もいいところにいますから(2走であと7点)、頑張りますよ」と力強くアピールしてくれた。埼玉在住の“純・埼玉”池上裕次は残念ながら予選落ちだが、他県在住の後藤と中澤和志(宮城)が好位置に付けている。かつて「埼玉でSGを獲るのは後藤だ」と多くのファンが思っていたが、20世紀末に起こった埼玉勢のSG制覇の波に乗り遅れてしまった後藤。以後、ちょっと目立たない存在になってしまっていたが、1回乗りで5着条件の明日を乗り越えて、ファンと平和島に猛アピールをしてくれることだろう。

DSC00311  さて、昨日から気になり続ける濱野谷憲吾。7R、1周バックで最後方ながら猛烈な追い上げを見せ、2周2Mの強烈差しで2番手に浮上! 「さすが魅せてくれる!」と思ったら、3周1Mでキャビってしまいなんと6着……。植木、辻に始まり、上瀧、水野要と、注目した選手がことごとく成績を下げていってしまっている気がしていたが、後半の12Rはそんな呪い(?)を振り切って2着に入った濱野谷。惨敗の後も12R後も、自信に満ちた表情、足取りは変わっていない。1走2着勝負の明日こそ、ビシッと今節初勝利をお願いします!(PHOTO=中尾茂幸<別府>、松本伸也<その他>/TEXT=松本)


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別府昌樹、水神祭!

SANY0034  空模様が怪しくなって、昨日より気温水温ともに下がり、ピットを吹き抜ける風は冷たい。
「中辻(崇人)の時とはえらい違いやなあ」
 長嶺豊さんが笑う。たしかに、こりゃ寒そうだ……。
 それでも、やっぱり嬉しい水神祭! 別府昌樹、おめでとう!
 10R、5カドからトップスタート。一気にまくって、SG初1着。4走目にして、念願の勝利をあげた。ピットに戻ってきた別府は、当然ニッコニコ! 祝福の声に拳を振り上げて、応えていた。

SANY0040 勝利選手インタビューを終えて、ボート揚降機の前にやって来た別府。待ち構えていたのは、まずは同県・高濱芳久。さらに同期の中辻崇人、吉川元浩。たまたまその近くで話し込んでいた太田和美と中野次郎も加わって、さあ、歓びの儀式、水神祭だ!
 昨日の中辻がゆりかごスタイルなら、今日の別府は、定番ワッショイ・スタイル。
「こえぇぇぇぇっ! これはこえぇぇぇぇぇっ!」
 と絶叫する別府だが、当然、誰も容赦などしません。というより、騒げば騒ぐほど、怖がらしたろ……となるのが、友情というもの(笑)。うわ、うわ、と小さく悲鳴をあげている別府を、せーのでドボーーーーン!
「うわっ、今、すごい音がしたで! すごい音やったで!」
 と、遠くで見ていた長嶺さんが驚くほど、ものすごい勢いと角度のバックドロップ状態で水面に叩きつけられた別府。水の中から顔を出すと、ニッコリ笑って「ありがとうございました!」と陸の上の笑顔に応えていたのだった。

beppu1  これで別府は3、2、2、1着。尻上がりに着順を上げて、準優当確。水神祭だけでなく、シリーズの中心人物の一人として、見逃せない存在になってきた。別府よ、このまま一気に突っ走れ! ニュースターとなるのだ! ともかく、今日はおめでとうございます!(黒須田守)

←photo/池上一摩  


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イン逃げが4勝――3日目前半戦終了

 5m前後の風は吹いているものの、レース中最大で18mの風が吹いた昨日に比べればとても穏やかな(感じがする)今日の平和島水面。徐々に準優の行方が気になりだす日目の前半が終了した。

DSC00283 インがあまり強くない平和島らしく初日、2日目とインが飛びまくっていたが、今日は一転してインが強い水面に。1Rで原田幸哉が今節初勝利となるイン逃げを決めると、2R金子良昭、4R田中豪、6R平尾崇典と、インが計4勝。その他、3Rが山本浩次のまくり、5Rが後藤浩の抜きで決着している。近頃のSGでは水面状況や風向きなどすべてを吹っ飛ばして「とにかくインが強い!」となることが多いが、東のメッカ・平和島もその色に染まってきたということだろうか。

 1日早く勝負駆けという選手も多くなってくる後半、インが強い“SGらしい結果”か、インが弱い“平和島らしい”結果、どちらに転がるのか。注目の後半戦、間もなくピットアウト!(PHOTO&TEXT=M)


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活気づいてきた!――3日目、午前のピット

DSC00295  ひろびろとした屋外型の平和島のピットに、暖かい日差しが降り注ぎ、通り抜ける風も心地よい。昨日の“嵐”とは打って変わった穏やかな天気の下で、選手たちの動きも活発になってきた。まったく参考外の水面となっていた昨日の損を取り戻すかのように、装着場も整備場もペラ小屋も試運転ピットも活気づいている。それはそろそろ準優の行方が気になり出す3日目らしくもある光景だ。

DSC00280  試運転ピットに目を向けると笠原亮、今垣光太郎などの姿に混じって瓜生正義の姿があった。今節の成績は初日は5コースから腕を見せて2着に入ったものの、2コースだった昨日は6着に惨敗。瓜生も波に翻弄されたひとりだった。昨年の芦屋チャレンジカップで、追いかけさせてもらった際に「なんとかSGを勝ってもらいたい!」と強く思った選手だけに、このまま尻すぼみの成績にはならないでほしいな、と思っていたら、ちょうど試運転ピットから瓜生が戻ってきた。「昨日(の波)はどうしようもないですよね、ホントに」と言う瓜生の手にはペラが。プロペラ調整ですか、と聞いてみると、「そうですね。最近はどこに行ってもペラばっかりやってますよ。今節はモーターも平凡なので、このあとモーターもやりますけど」とペラ小屋へ。そして言葉通り、ほどなくしてモーター整備室でモーターを見つめていた。再度顔を合わせて「SG制覇、待ってますよ!」とハッパをかけると「ははは、そうですね。まあ今日、頑張ってみますよ」と、どうやら口癖らしい“頑張ってみます”と口にした瓜生。後半の8R、12Rでいつも通りの巧みな腕を見せてくれそうな雰囲気だ。

DSC00292  装着場にてモーターにプロペラを付けていたのは田中豪。地元・東京の大将格である濱野谷憲吾や、選手班長として動き回る長岡茂一に比べるとあまり目立たない印象……だったが、成績をよく見てみると2着、1着。まだ2日目終了時点とはいえ、予選得点率9・00の3位に付けている。これは失礼しました!と思って、出走表から顔を上げると、ボート前から場所を移動して、朝のスタート練習のスリット写真を見つめていた。今日はまず4Rの1号艇で登場する田中の目は「ここはイン逃げを決める!」と言わんばかりに、切れ長の目がさらに細くなっていた。結果、4Rは見事にイン逃げ成功。予選は5走なので、予選ボーダー6・00ならば早くも無事故完走となった。今節のシリーズリーダーになるのはひょっとしたら、この男かもしれない。

DSC00293  1Rで6着に惨敗した後、徳増秀樹は着替えて即ペラ小屋に向かった。開会式で「ペラはいいけど、悪いのはモーター抽選運!」と言っていたが、今節のモーターも噴かないままと見て、いいはずのプロペラにも手を付けたようである。今節、大挙8人を送り込んだ静岡支部。2Rで連勝を飾った金子良昭や、野長瀬正孝、笠原の好調組に当然追いつきたいはずで、ペラを見つめる目は鋭い。そして今日2走目となった5Rでは、勝負駆けだった植木通彦と競り合うなど見せ場を作ったうえで3着。残念ながら1Rにて予選落ち濃厚となってしまっていた徳増だが、明日以降も総理杯は終わらない。明日からも1着を目指したレースをしてくれることだろう。

 さて、昨日の12Rから目が離せなくなるなと感じている濱野谷憲吾。今朝も自信に満ちた表情でピットを歩いておりました。東京勢のボートを引き上げる際に見せる笑顔と合わせて、午後の7R、12R、魅せてくれそうな雰囲気。
 対して九州勢のボート引き上げにしか姿を見せなかった上瀧和則は、4R4着で今日は終了。うーむ……。(PHOTO&TEXT=松本伸也)


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今日のベスト・パフォーマンス・2日目

 今日は水面もレースも破天荒。5、6コースからのまくりが3本も飛び出すわ、愛する守田俊介が突風に煽られて転覆するわ……私にとっては舟券も当たらずに散々な1日でしたが、自然との闘いも競艇の魅力のひとつなのです。選手の皆さんは、本当に大変そうでしたけど……。
 第3位は、そんな自然の厳しさをモロに受けたこのレースの6人に捧げます。

4R/春の椿事、コンマ52でまくり圧勝!

2006_0317_02_054  桜が咲く前に散ってしまうのでは、と心配になるほどの凄まじい風が吹き荒れた1日でしたね。そんな春の嵐のピークが第4レースで、風速はなんと18m。気まぐれに吹く突風が水面を蹴散らし、その水しぶきが10mほどもある建物の屋上まで舞い上がっています。
 第一の椿事は、ファンファーレの直後に起こりました。辻栄蔵が小回り防止ブイをゆっくり回ろうとした時、その日最大級の突風が2マーク周辺を直撃。辻のボートもろとも水面を跳ね上げたのです。実になんとも珍しい待機行動中の転覆……水中に投げ出された辻はヒザを捻挫して、無念の即日帰郷となりました。
 しばしの中断の後、再びファンファーレ。が、向かい風は依然として猛威をふるい、5人の選手たちはお化け屋敷に紛れ込んだように恐る恐る舟を進めています。進入は123/46。そして12秒針が回りはじめたときに、また水面に突風が……選手たちはすでに握り続けているのですが、風の勢いに負けて一向に加速しません。
「全員、出遅れになってまう!」
 記者席に悲壮な声が響きます。選手たちはSを合わせるのではなく、ただただ入れたい一心でスロットルレバーを握りまくっているのです。
 2秒、1秒、ゼロ!
2006_0317_05_120  選手たちは、まだスリットのはるか後方。その中で、4カドの菊地孝平だけが頭ひとつ抜け出していました。もちろん全員がスリット全速ですから、伸び具合はさほど変わりません。スタートのアドバンテージを生かして、菊地がそのまま内3艇をひとまくり。快心のトップS一撃まくりだったわけですが、そのトップSのタイミングはコンマ52!!
「選手になって(こんなスタートは)はじめてだと思います」
 ましてや、このドカ遅れのようなタイミングで「まくり勝ち」なんて、菊地の将来にもないでしょうね。ちなみに、いちばん遅れた別府昌樹はコンマ86。レバーも折れよ!とばかりに必死に握った姿が目に浮かびます。
 辻選手、ご愁傷さまでした。皆さん、お疲れさまでした!!

 第2位はそんな厳しい環境を見事に克服したこの女傑に!

6R/嵐を引き裂き、女豹走る!

2006_0317_06_032  辻が天災に散った1時間後、6レースを迎えた平和島水面はやや穏やかになりました。それでも風速は軽く10mを超え、2周走(SGという名称が付いてからははじめてだそうです)という緊急事態。スタート展示もバラバラで、選手たちの苦労が偲ばれます。
 そんな中、インを主張した紅一点の横西奏恵ちゃんが、突風を切り裂くような快ショット。豪快なトップSから5人の男どもの攻撃をがっちりと受け止めて、一気に逃げきってしまったのです。そのタイミング、コンマ08!
「あ、早かったですね、ヘヘヘ」
 インタビューで照れ笑いを浮かべた奏恵ちゃんですが、さほど驚いた様子もありません。さすが第19代の女王様。先の女子王座ではコンマ01のタッチも含め、ドッキリSを連発していましたが、SGでもその踏み込みは同じ。向かい風を顔面で受け止めて疾駆する姿は、スコールの中を走り抜ける女豹のようでした。
2006_0317_06_021 「女は顔じゃなくて、度胸」
 開会式で宣言したとおりの肝の据わり方は、まさに男顔負け。これで節間成績も2位まで跳ね上がり、寺田千恵以来の「SG優出」も視野に入りましたね。部屋も風呂も女ひとりという心細い環境ですが、女は度胸、このまま全速Sで平和島のウォーター・サバンナを突っ走ってほしいものです。

 そして、今日のベストパフォーマンス賞は、こんな悪状況では考えられないような接戦、また接戦を演じた最終レースの面々に贈ります!

12R/大興奮! 史上最強の2周レース

2006_0317_09_12R_020  これぞSG、これぞ平和島! ややもすれば淡白なレースになりがちな2周走(水面が荒れているため、回るたびに艇間が開いていくのですよ)が、驚愕のベストバウトを生み出しました。
 時間とともに、天候が穏やかになっていった平和島。この12レースでは晴れ間も広がりましたが、それでも風速は8m。無数のさざ波が野分けのように伝播し、選手にとっては相変わらず厄介な水面です。特に、1号艇の仲口博崇はスタートから気を使うところ。
 しかし、インをキープした仲口は思いっきり張りこみました。コンマ05! 本人は「コンマ10くらい」と思っていたようですが、ほぼ全速、目いっぱいの踏み込みです。普通ならこのスリットで「勝負あった」というところですが、不運にも2コースの上瀧が約1艇身ほどの遅れ。そして、3コースから池田浩二がコンマ06、さらに5コースの寺田祥もコンマ06……。
2006_0317_09_12R_034 「2コースだけ遅れて他の5艇がほぼ同体」という隊列は、インにとっては逆に致命的なのですよ。すかさず3コースの池田が上瀧を叩いてまくり差しに入ります。その外から寺田祥が向かい風を利して全速でぶん回し。前門の虎と後門の狼が、いっぺんに壁のない仲口に襲いかかっては万事休す。特に寺田のまくりは迫力満点で、一瞬にして仲口を引き波にはめました。
 必死に追いすがる仲口ですが、その差は2艇身。さらに一度は突き抜けかけた池田と、差して浮上した濱野谷憲吾が内からぐいぐい迫ります。まくり、まくり差し、逃げ、差しの4選手がひと塊になった大混戦。これこそが、何でもありの平和島なんです。
 で、1周2マーク。併走する池田と憲吾が、先頭の寺田に内からプレスをかけるように切り込みました。これに焦った寺田が握って回ると、艇は追い風を受けて真横に流れます。それでも、攻めた憲吾と池田も流れるわけで、体勢としてはまだ有利に見えました。
 そのときでした。バックで艇を外に持ち出していた仲口が、強烈な「まくり差し」で割って入ったのです。2マークのまくり差し。ありそうで、なかなかお目にかかれない大技です。ヨーイドンの1マークと違って2マークは艇間が開くため、シンプルな差しやツケマイになってしまうのです。
2006_0317_09_12R_055 この仲口のまくり差しは、完全に狙ったものでした。憲吾と池田が攻めて、寺田が流れる。その隙間に艇を真っ直ぐにブチ込む。そう読みきってのまくり差し。しかも、荒れまくる水面で!!
 劣勢だった仲口は、この一撃で先頭に踊り出ました。でも、差はわずか。外の寺田、内の憲吾とはほぼ横一線で、池田がその直後に付けています。バックよりも4艇は団子状態になってしまった。これも珍しい。そして、この4艇は2周目もひたすら激しく競り合い、ゴールでの仲口と憲吾の差は約半艇身!
 ターンマークを回るたびに順位が変わり、それぞれが引き波を受け合っても脱落せずに交錯し続ける。静水面では見かけても、今日のような荒れた水面では奇跡ともいえるデッドヒートでした。でもこれは、奇跡でもなんでもない4人のトップレーサーたちが自力で作り上げた名勝負なのです。見逃した方は、是非にスカパーのリプレイで見てほしい。
「2周でよかった~!」
 勝った仲口のコメントが、この2周の凄さを代弁しています。(PHOTO/SHIGEYUKI NAKAO、TEXT/畠山)


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風のおかげで“閑散”……――2日目、午後のピット

 今日は一日、風に振り回された平和島のピットであった。
 午前のピット情報も、朝から吹き続く強風がメインだったが、その風はレースが進むにつれて強くなった。3Rでは秒速12m(!)、ついには4Rで秒速18m(!!)までなっていた。午後のピットでは、強風と波対策……いや、対策も立てられないほどで苦笑いが顔を合わせた選手間では交わされており、また試運転や整備をしてもあまり参考にならないと踏んだのか、午前と変わらないほど静かなピット内となっていた。午前は「“閑散”のはずが風のおかげで」でしたが、午後は「風のおかげで“閑散”」なのだった。

2006_0317_05_060  そんななか、風の悪夢が降りかかったのは、昨日注目した辻栄蔵と植木通彦であった。辻は秒速18mだった4Rにて、風に煽られて待機行動中に転覆。残る5艇はピットに帰還して再発走するのだが、辻は欠場扱いとなってしまう。レース後にピットを歩く辻は、「なんでだよ~」とあきらめの笑顔を浮かべながら別府昌樹などにもたれ掛かっていたが。その足は痛々しく引きずられていた。そして9Rを欠場して、そのまま帰郷。昨年の賞金王の総理杯が終わってしまったのだった。
 植木は続く5R、1周2Mをターンする際に14mの風に翻弄されて消波装置ギリギリまで飛んでいってしまい5着に敗退。中辻崇人の水神祭のときは笑顔であったものの、それ以外はまさに憮然たる表情。いまだ8mの風が吹いていた10Rも5着に敗れ、レース後は「波に乗れないだけ」の一言だった。昨日とはまるで別人の植木だった。
 風によって誰にいちばんの悪夢が降りかかるのかといえば、まさに“風任せ”。その瞬間だけでも風が止んでいれば、辻が展示で転覆などするわけがなく、植木もいつもの鋭角ターンを見せていたはず。選ばれてしまった辻と植木には運が悪かったとしかいいようがない。リベンジへ、辻は次の笹川賞になってしまうが、植木には準優へ、優勝へまだまだその機会がある。明日の艇王を期待してみてみたい。
 

IMG_6737 風だけが吹きすさぶ閑散としたピットのいちばん端、モーター整備室まで行ってみる。そこでもモーターの格納作業をする選手がチラホラいるだけかと思いきや、隅のほうでモーターをいじっている今垣光太郎の姿を発見した。初日1着で臨んだ今日の8Rは6着。6号艇なら必ず動くと言っていい今垣がそのまま6コースに入っていたのもまた、風の影響なのかもしれない。しかし、理由が参考外の風や波であったとしても、レース後にモーターを整備し続けていた“整備の鬼”。10R終了直後まで整備を続けたあと、11R発売中には自らのボートの元へ移動。艇内のワイヤーを調整し、中をタオルで拭き続けること10分ほど。それで立ち去るかと思いきや、カウル部分を拭き忘れていたのを思い出してさらに5分ほど吹き続けていた。ただボートを拭いているだけなのに、その回りには崇高なオーラが漂っていた。今垣光太郎も明日の逆襲に向かっていた。

IMG_6792  浜名湖の女王・横西奏恵が好成績を挙げている。初日は6コースから2着、そして今日の6Rではイン逃げを決めた。準優への期待は充分だが、その横西はペラ小屋で午後の時間を過ごしていた。自分のゲージを当ててペラを叩き、そのペラを持って原田幸哉と話をしていたり、瓜生正義と3人でレースを追ったりしている。ああ、3人は同期なのだった。「やっぱり心強いですよ。精神面とかのアドバイスをもらったりしてましてね。同期がいなかったらこの成績は絶対ないでしょうねえ」と横西。現在の予選得点率は9・00で、瓜生の4・50、原田の1・33を遙かに凌いでいる。原田は早くも予選落ち濃厚となってしまったが、明日からは横西が同期を引っ張る展開になるかも。準優目指して頑張れ、横西!

 さて、昨日来の笑顔満開がどうにも気になる上瀧和則。12R出走前、ペラを装着する際の様子は人を寄せ付けないオーラが漂っていたが、展示から帰ってきた際にはまた笑顔。うーむ、どっちなんだろうか……と思っていたら、1回乗りの12Rで昨日後半に続いてまたもスタート立ち後れて5着(上瀧も.26なので、他艇がやや早いこともあるのだが)。それでもレース後は笑顔……うーん、上瀧、これは見せ場なしモードなのか!?
IMG_0663  それに対して12R2着の濱野谷憲吾。昨日から濱野谷はピット内を自信に満ちた表情で歩いているが、これは調子がいいときによく見せている様子。ドリーム5着から2着へと、成績も上昇。明日からも濱野谷から目が離せない。(PHOTO=中尾茂幸<辻>、山田愼二<今垣><横西><濱野谷>/TEXT=松本伸也)


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中辻崇人、水神祭!

「おーい、ナカツジー!」
 笑いながら植木が主役を呼びます。
「あいつ、着替えに行っとったなあ」
 と言うのは上瀧。さらに瓜生正義を加えた3人が中辻崇人を待っております。
 
DSC00251 今日の1R、6コースから豪快なまくりを決めてSG初勝利を決めた中辻が、2走目を終えていよいよ水神祭。九州地区3人が待っているなか、中辻が奪取で控室からやってきました。
 今日の水面コンディションは大荒れで、ちょうど通りかかった菊地孝平が「カポック付けなきゃ溺れるかもしれませんよ」とボソッと一言。「さすがにそんなことはないでしょう!」と瓜生は笑ったものの、鳩首会談のうえ安全を期して救助艇のはしけへ移動です。まあ、上瀧は「おいっ、上(昇降機)と下(はしけ)、どっちがいい?」と聞きつつ、「下で!」と答えた中辻に「じゃあ上じゃ!」と爆笑しておりましたが。
 はしDSC00252 けでは3人に抱えられる“ゆりかご”スタイルでドッポーン!
 万一にも波に浚われないように、3人で助けてから大拍手。
 ずぶぬれになりつつ「ありがとうございます!」と嬉しそうな中辻選手でした。おめでとう! 3走22点と快調に来ているだけに、次は準優だ!(PHOTO&TEXT=M)


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“閑散”のはずが風のおかげで――2日目、午前のピット

DSC00239  午前中のピットを訪ねると、昨日同様に閑散とした風景が広がっている。もちろん、レース終了後には選手がボートを引き上げにやってくるのだが、レース前や最中は背広姿の関係者の方が多いくらいで、装着場の人影はまばら。試運転ピットにボートは繋留されていても、選手の姿はない。モーター整備場やペラ小屋にレース後、一時的に選手が集まるくらいである。「ホントにSGだったかな?」と錯覚してしまいそうになるが、SG取材の初日や二日目には毎回感じていることだとも気が付いた。ぼんやりと準優が見えてくる今日の午後、明日にもなると、騒然としたピットが必ず姿を現す――。

「ええ~っ、せっかく昨日ペラ叩いたのに安定板付けるのかよ~」
 スタート練習中にピットに姿を見せた池上裕次がこう嘆いていた。今日の平和島は朝からビュンビュンと強風が吹き荒れている状態。たしかに昨日の午後、モーター整備場の一角でペラをのぞき込んでいた池上(過去のピット情報ではおなじみの光景ですね)だったが、安定板を付けるとどう変わるものなのだろうか? 「強風時に付ける」とか「インが強くなる」というような印象しかなかったので、昨日のピット情報でも登場いただいた整備士・石井崇夫さんにうかがってみると(写真の四角い板状の物が安定板)、

DSC00234 「安定板というのはモーターの後ろの部分に付ける板状の物でして、ボートの下部から後方に上がる気泡、水泡をその板に当て、モーターの下部に流します。そうすることによって、強風時でも艇を安定させることができるようになります」。

なるほど。つまり、モーターの下部=ペラがあるところに気泡、水泡が流されるわけで、ペラの性能が発揮されにくくなるわけですね。
 ただ、安定板自体は1R前に取り付けないことが決定。試運転時に装着しており、レース開始後も付けっぱなしだった高濱芳久に、選手班長・長岡茂一が「高濱くん、安定板じゃないからね」と伝えておりました。選手班長、回りに気を配って走り回っておりました。ちなみに安定板なしでしたが、強風下の4Rで池上は4着。明日は一足早い勝負駆けです。

DSC00235 「獲ったどー!!」
 1R発走直前にはこんな声が昇降機の辺りから聞こえてきた。声の主・原田幸哉の手には網とグローブが。「ありがとーっ!」と駆け寄ったのは辻栄蔵。どうやらこの強風でグローブが飛ばされて水面に落ちてしまったようなのだ。グローブを渡す原田も受け取る辻も笑顔というほのぼのとした光景。あ、その原田といえば、朝のスタート練習時にエンストして救助艇で運ばれていましたが……。「あ、あれエンジンが悪いわけでなくガス欠してしまったんです。お見苦しいところをお見せしました」。いえいえ無事なら何よりです。昨日は5、6着と苦しいスタートを切った原田、5Rも6号艇と苦しい艇番だが、この平和島はダービーを勝った地。これで終わるわけにはいかない。

DSC00236  1Rでは中辻崇人が嬉しいSG初勝利! 水神祭は後半の6R終了後に行なわれるそうなので、その模様はまた後ほど。お、九州地区の「おめでとう!」の声の中に、笑顔の上瀧和則が。今節の上瀧、非常ににこやかです。昨日もインからドカ遅れしたレースのスリットを「あらあら~」と笑い声混じりに見ていたり、笑顔でピットを闊歩している。さてこういう上瀧が出現していた昨年グラチャンはまったく見せ場なしの成績でしたが……さて今節はどうなんでしょう。非常に気になる存在です。
 あ、気になるといえば山崎智也。こちらもボート引き上げの時にしか出てこない……と思いきや、江口晃生と並んで控室から登場し、展示ピットに向かう江口に手を振って帰ってしまいました。お見送りですね(笑)。気になる智也さんは6R、11Rに登場です。

※さて、ここまで書いて平和島はその強風で大変なことになっております! 強風が吹き荒れたあおりを食って4Rで5号艇の辻が待機行動中に転覆して欠場。5Rから展示航走1周、本番2周で安定板着用です!(PHOTO&TEXT=松本伸也)

DSC00241 ←中辻崇人選手SG初勝利おめでとう! 水神祭の模様は後ほどアップします!


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本日のベストパフォーマンス 初日

 向かい風1m、追い風1m、無風、追い風1m。4Rまでの風向風速です。穏やかな水面で始まった総理杯、しかし! 5Rで追い風5mと強い風が突如吹き始めると、その後は最大で8mの追い風が、平和島を包み続けたのでありました。明日はさらに強風、という情報もあるようで、2006SG初戦は春の嵐のなか、行なわれることになりそうです。
 あ、いつものベスパフォ担当・H記者が野暮用で消えたので、代打執筆であります。

空も水面も配当も荒れた! マンシュウ6本!


 というわけで、まずは高配当続出のこの状況に、拍手を送りたいと思います。強風なのか、波立つ水面なのか、それともそもそもが荒れやすいといわれる平和島プールなのか、誰を称えていいのかはわかりませんが、やはりマンシュウ連発は心躍ります。穴勝負という蛮勇の背中を押してくれます。やはりマンシュウは競艇の華! 穴党としては、そう思う次第なのです。
2006_0316_1_005w800  まず、オープニング1Rで4号艇・伊藤誠二が1着。3連単1万2940円を叩き出します。3Rでは中澤和志が2コースからまくって、3連単1万5180円。つづく4Rは井口佳典がイン逃げを決めますが、6コースから寺田祥が2着に食い込んで、3連単1万2650円。序盤4レースで、早くも3本です。思えば、まだ風も緩やかだった時間帯に3本も出たんですね。
2006_0316_12r_109 4本目は、6R。ベテラン松野京吾が若々しいまくりで3連単1万1290円。10Rは坪井康晴が渾身の2マーク逆転で、3連単1万2810円を出しました。そして、12Rドリーム戦。ディフェンディング・チャンプ笠原亮が、5コースから目の覚めるようなまくり差し一閃! 3連単1万6080円で、大荒れデーを締めました。そして、このドリームが本日最高配当。昨年の総理杯最終日は、ニュースターの誕生で多摩川が沸き返りました。そして、1年後の初日は、そのニュースターが大波乱シリーズの予感を演出して、平和島を沸かせました。果たして、明日もこの傾向が続くのでしょうか……。

イン受難の流れを断ち切るか!? 堂々の逃走3本!


2006_0316_1_070w800  ことほどさように、荒れに荒れた初日の水面。だからこそ、なのか、それとも平和島水面の特徴として、なのか、ともかくイン受難の1日となった、総理杯初日。9R4-3-5の3連単配当が3610円なのですから、「これが平和島」と片付けてもいいのですが、それにしてもイン絶対的有利の傾向にある昨今のSGにおいては、非常に珍しい結果だったと言っていいでしょう。
 そんななか、イン逃げは3本。流れに逆らうかのように、堂々たる逃走を決めた3人には、拍手を送りたいところです。
 まず4Rで井口佳典。トップスタートを決めて、外を完封しました。つづく5Rで湯川浩司。こちらもまた、コンマ13のトップスタートでした。風が強くなり始めたのがこのレース、他の5選手がコンマ20~28と、ややスタート勘が乱れたと考えるしかないスリットだったのですが、湯川だけは渾身のSを決めて、逃げ切り完勝。85期の同期が、イン水域の復権をはかったわけです。
2006_0316_3_206 そして11R。力でねじ伏せるイン逃げをみせたのが、今垣光太郎。スリットでは2コースの瀬尾達也にのぞかれたものの、まるで気にすることなく、力強い先マイ。俺が今垣じゃーっ! そんな叫びすら聞こえてきたように錯覚する、そんなレースだったように思います。そこに見たのは、まさに強者の意地。インに据わった以上、簡単にまくりも差しも許さん! そんな心性を抱けるのは、一握りのスーパーレーサーだけです。それを表現してくれた今垣光太郎。もしかしたら、今日の流れ、条件、環境は、今垣のこの走りを際立たせるためにあったのではないか。そんなふうにも思わされてしまったのでした。

エース機パワー炸裂! 平尾崇典のまくり一撃!


 9R、1コース・上瀧和則がコンマ40、2コース・吉田徳夫がコンマ35。内2人が起こしに失敗し、スリットで後手を踏みます。そのすぐ外、3コースの服部幸男は、きっちりとコンマ15を踏み込み、内2艇より1艇身以上飛び出しました。絶好のまくり体勢。もちろん、服部はハコまくり気味に先マイを放ちます。本来なら、誰もが服部の圧勝を信じたことでしょう。
2006_0316_3_085  ところが! そのさらに外をグイーンと抜き去っていく青い影が! 4コース・平尾崇典の二段ツケマイ! 先まくりの服部を潰そうとしているというよりは、1艇だけ別の軌道上を別種のスピードで奔放に走る、そんな感じの全速旋回で、さらりと先頭に立ってしまったのでした。こ、こ、これが60号機パワーなのか!
 エース機として騒がれ、昨日も今日も報道陣に囲まれていた平尾。コメントとしては、それほど景気のいいものではなかったのですが、いざ実戦に出てみればこのパワー! さらに注目度が高まった次第であります。前回の平和島総理杯には、36号機というおばけモーターが存在し、それを引き当てた地元の野澤大二が優勝をかっさらっています。あれから4年、今年は平尾&60号機か!? ともかく明日からも、このコンビ(?)からは目が離せそうにありませんぞ。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/K)


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対照的なドリーム2戦士――初日、午後のピット

 カーン、カーン、カンッ……
 総理大臣杯初日、午後のピット。ピットへやってきた7R終了直後などは、ペラを付けたり、ギアケースを持ってモーター整備室へ向かう選手など多くの選手がモーター装着場にて動いていた。閑散としていた午前中からだんだんと慌ただしくなってきたというところだったが、これがレースを終えた艇が増えるごとに、またピット内はだんだんと静かになっていく。レースの出走直前、試運転もモーターの調整も行なわれない時間になると、物音ひとつしない。
 そんな寂しいくらいの静けさのなか、突然響くのはペラ小屋にてペラを叩いている音。のぞいてみると菊地孝平がペラを叩いていた。今日は1走で3着。難関の6号艇を3着で切り抜けたが、明日へさらなる上積みを狙うためのペラ調整のようだ。そのペラを持って、菊地は最後まで金子良昭と試運転をし、笑顔で戻ってくるなど準備は上々の様子。明日は4号艇と1号艇の2回乗り。好成績を挙げて、好調静岡を引っ張っていきたいところだ。
2006_0316_1_014v800 7R終了後、モーター整備室に目を向けると、整備室の真ん中で水野要がモーターをバラしていた。今節最ベテランとなる名人・水野の今日の成績は4着2回。1Rは3番手追走から道中逆転を許し、6Rはインから叩かれてのもの。モーターの具合はイマイチと見たか、レース終了直後から整備を始め、終えたのは10R発走直前の大整備。しかしその整備の様子を見ていると、とても51歳には見えない。昨日、到着時の黒を基調としたファッションも渋かったのだが、レーシングスーツではまた違った若々しいオーラを放っている。明日は盛り返したいぞ、頑張れ大ベテラン。
 水野要と入れ替わるように、整備室の住人となったのは長岡茂一。今節の選手班長である長岡は、後半の9Rで2着の服部幸男と逆転の目がありつつ3着。そのレース後に整備室にこもっていた。その様子を整備室から少し離れて見つめていたが、途中のまま整備室から出てくる際に目が合うと、「いやあ、さっきのレースは伸びなかったねえ」とひとこと。「今日は整備して、明日からも頑張りますよ!」と続けながら、最後はプレゼント用のサインまでしてくれました(応募詳細は近日中に)。東京のファンのためにも、整備が当たっていることを祈ります。
 

2006_0316_3_224  さて、初日後半のピットの主役と言えばドリーム組だが、どうしても目に付いてしまったのは植木通彦と辻栄蔵である。
 艇王・植木、妙に明るいのであった。今朝の「ドリーム選手インタビュー」でのやりとりはそちらをご覧いただくとして、ピットでも笑顔のオンパレード。九州地区の記者と談笑していたかと思えば、移動したペラ小屋でも外に長嶺豊さんを見付けると、窓を開けて笑顔を見せている。かと思えば、競技棟から展示ピットに向かう直前、おもむろに競艇場の後方にあるマンションを指差し、「あそこに住んでいる人はうるさくないのかなあ?」と報道陣に話しかけて笑っていた。思いも寄らぬ艇王の質問に報道陣の方がとまどっていたくらいだが、こんな様子の植木は調子のいい証拠。まさに余裕であった。
 それに対して辻栄蔵は、整備と調整に付きっ切りだった。ペラ小屋にてペラを調整し、モーター整備室ではギアケースを見ている。それらをモーターに装着し、水面に降ろしたあとは、同県の高濱芳久と足合わせをし、入念に話し込んでいる。15分くらいに及んだ話し合いに続いては、ピットに繋留したままモーターの調整である。他の5艇が展示ピットへ早々と移動するなか、最後の最後までモーターの調整は続けられていた。「モーターを出してやる、6コースからでも勝ってやる!」という執念のようであった。
2006_0316_2_013  そのドリーム戦は植木3着、辻4着。余裕も執念も1着という結果に結びつかなかったわけだが、対照的な午後のピットを過ごしていたふたり。レース後はお互い笑顔だったが、明日のピットではどのような顔を見せるのだろうか。
 最後に、nifty取材陣の誰もが気になる山崎智也。原田幸哉と笑い会いながら大げさにコケてみたり、中野次郎に笑顔を振りまいたりと、山崎智也らしいリラックスムード満点。しかし、ただ単にボートへ腰掛けているだけでも絵になりますねえ。隣を通りかかった際、思わず「カッコいいなあ……」と声に出てしまいました(笑)。

(PHOTO=中尾茂幸、TEXT=松本伸也)

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イン苦戦で開幕――初日前半戦終了

 開会式前の薄曇りの状態からだんだんと雲が多くなっている平和島競艇場。やや肌寒い状態が朝から続いておりますが、詰めかけたお客さんの熱気&熱戦によって、スタンドと水面は熱く、熱く沸騰しております。

 最近のSGレースが見事に“イン天国”と化してしまう傾向は、インがあまり強くない平和島ではどうなるのか。まずオープニングカードを4号艇伊藤誠二が抜きで制し、インに座った1号艇後藤浩が5着に敗退。するとこれが呼び水になったように2Rは勝野竜司のまくり差し(イン吉川昭男6着)、3R中澤和志のまくり(イン守田俊介3着))と、インの受難が続いた。4、5Rこそ井口佳典、湯川浩司がともにイン逃げを決めたが、6Rはイン水野要が4着に敗退(1着はまくりで松野京吾)。前半は中~外の勝利と言えるだろう。
 後半は9Rの上瀧和則から12R山崎智也まで1号艇にはSGウィナーが並ぶ。今節の主導権はインが握るのか、それともイン受難となるのか、注目だ。(M)

DSC00077


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「辻さんを入れるつもりはありません!」by笠原――ドリーム戦インタビュー

 開会式に続く初日のイベントといえば「ドリーム戦出場選手インタビュー」。気合い満点のお客さんが待つなか、開会式を終えたドリーム6選手が再びイベント広場に登場です。

1・山崎智也、2・濱野谷憲吾、3・植木通彦、4・太田和美、5・笠原亮、6・辻栄蔵

 ドリーム戦や優勝戦を何度も経験しているメンバーだけに、6選手はリラックスムード(笠原はちょっと緊張していましたが)。皆さん“一度レースをしてから”という考えがあるようで、注目の進入争いも、笠原が「(辻が動いても)入れないつもりです!」と宣言し(辻は松岡アナにさんざん煽られてましたが……)、枠なりの雰囲気。殺気だった感じはありません。
DSC00190 それだったからか、司会の松岡アナウンサー、植木にこんな話を振っておりました。
松「今日16日は、ご自宅に近いところに新・北九州空港が開港しますね」
植「そうですね」
松「これまでの北九州空港は、遅くなると便が無くなりますから、遅い時間に福岡へ帰るときは植木さんも福岡空港を使われるそうです。で、そうなるとついつい中州へ寄り道……」
植「(笑いつつ)あの、家族もテレビで見ているんですからヘンなこと言わないでくださいよ(場内爆笑)」
松「ただ新しい空港は夜中まで便が出ているんですよね。だから今節からは優勝したらまず銀座でパーッと」
植「ははは……まあ、みなさんも北九州空港を利用してください(場内爆笑)」

 松岡アナウンサーも「全然関係ない話ですが」と断りつつの会話でしたが、一気に場内が和んでしまいました(笑)。

 注目のドリーム戦は場内16時38分締め切りです!(M)


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艇界に春到来! 総理杯開会式!!

DSC00127   薄い雲が広がる平和島競艇場。春まだだまだ先かな……と感じる冷たい空気に覆われていましたが、いやいや、イベント広場に詰めかけたお客さんの大歓声が、吹っ飛ばしてしまいました。2006年最初のSG・総理大臣杯、開会式!

「おはようございます!(おはようございます)……東京のお客さんは、声に元気がないと聞いていましたが、そんなことはないですよね? おはようございます!(おはようございます!!)」。もはや開会式の名物と言ってもいい、いつもの元気な挨拶。昨年の賞金王・辻栄蔵です。実は辻さん、選手紹介では最後に登場して東京のお客さんに気合いを入れたのですが、開始直後から今日のお客さんはとてもとても元気。なかでも地元・東京勢への声援は、これまでの開会式取材でいちばんと言っていいほどでした。
DSC00128「前回の平和島の総理杯(2002年)では、野澤大二くんが優勝しました。野沢くんに続けるように、今回も東京勢5名で頑張ります」。地元で最初の登場は今節の選手班長・長岡茂一。送られた大歓声には「8年前の多摩川・MB記念制覇を覚えているぞ!」の声もありました。現級A2は寂しいぞ、頑張れモイチ!
「エンジンはイマイチですが、三重支部2人、井口佳典と頑張ります」。「森さんと優勝するためにやってきました」。現在の三重支部の二枚看板、森竜也と井口佳典。かつては“王国”を誇った三重支部の復活へ、確かにモーターは厳しそうですが、イケメンコンビが気合いで走ります。
「気合いを入れてください」。三重のおとなり、愛知で“気合い”は吉田徳夫。昨日、平和島に着いた直後からキビキビと動き回っていた吉田さん。いつも通りその表情からは気合いが迸っておりました(失礼!)。ファンのみなさんも負けずに気合いを入れて応援しましょう。気合いだー! 徳夫!!
DSC00130 ←今節の最ベテランは昨年の名人・水野要

「最近、全然出ません。……プロペラもいいはず。エンジンに罪はありません! 僕の抽選運が悪いんです!! (小声で)なんとかします」。大挙8名登場の静岡勢で“大泣き”は徳増秀樹。今節の抽選運は……63号機の複勝率34.3%。微妙だ(笑)。でも最後の「なんとかします」に密かな自信を感じてしまいました。大駆けの予感!?
「隣にかわいい人がいますが、女は顔じゃありません。度胸で頑張ります!」女子王座優勝で最後の切符をつかんだ横西奏恵。選手紹介のお手伝いをしていたプリマベーラをチラッ。いえいえ、女子王座でいちばん美しかったのは女王のあなたです。そして度胸は言うまでもありません(笑)。浜名湖で死闘を演じた女子選手の代表として頑張ってください。
DSC00142 「転覆した平和島、昨年敗れた総理杯。縁を感じます」。2002年の平和島ダービー優勝戦は2号艇で転覆。昨年の多摩川総理杯優勝戦は1号艇で4着……“無冠の帝王”仲口博崇。いつも笑顔で「そろそろ!」という挨拶をする仲口さんですが、真の笑顔が見られるのはやっぱり表彰式のはず。どうか優勝戦のあと、この場所へ戻って来てください。頑張れ、仲口博崇。

 選手紹介終了後も、全モ連・蔭山幸夫会長の登場、中野次郎の選手宣誓と、元気なお客さんの大歓声が最後まで止むことなく終了した開会式。艇界に春到来だ!(松本伸也)

DSC00121 ←開会式を盛り上げたプリマベーラ(上)とレ・フレール(下)。今日はこのあと単独ライブショーもあります!


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SGが始まった!――初日、午前のピット

SANY0009  朝は晴れていた平和島だが、1Rが始まる頃には薄曇の空になってきた。気温は低くないが、空気が少々ひんやりと感じられる。3月、SG。春の大一番らしい、と言えばそうなのかもしれない。
 といっても、初日の午前中のピットが、こうした空気であるのもまた、いつものことだ。多くの選手は試運転に飛び出し、何はともあれ、モーターの手応えを得ることに腐心している。点検を終え、ボートを水面に降ろす選手の姿が目につき、装着場は比較的、閑散としている。春らしい、のではなく、初日の午前らしい、ということなのだろうか。
 そんななか、今垣光太郎が早くも“整備の鬼”となって、モーターと向き合っているのを見ると、なんだか嬉しくなってしまう。SGが始まった。今垣の“陸上の真剣勝負”を見ていると、それを実感するのだ。

SANY0013  試運転ピットに目をやると、あちらこちらで選手同士の情報交換の風景が飛び込んでくる。井口佳典と横西奏恵。守田俊介と湯川浩司。ふと振り向いて装着場に目を戻すと、おっと、上瀧和則と長岡茂一という組み合わせだ。始まったばかりのシリーズ。乗り込んでいない水面。やはり誰もが情報を必要としている。ライバル同士と言えど、まずは自身の得たものを披露しあう。これもまた、正々堂々、真っ向からの勝負のあり方だと思う。ともかく、みな頑張れ!

SANY0016  ピットに蔭山会長、登場! にこやかに、選手たちと挨拶を交わす。紅一点・横西奏恵には、「モテモテやないの?」とからかうように微笑みかけて、和ませていた。やや緊張ぎみに見えていた横西も、ニッコリ。よし、これでほぐれただろう。おっと、装着作業に集中していた池田浩二が会長に気づいて、驚いているぞ。まあ、急に会長に声をかけられたら、若手選手としてはたじろぐしかないよなあ。会長はさらに整備室に入って、太田和美や濱野谷憲吾とも談笑。これもまた、初日午前中の風景なのだ。蔭山会長、お疲れ様です!

SANY0017  40年以上もピットを見守ってきた、現在は検査員をされている石井崇夫さんとお話をさせていただいた。今のモーターについている、ロング・キャビテーション・プレートは、石井さんが考案し、全国に広まったものだそうだ。東京3場の生き字引とでも言うべき存在の石井さんは、江戸川競艇場のあまりの難水面と、それに対する「モンキーができない場なんて、もうおしまいじゃ」という声を聞いて、なんとかスピードを殺さずに艇を安定させる方法を編み出そうとした。それが今では、全国基準にまでなったのである。さらに、お父様は草創期に競艇用モーターの開発に携わっているとのこと。まさしく、親子で競艇の歴史を紡いできた方なのだ。石井さんは、この総理大臣杯を最後に、ご定年を迎えるのだという。寂しいですね、そう言うと、「いやあ、ははははは」と笑った石井さん。もちろん、こちらの問いに対する肯定の言葉は、胸の奥を飲み込んだのだろう。石井さん、お疲れ様でした。今節、最高の花道になさってください。

SANY0018  1R、伊藤誠二がオープニング・ウィン! バックで強烈な伸びを見せて、幸先のいい1勝。愛知勢がにこやかに、引き上げてきた伊藤に駆け寄った。カポックを脱いだ伊藤は、ニコーッ。思い切り頬を緩ませて、勝利への歓喜を表現していた。昨年の年間MVPは同期生。伊藤にとっては、嬉しくもあり、羨ましくもあり、といったところだろう。辻に追いつき、追い越すためにも、この勢いのまま突っ走れ! あ、写真の奥のほうに、気になる山崎智也! 彼の姿もまた、SGを感じさせてくれますな。もちろん、智也も頑張れ!(黒須田守)


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52人の職人たち――総理大臣杯、前検のピット

 SG前検のピットには、やはり独特の雰囲気がある。
 ピーンと緊張感が張り詰めているのかといえば、そうでもない。全身から闘志をみなぎらせているわけでもなく、黙々と作業に励んでいるのだ。もちろん、選手間の会話がまったくないわけではない。だが、基本的には皆、寡黙にモーターに向かい合っている。スタート練習が始まるまでの整備・試運転時間は、とくにその傾向が強かった。アスリートやファイターというよりは、「職人」の趣きだ。52人の職人たちが、それぞれの世界に入り込み、自分がやるべきことだけを淡々とこなしている印象だった。

IMG_3164  なかでも、今垣光太郎は「一人っきりの世界」に閉じこもっているように見えた。複勝率36.3%という中の上クラスの64号機を引いたが、他の選手たちが次々に試運転に出て行く中、我関せずというように、真摯な表情でモーターと向かい合っていた。結局、最後の最後までセッティングをしていたため、試運転をすることもなくスタート練習となったが、4班でスタート練習を済ませると、最終班が終わるギリギリまで、再びモーターとの格闘を続けた。「整備の鬼」と呼ばれる今垣は、いつでもそうだと話に聞くが、あらためてその姿を見せられると、なかなかしびれるものがある。

tsuji  対照的に、ピットの中でも、終始、笑顔を絶やさないのが辻栄蔵だ。もちろん、ペラを見つめているときなどは、一瞬にして目つきが変わるが、整備や移動をしながらも、気軽に他選手に声をかけて、笑い合う。辻に声をかけられるまでは、硬い表情をしていた選手にしても、すぐに満面の笑みを浮かべるのだ。辻はすで にSGのムードメーカーになっていると言っていいかもしれない。

IMG_3162  山崎智也の周りにも独特の空気がある。モーターを整備していても、ボートを運んでいても、指先一本一本の動きまでがスタイリッシュに映るのだ。それでいて、「いい男」には付き物の嫌味さが少しもない。ふと気が付くと、他選手と談笑していたり、報道陣に頭を下げたりしている。ピットの中での立ち居振る舞いが、これほど絵になる男は他にいないだろう。

IMG_3157  今回、どうしても気になるのは、横西奏恵の存在だ。いわずと知れた紅一点だが、横西本人からはまるで気負いが感じられない。女子王座のときともそれほど変わらない様子で、リラックスをして一日を過ごせていたようだった。他選手と話をしているときでも、その顔を見なければ、女性だとは気づかないほど違和感がなかった。戸惑いもなければ、必要以上のプレッシャーもなくSGに臨めているのだろう。そんな横西には、どこかでアッと言わせる結果を出してほしいものだ。

ueki  9年前にインタビューをしている植木通彦も、個人的には気になる選手の筆頭だ。平和島に到着したときから、表情が厳しく、モーター抽選、整備と、ずっと寡黙なままだった。これが植木のスタイルといえばそうなのかもしれないが、スタート練習が終わったあとには、ガラリと表情を一変させた。植木の姿を目で追っていると、何度となく人懐っこい笑顔を見ることができたのだ。筆者はまだ、SG前検のピットは見慣れてないので、これがいつものことなのかはわからない。だが、3本ともフライングになったスタート練習で、何かの手応えを掴んだ可能性もあるだろう。時おり見られた植木の自然な表情は、いい意味での「予感」を抱かせてくれるものだった。(内池久貴)


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H記者の「前検を斬る!!」

 地元水面で憲吾以上に燃えているHです。前回の女子王座決定戦では前検の気配にこだわりすぎて(池千夏と栢場優子に目をかけ、頭から狙い続けたらふたり合わせて未勝利・2着7回で終了。ふたりとも準優に乗ったのになあ……)痛い目に逢いました。今節はもっとフレキシブルに攻めてみたいと思います。
 前検の合間の試運転で、素晴らしい足色に見えたのが
☆太田和美
☆山本浩次
☆横西奏恵
☆金子良昭
☆守田俊介
DSC00037  あたりでしょうか。太田以外のドリームメンバーは、みな勝ったりやられたりで平凡な気配。今節もなにやら波乱含みのスタートになりそうです。初日の予選で特に注目したいのは紅一点の奏恵と、久々に並以上は出ていそうな俊介、それから伸び型のエンジンを引いた矢後剛の3人ですね。
 奏恵はつい半月ほど前に女子王座を制して、平和島行きのチケットを手にしました。果たして気持ちの切り替え、心の準備がこの短期間でできたかどうか。できたとしても、いざこの場に来て、一線級の男性レーサーに囲まれれば平常心でいられるはずもなし(女子リーグ戦にうっかり私ひとりが紛れ込んだら……舞い上がりますわなぁ)。そんな心細さが顔から滲み出ておりました。
 しかし! 横西奏恵は全女性レーサーの代表として参戦しているわけで、ここでビビくりまくって消極的なレースをするようでは、半月前に死闘を演じた日高逸子や海野ゆかり、淺田千亜希などに申し訳が立ちませぬ。前検では体重のメリットもあって、低調機ながら力強く伸びてました。あの伸びがあれば、歴戦の猛者たちとも互角以上に戦えるはず。戦わなきゃいけない。女性レーサーの未来のために。そして、何より奏恵自身の未来のために。準優を最低ノルマと心に誓って、大胆に攻めてくれることでしょう。
 矢後剛は待望の地元水面。チルトを3に跳ねてアウト屋に徹すれば、消音ペラだしスタートもわかるしで、これは凄まじい破壊力ですよ。しかも「伸びだけは凄い」と評判の51号機を引いたのですから、まさに鬼に金棒なんです。初日からメイチでカマしちゃいます!
DSC00081  そして守田俊介。私の俊介。俊介、マイラブ、マイサン。まったく、この子はあまりに整備下手で、SGでは整備巧者たちの分厚い壁に跳ね返され続けてきました。さらに毎度クジ運にも恵まれず、大半が20%台のポンコツ機。整備下手にポンコツ機。まるで赤ん坊にパソコンを与えるようなものです。本当に不憫な子なんです。
 だがしかし! 今節の俊介は違います。勝率37%のモーターは、クジ運ゼロの俊介にとってモンスター級のお宝。前検タイムの6秒96も、この子にしてみたら超抜の伸びなんです(……号泣)。そして、パワーが互角のときの俊介の強さを知らない人はいないでしょう。は、知らない? ほたら、明日の3レースと8レースで痛いほど知らしめてあげましょう。予選の後半になると、整備力の差で俊介は着を落としはじめます。まだ互角くらいに戦える明日の1号艇と6号艇が、俊介にとっては3日早い勝負駆けなんです!!

 ハァハァ。というわけで、明日からの聡明なる予想にご期待ください。あ、期待してませんよね、やっぱり、はい。


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エース60号機は伏兵・平尾がゲット!!

DSC00046  昼過ぎ、シリーズの流れを左右するモーター抽選会が行われた。今回の「目玉商品」は60号機。複勝率では73号機に次ぐ2位だが、誰が乗っても上位級に仕上がる安定感は超ウルトラ抜群。1月、東京ダービーでの斉藤仁のパワーは文句なしの怪物級だった。地元の濱野谷憲吾も「欲しい!」とゾッコンだったそうな。
 選手代表の長岡茂一からガラポン抽選がスタート。室内はたばこをくゆらす者、赤飯おにぎりをパクつく者(辻栄蔵)、東京支部の面々に混じって談笑しているコワモテの人(上瀧和則)などがいて、とてもリラックスしたムードだ。そんな中で、背筋をしゃんと伸ばし、口を真一文字に結んで腕を組む男ひとり。艇王・植木だ。気合い満点なのか単に機嫌が悪いのか、とにかく近寄りがたいオーラを発している。
DSC00056  もうひとり、紅一点の横西奏恵もいつもとは明らかに雰囲気が違う。女子王座では前検から賑やかに周囲を笑わせていたものだが、今日は緊張しているというか、慣れない雰囲気に戸惑っている感じでギコチない笑顔を見せていた。女だけの水面から、超一流の男だけの水面へ……横西の今節は、実力以前に気持ちとの戦いになる。
 一方、どうにも元気いっぱいなのが辻栄蔵。ガラポンを回そうとすると、いきなりモーター番号の記された白玉がポトリ。辻が回す前に、すでにセットされていたのだ。
「わっ、もう設定されてた!!」
 アクシデントを笑顔で豪快に吹き飛ばす辻。
「もう1回、やり直す?」
 長岡が優しく声をかけたが、辻は大きく手を左右に振って
「いや、いい! いいっ!!」
 ちなみに勝手に落ちてきた数字は11で、複勝率29%。やり直した方が良かったかもしれないが、今の辻の勢いは低調機ごときで変わりはしないだろう。戸田の記念を制しての平和島入り。「賞金王」の貫禄と余裕が、顔に満ち溢れていた。
「60番」
 施行者の声に、前方の選手たちが一斉に声を挙げた。
「お、おお~~っ!」
 垂涎のエース機を引いたのは、伏兵といっていい平尾崇典だった。歓声を聞いた平尾は目を丸くして「えっ?」という顔を見せたが、すぐに事情を飲み込んでニンマリ。山本浩次が「コイツ~」という風情で冷やかし、平尾は頭をかきながら「ごめんなさい」と嬉しそうに頭を下げた。が、冷やかした山本のモーターはといえば、73号機。そう、複勝率では60号機を凌ぐトップエンジンなのだ。さらに柏野幸二の50号機(複勝率43%)も合わせて、岡山支部の3人衆は平和島屈指の優良エンジンをカッパイでしまった。運やツキを重視する方は、初日からこの岡山三羽烏で勝負する手もありますぞ。
DSC00076  地元のエース・濱野谷憲吾は、平尾が60番を引いた瞬間に「う~ん」と残念そうな表情。本人は71号機だったが、36%の素性なら十分戦えるだろう。
 最後にガラポンを回したのは、新鋭王座Vでこの座席を射止めた中野次郎。選びようのない1個の玉が入ったガラポンを、次郎は実にゆっくりと、この場に立つ喜びをかみ締めるように何度も何度も回していた。(畠山)

複勝率40%以上のモーター
①73号機……山本浩次
②60号機……平尾崇典
③17号機……菊地孝平
④16号機……柏野幸二
⑤26号機……深川真二
⑥49号機……湯川浩司
⑦74号機……金子良昭
⑧22号機……中村有裕
※前回優勝機/21号機(38%)……中辻崇人


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平和島に選手到着!

さあ、いよいよ始まりました、総理大臣杯! 快晴、春らしい陽気の平和島に、2006年ファーストSGに参戦する選手たちが、続々とやって来た。通用門の前には、おぉっ、鈴なりのファンのみなさんが!「GⅠとはメンバーもそれほど違わないのに、やはりSGはすごいよねえ」と、守衛さんも驚くほどの熱気が、午前10時過ぎの平和島に巻き起こったのであります!

SANY0632 一番乗りは、山口から寺田祥! ファンの方たちも、待ちに待ったSG戦士の到着に、ドーッと寺田を取り囲む。その一人一人に丁寧に応える寺田。うーむ、今年もSGが始まるんだなあ……と、非常に感慨深いものがあります。

SANY0633 続いて登場は、中澤和志と地元・田中豪。通用門のずいぶん手前でタクシーを降りて、うららかな陽光を浴びながら、にこやかに歩いてきたぞ。通用門までやって来るのを待ち構えていたファンたちは、やっぱりドドドーッ。うぉぉぉぉ、これぞSG! ワタクシ、だんだんと興奮してまいりました。

SANY0638 今節、大挙8名を送り込んだ静岡軍団も、勢揃いで登場。前年度覇者の笠原亮も元気一杯、賞金王戦士・菊地孝平も笑顔で平和島入りだ。そんななか、もっとも存在感が強いのは、やっぱり大将・服部幸男! 誰よりも長くファンの輪の中で、サインと写真撮影に応じていたが、ギュギュッと引き締まった顔つきは、うーむ、まさしくダンディ。総理杯を静岡に持ち帰るべく、彼を中心に激烈な戦いを見せてくれるのだろう。

DSC00042 いやあ、それにしても、ファンの方々も、早くも熱い! 20分くらいだろうか、次から次へとサイン&写真攻めにあっていた太田和美は、最後のファンにサインをし、通用門をくぐると、「やっと辿り着いた」と爆笑。こういった場面には慣れているはずの太田でさえ、驚くほどの熱気であります。おっと、我らが山崎智也も、通用門前に姿を表わしてからずいぶん経つのに、まだピット入りできません。最後はやや苦笑いでピットに到達した智也、「すごいねえ」と一言。サイン疲れだろうか、右手を振って荷物検査へと向かいました。

SANY0646 最後にサイン&撮影攻勢にあったのは、新鋭王座を勝って地元のSGに勇躍参戦、中野次郎! といっても、競艇場入りが最後になったわけではありません。大きなマスクをして平和島入りしたからか、ファンも次郎には気づかなかった模様で、荷物検査や地元の若手ならではの雑用などをこなしてから通用門前に現われると、待っていたファンから「キャーッ!!!」と黄色い声が。遅れてごめんなさい、とばかりに、延々とファンと触れ合う次郎。最後は職員の方が「そろそろ……」と呼びに来るほどでありました。で、宣伝でありますが、昨日発売の『週刊プレイボーイ』には、カラーで中野次郎vs蛭子能収さんvs工藤亜耶ちゃん(アイドル)の対談が掲載されているのですが、恥ずかしながら私が進行&構成を担当させていただいております。皆様、ぜひご覧になってみてくださいね! あ、『スポーツYEAH!』最新号には、笠原亮のインタビューも載っております。こちらもぜひ!

SANY0643 というわけで、最後は宣伝になってすみません。とにかく、今年もSGが始まった! もう盛り上がるっきゃないでしょう! 春うららの平和島は、すでに熱くなっているぞ!(黒須田守)

←今垣光太郎もさすがの人気でした!


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2006SGシリーズ開幕! 

おはようございます! 東京の朝は快晴です。いよいよ2006年SGシリーズが開幕! 明日から21日まで、平和島競艇場で総理大臣杯が行なわれます。今朝はまさにSG日和!

IMG_0744 取材班、平和島競艇場に到着しました!……といいましても、取材班の本拠地は平和島から徒歩10分。まさにホームプールなのでございます。地元からお届けする、総理大臣杯レポート。これまでと同様、本日の選手到着、モーター抽選、前検から最終日の優勝戦まで、即日レポートしてまいります。このあと、さっそく選手到着取材に行ってきます!

というわけで、2006年最初のSG。今節もどうぞよろしくお願いいたします!(→女子王座優勝で総理杯へのキップを手にした横西奏恵選手。その右手に抱えられているのは……)


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